第三巻・・・ファン1号と映画館へ!勿論邪魔が入る訳で・・・

夏葉「今日は待ちに待った憧れの、愛瀬先生と映画館デート💛楽しみだな♪先生、この間のサイン会の様な格好なのかな?私も今日はお洒落をして来たけれど、やはり、以前の様な雰囲気で接した方が良いかしら?先生のあのキャラクターに惹かれて頑張って真似てみたのだけれど・・・」


執事(堺・さかい)「お嬢様、そろそろお出掛けのお時間で御座います。」


夏葉「あら!?もうその様な・・・ありがとう堺、今日は大切な日だからお赤飯を焚いておいてくれないかしら?」


堺「お嬢様、それは何故?」


夏葉「今日は私にとってはとてもおめでたい一日になるから・・・お願いね?」


堺「かしこまりました。シェフに申し伝えておきます。」




夏葉「あっ!?藤澤さん!ごめんなさい?お洒落に敏感な藤澤さんなら良きアドバイスが受けられると思ったのだけれど・・・今日のこのお洋服どうかしら?」


藤澤「はい、お嬢様、とても良くお似合いですわ♪本日のお相手様は同級生の女性だと伺っておりましたが、男女どちらから見ても素敵なお召し物だと思われます。私から申し上げる事は本日は無いかと思われますわ♪お気を付けて、張り切ってお出掛けして来て下さいませ。」


夏葉「あぁ♪あなたに言ってもらえると私も本当に自信が持てるわ♪本当にありがとう♪では、行って来るわね!」


藤澤「はい、行ってらっしゃいませ、お嬢様。」




涼原 夏葉(すずはら なつは)さん・・・1話頭の方より登場の青葉君の幼馴染。実はお嬢様って!?聞いて無かったよ~・・・それで私の作品を読む前はおしとやかな性格だって青葉君が言ってたのね!・・・幼馴染に告白をして振られてしまい、同時期に父親が他界してしまって生きて行く事が辛くなり、自殺をしようとサイトを見ていたら偶然私の処女作を知り、読んでから自殺しようとしていた気持ちを止めてくれて、その作品の主人公の女の子に惹かれて、性格等を模倣する様になり、前向きに生きて行こうと思った・・・少しガサツで素直になれないそんな主人公に憧れて・・・本当はとても優しい、素敵な女の子だなと私は感じている・・・




待ち合わせ場所の公園の時計台の下にて・・・




愛華「うん・・・ちょっと早く来過ぎちゃったかなぁ?・・・」




♪そ~っ・・・・・・




「だ~れだ?」




愛華「ひっ!?・・・えっ・・・えぇ・・・と・・・夏葉ちゃん?」


夏葉「あ・た・り♪」


愛華「夏葉ちゃん、お茶目だね?・・・ってその格好は!?」


夏葉「どうかしら?似合うかな?」


愛華「・・・・・・何だかお姫様みたいに・・・綺麗だね♪」


夏葉「そうかしら?嬉しい♪先生にそう言ってもらえるなんて♪」


愛華 (そっ、そうだよね・・・今日は香波 愛華としてじゃなくて、愛瀬 瑠奈として夏葉ちゃんと遊びに行くんだもんね・・・)


夏葉「やっぱり先生は魅力的でとても綺麗ですわ♪本当にモデルとしても活躍出来ると思います!!」


愛華「いっ、いや・・・私なんて・・・それこそ夏葉ちゃんの方が凄く綺麗だよ?どうしていつもあんな感じなの?って思えて来る位・・・うん・・・(私の作品の影響だよね?・・・ごめんね・・・あの主人公ももう少しこんな風におしとやかにした方が良かったかも?・・・)」


夏葉「今日は私の大好きな愛瀬 瑠奈先生とデート・・・いえ、映画館へご一緒して頂ける大切な日ですので、本当の私をお見せしたいと思って参りました。今日一日、どうぞ宜しくお願い致しますわ?」


愛華「あぁ・・・あぁ・・・こちらこそ、宜しくお願い致します・・・わ・・・」




(やはり気品に満ちていて私なんかと一緒で良かったのかな?)




