第47話 お団子屋さん。

昨日、隣町まで、ある講演を聞きに行った。


政治的な事だったから


複雑な想いになるの承知で。


でも戦争で死んだお祖父ちゃんに


対しての想い入れが強い私は


つい個人的感情で激してしまうので


リベラル、というか、所謂、右でも左でもないけれど


チラシが入ってたし


国際ジャーナリストの方のお話だと言う事で、行った。


久しぶりに行った、隣町は


驚くほど寂れて居て


講演は、やっぱり、好いことも聴けたけど


やっぱり、辛くて、苦痛で、哀しくて


帰り、もう人の顔が見れずに


下ばかり見て、


アスファルトの間から生える


草や苔ばかり見て居た。


駅近くの、シャッター通りになっている商店街に


一軒だけ、お団子屋さんが、開いていた。


疲れて居て、買うかどうか迷いながら、暫く店を見て居た。


草団子、おはぎ、おこわ、おまんじゅう・・・。


とっても疲れていた私は


お金のこともあったけど


部屋のお祖父ちゃんの、神棚に


おまんじゅうを、あげたくて


思い切って、お店の、おばあちゃんに


お団子や、おはぎ、お弁当を、注文した。


ふと、店の中を見ると


おじいちゃんが、品物を作るステンレスの台の上で


つっぷして、寝てしまっている。


私は、え?!と、ちょっと驚き


お会計の間、お財布を片手に持っていたら


おばあちゃんが、


「あ、お財布、早くしまっちゃったほうがいいわよ」


と。


また、びっくりした。


今まで生きてて、そんな事を言われたのは初めてで。


この町は大丈夫なのだろうか?


このお店の、おじいちゃん、おばあちゃんは


何かこの町で、嫌な想いをしているのではないかと


不安で、何か、虚しく哀しく、


辛くなった。


おはぎは、神棚に上げたよ。


お弁当、とっても美味しかった。


お団子も。


みんな、仲良くなれるとイイね・・・。

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