神々への鎮魂曲《レクイエム》

コノハナサクヤ

序章 神々へ贈る鎮魂曲《レクイエム》

第1話 予言

 ――湖に、偉大な女神がお堕ちになる。



 よわい百二十を超える村のうらないババが予言した。



 それはまるで救世主が現れると予知されたかのようで。


 貧しい村の者たちを大いに喜ばせた。



 しかし、



 ――だが決して近づいてはならぬ。


 ――さもなくば神の呪いによる災いがこの村を襲うだろう。



 続いた卜ババの言葉に、村人はみな、おもてを恐怖の色に染めた。



 村から少し北の地、<神膜しんまく>の近くでは神々の戦いが激化し、人間の世界へも奇怪な魔物が現れだしたと聞く。


 被害が広がりつつあるそんな中。


 この村ドリピスでは疫病が流行り、多くの村人が病に蝕まれていた。



 今、この危機を。


 その女神に縋らずしてどう乗り越えるというのか。



 少女は走った。



 ただただ、女神に願いを届けるために。


 村を、父母を、妹を助けてと。




 遥か遠い遠い未来。


 人と神が永遠にわかたれるよう、その存在を封印するひとりの少女エストリーゼ。




 この物語は、女神の力を継承した少女の、神々へ贈る鎮魂曲レクイエム


 その始まりである――。


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