男A「おい、見てみろよ?あんな所にスゲー可愛い子がそれも2人揃って立ってるじゃん!?これはナンパしかないっしょ!?」


男B「わぁお!!本当だな!2人共モデルか何かかな?かなり綺麗じゃん!丁度こっちも2人だし!声掛けようぜ?」




男B「ちょっと、そこの可愛い2人?今から俺たちとデートしない?」


夏葉「えっ!?あなた達とですか?・・・悪いですがこれから私たちデートですので失礼させて頂きますわ?」


男A「まあ、そう固い事言わないでさ?女同士でデートより、男といた方が楽しいっしょ?」


夏葉「いいえ、私の憧れの方とご一緒ですので、結構ですわ!」


男B「映画どうよ?行こうよ?ねぇ~?行こう?お金なら俺たちが出すからさ?ね?」


愛華「すみません、お断りします・・・急いでいるのでこの辺で・・・って・・・いたっ・・・」


男A「男の誘いをあっさり断るなんてどんだけ有頂天なんだよ?いいから大人しく俺たちと付き合えって・・・いだっ!!いだだだだ!」


男B「おい、大丈夫か?しっかりしろ!てめぇぇぇ!何割って入って来てんだよ!?っていだだだだだ!!!!!」


「良い年した大人のやる事とは思えないが?ナンパか?警察呼ぼうか?電話掛けるからさ?」


男A「いや、もういい・・・行くぞ?・・・」


男B「あっ・・・あぁ・・・わぁ~ったよ!」




愛華「あっ・・・あの・・・ありがとうございました・・・ってあれ?もしかして・・・青葉君?・・・」


智也「あっ!・・・あぁ・・・2人共・・・」


夏葉「智也・・・どうしてここへ?」


智也「いや、偶然ここを通り掛かって何か揉めているみたいだったから・・・さ・・・」


夏葉「あっ・・・ありがとう・・・おかげで助かったわ・・・」


智也「あぁ・・・いや、怪我とかしてないか?」


夏葉「えぇ・・・私は大丈夫よ?・・・」


愛華「私も大丈夫!それより本当にありがとう♪」


智也「2人共大丈夫だったら良かった・・・じゃあ、俺はこれで・・・」


夏葉「待って!?・・・あの・・・」


智也「ん?どうかしたか?」


夏葉「この格好・・・その・・・」


智也「あぁ♪似合ってるぜ?昔のお前に戻った感じがして♪」


夏葉「あぁぁぁぁぁぁ💛」


智也「じゃあな!」


愛華「青葉君?これから時間空いてる?」


智也「えっ!?俺?・・・いや・・・まあ、暇でランニングしていただけだから別に構わないけど・・・お前たちデートじゃないのか?」


愛華「デートじゃないよ?映画観に行く約束していたの!だから良かったら一緒に・・・」


智也「・・・・・・今日は遠慮しておくよ!この格好で着替えに戻ら無いといけないし、汗もかいてるからな?ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ!」




夏葉 (あぁぁぁぁぁ💛智也はやっぱり格好良いですわぁ・・・💛おもら、いえ、気絶しちゃいそう?・・・)




