無双出来ない異世界生活
雨Ⅸ
第1話 ステータスが開けません
目を覚ますと、目の前には見知らぬ草原が広がっていた。
「ここ…どこ?」
口からこぼれた声が普段より高い。立ち上がり体を見回す。視点が低い。上下黒に白のラインが入った(私的にはかっこいいと感じる)コートと長ズボンを着用している。
周りを見渡すと、先程まで雨が降っていたのか、水溜まりがそこら中にできている。そのうちの一つに近付き覗き込んでみる。
「えっ!?」
そこに写し出された顔は、普段よく見・・・るわけでもない自分の顔ではなく、中世的な、どちらかというと少女に近い。むしろ、こちらの顔の方が見る回数が多い気がする。
「KKOのアバター?」
KKO 。クロニクル・オンラインと呼ばれるゲームの略称である。
~物語を紡ぐのは、君だ~とか言うありがちなキャッチコピーを掲げ、よくあるストーリーとこれまたよくある世界観でまずまずの人気を誇るスマホゲームだ。僕も何となく始め、何となく続けていた。
だが、なんでKKOのアバターに為っているんだ?記憶をちょっと振り返って見る。
昨夜、学校から帰ってきた僕は課題や夕食、入浴等を終え、KKO をプレイしていた。オンラインゲームなのに、コミュ障な為、基本ソロプレイな僕は、いつも通りソロでもクリア可能なクエストを進めていて……そこからの記憶が無い。寝落ちでもしたのだろうか。
「……まさか、これは所謂『ゲームの世界に召喚された』やつでは!?」
夢の可能性もある。
だが、どっちにしろ、こんなとことでじっとしてる場合ではない。こうゆう時ってゲーム内のステータスがそのまま自分のステータスに為るはず。それに加え、ゲームの知識で無双するのだ。
「でもレベルいくつだったけ」
確か、40はいってたと思うんだけど。装備は、よくある無双系主人公に憧れ装備した防御力皆無の黒を基調とした軽装備一式。これなんの付与ついてたかな。武装は無し。
取り敢えず、異世界あるあるのステータスの確認をしなくては。ゲームではメニューを開けば見れるのだが。
「この世界だとどうやるんだろ」
試しに「メニュー」と言ってみる。……なにも起こらない。続いて「ステータス」……なにも起こらない。その後も思い付く限り試してみるが。
「…………………」
なにも起こらない。
「……一先ず、町に出てみよう」
僕の異世界生活が始まった。
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