創作メモ:カィザマニャラフに関する手記
輝井永澄
1.書籍化作家がWebで無料作品を公開するということ
カクヨムで作品を発表するにあたり、やはり一番よく読まれるのは異世界ファンタジーだと思う。事実、僕も異世界ファンタジー作品「空手バカ異世界」を書いたことで、カクヨムWeb小説コンテストにて特別賞を受賞し、作品が書籍化、作家として商業デビューをすることになった。
ただ、これはあちこちで話していることではあるのだけど、僕はもともと、SF作家志望だった。
カクヨムという媒体で小説を書こうと思ったのも、元々このサイトがSFに強い、という触れ込みだったからだ。
長編よりは短編の作品を、コンスタントに発表する――それは商業作品ではできない、2010年代の文学の形なんじゃないか、と大仰なことを考え、短編SFや純文学などを手がけていくつもりだった。
とはいえ、コンテストで入賞し、さらに書籍化をしたというのはやはり大きな実績だし、僕自身、そのことで感じ方が変わったのは確かだと思う。
「空手バカ異世界」は100万PVに迫る数字を出しているし、ユニーク読者でも2万人近い。書籍の方の実売もあわせると、それなりの認知度を獲得していると言えるかもしれない。
なにより、こうした変化で最もうれしいことは、僕という作家本人に興味を持ち、フォローしてくれる人が増えたことだ。
だからこそ、普通に書いたら碌に読まれもしないだろうというこんな文章をアップしたりもできる。好きでやっていることとはいえ、やっぱり文章を書くからには多くの人に読まれたいのは人情というものだしね。
しかし、僕も一応、文章を書いてお金をもらっている身である。
新作をWeb小説で発表するということについて、いろいろ考えるところもある。
例えば新作のプロモーションをするとか、用意した原稿が編集者の都合でお蔵入りにされたとか、無料で作品を公開するからにはそんな事情が欲しいところだ。
だからこそ、事前に断っておくのだけど、この作品は僕にとって一文の得にもならない文章だ。
大体、SFジャンルに投稿する時点で商業的にはどうか、という話でもある。
それでも、僕にはこの文章を書く理由があるのだ。
それがカィザマニャラフに関する話であることは、僕をわざわざフォローしてまでこの文章を読んでくれているみんなにとって、疑念の余地のない話だと思う。
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