映画館に到着・・・


夏葉「到着しましたわね!さて・・・と・・・あっ!これですわ♪あ・・・あい・・・愛華ちゃんは何か観たい作品はありますか?」


愛華「えっ!?私?・・・特には無いけど・・・夏葉ちゃんが観たい映画で良いよ?(びっくりした!!急に本名呼ばれちゃったから・・・)」


夏葉「そうですか!・・・ではこちらの恋愛映画に致しましょう?(あっ・・・ようやく愛華ちゃんって呼べましたわ♪)」


愛華「うん♪じゃあ、チケット買おうか・・・」




上映10分前劇場のスクリーン前の座席にて・・・


夏葉「今日のこの作品は、私、とても期待しておりました・・・観て下されば愛華ちゃんもきっと分かってくれるだろうなって思っていたから・・・」


愛華「そうなの?じゃあ、しっかりと観なくちゃね!」


夏葉「ふふふ♪やはり愛華ちゃんは優しいのですね・・・私なんかにも気を使って頂けて・・・」


愛華「そんな事ないよ?私、元からこう言う性格だったし・・・私の方こそ、夏葉ちゃんのお嬢様の様な雰囲気が新鮮で・・・憧れちゃったよ♪」


夏葉「お恥ずかしいですわ・・・ですが、ありがとうございます♪」


愛華「あっ!泥棒捕まえるパントマイムみたいなのが始まったよ!そろそろじゃない?」


夏葉「そうですわね♪いよいよ始まりますわね♪」




映画が始まった・・・


愛華「・・・・・」


夏葉「・・・・・」




(もしかして・・・これって?・・・)




夏葉(小声で)「分かって下さりました?」


愛華(小声で)「うん、全くあらすじは違うけれど・・・これってもしかして?・・・」


夏葉(小声で)「はい・・・間違いありません!これはあなたの作品に影響を受けて描かれた作品ですわ!」


愛華(小声で)「まさか・・・そんな事って・・・」




映画の中のセリフ

少女「どうして!?・・・・どうして・・・私・・・・こんなに君の事が大好きだったのに・・・君は私の事が嫌いなの?」


少年「いや・・・嫌いじゃ無いんだ!だけど・・・君を恋心としてみる事が出来ない・・・君は小さい頃から家族みたいに一緒に暮らして来た・・・それを今から恋人としてみろと言われても俺は・・・だから・・・本当にごめんなさい・・・」


少女「分かったよ・・・」


少年「ごめん・・・本当に・・・ごめん・・・」




彼はひたすら謝り続けた・・・私が聴こえなくなっても・・・

そして私はそのまま家に帰った・・・

家には誰もいなかった・・・そう・・・もう私は一人だったんだ・・・

パパもママも死んじゃったから・・・弟も皆、あの日、出掛けた、私がいなかったあの日・・・

そして、今日・・・最愛だと思っていた彼も失った・・・もう私は、生きて行く糧が無いの・・・

誰も私の事は必要としていない・・・もう、私は生きていても仕方が無いんだ・・・

だったらもう・・・




夏葉「嫌よ・・・死なないでぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」




し~~~~ん・・・・・・




愛華「ちょっと!!夏葉ちゃん!?・・・あぁ・・・これは・・・その・・・皆さん、ごめんなさい!!!本当に・・・ごめんなさい・・・」






私・・・死のう・・・・

もう、この世にいたって何も無いもの・・・そうして私はある廃墟のビルの屋上へ一人で昇って行った・・・




「大切な人・・・そう、小さい頃から私と一緒にいてくれた私が困った時はいつでも助けてくれた・・・私が泣いている時には直ぐに慰めてくれて、大切にしてくれた・・・私の大好きだった・・・そう、智之君・・・君にとって私は家族だったんだね・・・私はそれ以上の想いだった・・・ごめんなさい・・・私、もうその想いだけじゃ満足出来ないの・・・それと・・・ごめんなさい・・・今迄意地悪ばかりしちゃったけど・・・本当は君の事が大好きだった・・・

本当・・・私ってダメだよね?・・・素直になれない・・・酷い事を言っていつも君の事を困らせてしまっていたの・・・本当は気を引きたかっただけだった・・・意地悪言うつもりなんて全く無かったの・・・本当にごめんなさい・・・大好きな智之君・・・今迄本当にありがとう・・・私、あなたに出逢えて本当に良かった・・・そして、あなたと一緒にいる時は私にとって誰よりも幸せな時間だった・・・先に勝手に死ぬ事をどうか、許して下さい・・・さようなら・・・」




智之「何でだ!?こんな・・・こんな苦しい気持ちを一人で抱え込んでいたのか!?・・・夏美・・・本当にごめん・・・俺・・・今はっきりと自覚したよ!俺も、本当は君の事が・・・君の事が好きだったのだと!・・・どうか間に合ってくれ!今直ぐ探し出して見せる!!どうか・・・どうか・・・神様・・・どうか俺を彼女の元へ・・・間に合わせて下さい・・・どうか・・・どうか・・・どうか・・・・・」




さて・・・智君へ向けた遺書は書いたし、後は・・・あぁ・・・ここって廃墟だけれど、昔、私がまだお嬢様だった時によく連れて来てくれたわね・・・懐かしい思い出が沢山あったな♪智君と出会ったのもここだった!やっぱり・・・死ぬ時は思い出が沢山詰まった所で死にたいよね・・・


私は何故か涙が止まらなくなっていた・・・あぁ・・・でも・・・もう・・・真下を見ると風が少し吹いていて、夕日に染まった街が私の目を釘付けにした・・・綺麗・・・こんな素敵な風景・・・もう一度、もう一度だけで良いから、智君と一緒に見たかったな♪

もうそれも叶わないんだよね・・・私・・・もう・・・消えちゃうもんね・・・

涙が目にいっぱい溢れて、周りがよく見えなくなっちゃったな・・・

あれ?ふらっとして来た・・・あぁ・・これでやっと・・・やっと・・・




バサッ!!!




あれ?落ちたんじゃないの?私・・・落ちてない・・・




智之「夏美!ごめん!!!本当にごめん!!!」


夏美「あれ・・・?・・・智君?・・・何で謝るの?・・・又、私振られちゃったのかな?・・・」


智之「違う!!俺・・・君がいなくなろうとしてやっと気が付いたんだ!!本当は・・・本当は・・・俺・・・君の事が・・・・・」


夏美「あぁ・・・・智・・・・・君?」


智之「大好きだ!夏美!!死なないでくれないか!?俺・・・君がいなくなったら・・・」


夏美「それは・・・」


智之「あぁ!慰めでも虚偽でも無い!正真正銘俺の本当の気持ちだ!」


夏美「智君・・・」


智之「すまない・・・ずっと一緒だったから最初は本当に家族みたいに考えていたんだ!それは事実なんだ!・・・だけど・・・君が遺書を残していなくなった時にそれを読んで初めて実感したんだ!世界で一番大切な人は、一緒にいると空気の様な存在で、家族みたいで・・・恋心なんて芽生えないって思い込んでいたんだ!!でも違う・・・空気は生きて行く上で必要不可欠・・・空気が無くなったら絶対に死ぬ!・・・そう・・・俺にとって君は空気と同じだけど・・・それと同じで君がいなくなったら俺は絶対に死ぬんだ!だから・・・俺には君が必要なんだ!」


夏美「でも・・・家族も同じ・・・だよ?」


智之「あぁ!家族もいなくなったら死ぬかもしれない・・・でも、読んだ時にもう一つ今迄感じなかった君への気持ちが一気に溢れ出したんだ!・・・君と一つになりたいって言う強い気持ちが!!!」


夏美「信じて・・・良いんだね?・・・」


智之「あぁ・・・君も知っているかと思うけど、俺の意志はいつも堅いからさ!」


夏美「これからは恋人としてずっと一緒にいたいな?・・・」


智之「あぁ!勿論だ!・・・こんなタイミングで言うのはご法度かもしれないけど・・・夏美・・・俺は夏美の事が好きだ!!一度振った奴が言うのもお門違いかもしれないけど・・・一生大切にする事を約束する!だから俺と・・・俺と・・・付き合ってくれませんか?」


夏美「・・・・・・・・・・・・・はい💛こんな素直になれなかった私だけど、これからは素直になれる様に頑張るから、私の事をお願いします♪」


智之「あぁぁぁ!!ありがとう!!!本当に・・・」




こうして、間一髪の所で私の王子様は迎えに来てくれました。

そう・・・いつも私が苦しんで、助けて欲しい時には直ぐに駆けつけてくれた私の王子様・・・

それからずっと、私たちは仲良く幸せに暮らしています・・・






劇場ロビーにて




夏葉「えぐっ・・・えぐっ・・・」


愛華「はい!ハンカチだよ?・・・」


夏葉「あ・・・ありがとう♪・・・」


愛華「確かに私が書いた作品に少し似ていたかな?・・・」


夏葉「そうでしょう?とても感動するし、主人公の少女があの様な状況になって最後に好きな相手の男の子が助けてくれた♪・・・」


愛華「でも、あの登場人物の名前が気になったんだよね・・・」


夏葉「そうでしょ!チェックしていた時に私も気になっていたのだけれど・・・」


「あの・・・もしかして、八鬼人空 食多郎先生じゃありませんか?」


愛華「いっ・・・いえぇ~私その様な変な名前の人ではありませんが?・・・」


「いや!あなたは間違い無く八鬼人空 食多郎先生です!私の目に1秒たりとも狂いはありません!」


愛華「あの・・・私、女の子ですよ?八鬼人空 食多郎なんて男の人みたいな名前知りませんよ!」


「じゃあ、愛瀬 瑠奈先生では?」


愛華「あの?・・・どちら様でしょうか?」


「すみません・・・私、この映画の原作を書かせて頂いた、愛来(あいく) ルシイと申します。」


愛華「えぇぇぇ!!映画の作者さんだったんですか!?」


ルシイ「しぃぃぃ!!あまり人目に付くといけませんので下にある喫茶店で!?」






喫茶店にて・・・




ルシイ「先程は大変失礼致しました。それから、ご友人様にもご迷惑を・・・改めて・・・私、愛来 ルシイと申します。宜しくお願い致します・・・こちら私の名刺です・・・」


愛華「愛来 ルシイさん・・・小説家・・・映画評論家・・・ライター・・・音響監督・・・へぇぇぇ~・・・マルチでご活躍を!?凄いですねぇ~!!!」


ルシイ「はい・・・私もお蔭さまで様々なお仕事をさせて頂ける様になりました。」


愛華「それで・・・どうして私に?・・・」


ルシイ「はい!実は、私・・・先日雑誌の記事で先生のお顔を初めて存じ上げてから、お住まいも近いと言う事を知って、是非お会いしたいと考えていました!」


愛華「それで・・・私の過去の名前をご存じだと言う事は・・・」


ルシイ「はい♪私、実は先生の処女作を拝見してとてつも無く心を討たれてしまい、ご本人の承諾無くこの様に先生の作品をアレンジした形で映画迄制作される運びとなってしまった事をお詫びしたくて・・・本当に申し訳ありませんでした!!」


愛華「いえ・・・私、今日拝見させて頂きましたけど、確かに私のあの小説と似ている所もあるなとは思いましたが、そこ迄気に掛ける程では無いかなと思うんです!それに、あの小説は素人の頃の私の作品で、商業には一切関係の無いお話ですし・・・」


ルシイ「実は、先生の最初の小説以来、ずっと先生の作品は目にさせて頂いておりました。ですので、お近づきになりたいなとずっと・・・」


夏葉「ん?ルシイ先生?・・・」


ルシイ「はい?何でしょうか?・・・ん?・・・はっ!?」


夏葉「あぁぁぁぁぁっ!!!」


ルシイ「あぁぁぁぁぁっ!!!」


愛華「どうしたの?2人共!?」


夏葉「まさか・・・ルシイ先生って、結子(ゆうこ)お姉さま?」


ルシイ「やっぱり・・・似ているとは思っていたけれど、まさか、夏葉ちゃん!?・・・」


愛華「何!?2人共知り合いなの!?」


夏葉「すみません、愛華ちゃん!こちらは、私の親戚で濱風 結子(はまかぜ ゆうこ)」


結子「はい、私、本名は濱風 結子と言います。夏葉ちゃんのお母さんのお姉さんの娘です。」


愛華「これは、また・・・凄い偶然ですね!!」


結子「はい!これは素敵な運命ですわ♪」


愛華「急にお嬢様口調に!?」


結子「色々とお騒がせしてしまい、申し訳御座いません。私は表と裏の顔を持つ者として・・・私生活ではこの様に・・・」


夏葉「まぁ・・・私の様な感じだと思って下されば宜しいかと・・・」


愛華「はへぇぇぇぇ~・・・凄い!!」


結子「夏葉ちゃんとは大分長い間会えなくて寂しかったのだけれど、元気そうな姿が見られて私も嬉しいわ♪」


夏葉「はい♪お姉さまもお変わり無く安心致しましたわ♪」


愛華 (何だか・・・私・・・って場違いかな?・・・)


夏葉「ですが、まさかお姉さまが愛来 ルシイ先生だったなんて何も聞いておりませんでしたので・・・本当に驚いてしまいました!確か以前は・・・」


結子「えぇ!改名させて頂いたのを伝える事も出来ず、申し訳無かったです。愛瀬 瑠奈先生に憧れを持ってから、私も何か近いお名前を拝借出来れば良いなと思い、思いきって名前を変えてみましたの♪」


愛華「あぁぁぁ!それで似た感じのお名前だったんですね!」


結子「はい💛本当にあの様な素敵なストーリーを書ける方はこの世にどれ程いらっしゃるのか・・・」


夏葉「ふふふ♪それだけ先生の作品は皆に影響を与える程の素敵な作品だと言う事ですわ♪」


愛華「そんなに!?そう言われると凄く恥ずかしいよ・・・」


結子「是非もっともっと多くの方に先生の作品を知って頂きたいですわ♪」


愛華「あぁっ!?それで分かりました!登場人物の名前が・・・」


結子「はい!ご明察♪」


愛華「では、夏葉ちゃんの過去を・・・?」


結子「そのご様子だと既にご存じだと言う事ですね?・・・はい・・・私も後から夏葉ちゃんに聞いて驚いていましたが、それよりも同じ方の同じ作品に強く影響を受けたと言う事を知ってもっと驚いてしまいました!!やはり血の繋がっている者同士と言う訳ですね!!」


夏葉「本当に・・・♪」


愛華「そうだったんですね・・・でも、私の作品で良い影響を生んでくれたのであればそれはとても素敵で私も嬉しい事だな♪」


夏葉「えぇ♪本当に・・・少なからず私たちへ与えて下さった影響としてはとても偉大なものですわ♪」


結子「私も名前を変えて、先生の作品に影響を受けてから色々とお仕事のオファーやファンも増えておりますわ♪本当に先生のおかげです♪これからも先生の大ファンでいさせて頂きたいですわ♪」


愛華「そんなぁ・・・大した人間じゃないですよ・・・あまり褒められると・・・」


夏葉「いいえ!私たち、褒めてなんていないですわ!本当にそれだけ凄い方なのです!」






何だか異様な空気の中、私はかえって緊張感に見舞われてしまい・・・途中からどの様なお話をしたのか記憶がはっきりとしなくなっちゃいました・・・あはははは・・・はぁ・・・






夕方近くになり、ようやく喫茶店を出て愛来 ルシイ、いや、結子さんとお別れをして、、帰ろうとした時・・・




夏葉「愛華ちゃん!今日は、本当にありがとう御座いました。従姉妹が途中からいたから愛華ちゃんも大分緊張なさっていらしたと思いますが、どうか、許して頂け無いかしら?」


愛華「ううん!こっちこそ、色々と巡り合わせって凄いんだなぁって感じたよ!凄く素敵な一日だったよ♪ありがとう!」


夏葉「又・・・お付き合い頂いても・・・その・・・」


愛華「うん♪又、是非誘ってくれたら嬉しいな♪」


夏葉「あぁぁぁ!愛華ちゃん♪・・・はい!又、お願いしますね♪」


夏葉「では、私はここですので、今日は本当にありがとう御座いました。それでは、又学校でお会いしましょう♪ごきげんよう♪」


愛華「あ・・・・・あゎゎゎゎゎゎ!!!ここが夏葉ちゃんの家なのっ!?」


夏葉「はい♪私の家ですわ♪一度お時間がある時にご招待させて頂きますわね♪」


愛華「あぁ・・・そ・・・それは・・・どうも・・・ありがとうございます・・・」






あんな豪邸に住んでいるのに私が書いた小説の登場人物に憧れて普段は・・・

あぁ・・・ダメだ・・・やっぱりあの主人公の性格変えたいかも・・・




月曜日の学校にて・・・




愛華「あっ!青葉君、お休みの日はありがとう♪おかげで助かったよ♪」


智也「あっ、いや、偶然通り掛かっただけだし・・・映画どうだった?」


愛華「うん、色々と素敵な事があったよ♪」


智也「素敵な事か・・・良かったじゃん!」


愛華「うん♪あっ・・・そうだ・・・青葉君?夏葉ちゃんって凄いお嬢様なんだね!?家もだけどさ・・・何か学校にいる夏葉ちゃんとは比較にならない位に・・・」


智也「ん?・・・あぁ!あいつ本性現したのか?はははっ!まあ、良家の子女だからな!親父さんは他界したけど・・・まあ、その時も色々とあって・・・あぁ・・・そう・・・俺のせいでもあったよな・・・確か・・・」


愛華「青葉君!?・・・」


夏葉「あら?2人揃って何話をしているのかしら?イチャイチャしている様に見えるけれど?・・・」


愛華「あっ!夏葉ちゃん!?うん、休日助けてくれた件のお礼を言っていたの!」


夏葉「あっ!あぁ・・・そうだったよね?まあ・・・男が女の子が困っている所に助けに入るのは当然の事だろうと思うけれど・・・その・・・まぁ、一応お礼は言っておくわね?ありがと・・・」




(あぁぁぁぁぁ恥ずかしいですわぁぁぁぁ!格好良過ぎてしっかりと顔を見て言えない・・・やっぱり智也って格好良いですわぁ💛おもら、いえ・・・気絶しちゃいそう・・・💛)




智也「あぁ・・・まあ、お前の言う通りかもしれないな・・・そうだ!後で屋上に来てくれないか?」


夏葉「えっ!?私?どうして?」


智也「ちょっとだけ確認したい事があってさ?・・・まあ、嫌なら別に構わないが・・・」


夏葉「まぁ、あなたがそれ程迄に言うのなら行ってあげても良いわよ?」






昼休憩中・・・屋上にて・・・




智也「悪いな・・・昼休憩なのに・・・」


夏葉「いっ、いえ・・・別に構いませんが・・・話って何を?・・・」


智也「お前、香波と仲良くなってから表情が穏やかになったよな・・・」


夏葉「はぁ?わっ、私は元から変わってなんて・・・」


智也「いや・・・何と言うか・・・柔らかくなったと言うか・・・昔のお前に戻りつつある様な気がして・・・」


夏葉「もう、やめてくれない!?」


智也「あっ!・・・悪い・・・やっぱりお前はまだ引きずっているんだな・・・」


夏葉「今更何よ!?もう終わった事じゃない!」


智也「・・・・・そうだな・・・・・でも、俺はお前を嫌いになった訳じゃないんだ!決して・・・そう言うつもりで・・・」


夏葉「用が無いなら戻るけれど?」


智也「あぁ・・・悪かった・・・もう戻ってくれて構わないよ・・・」






愛華「夏葉ちゃん?どうしたの?少し表情が硬くなってるけど?何かあったの?」


夏葉「いっ、いえ!大丈夫よ?それよりごめんね?食事一人にさせてしまって・・・」






智也 (夏葉・・・お前はまだ引きずっているのか・・・あの日俺に告白してくれた時の事・・・

そして、俺が・・・断った事を・・・)






放課後・・・




夏葉「ごめんなさい、愛華ちゃん、私今日は用事があって先に帰らなきゃいけないから一緒に帰られそうにないの!本当にごめんなさい・・・」


愛華「ううん!私の事は良いから、気を付けて帰ってね?」


夏葉「うん、それじゃぁ又明日ね?」




そう言って夏葉ちゃんは急いで帰って行った・・・




愛華「さて・・・と・・・じゃあ、私も帰ろうかな・・・」


智也「香波?悪いが一緒に帰らないか?」


愛華「えっ!?私!?・・・いいけど・・・」






青葉君が私に、一緒に帰ろうって言って来るなんて!?何かあったのかな?

そう言えば、昼間の件、あの後戻って来てから夏葉ちゃんの様子も違っていたし・・・




青葉「悪いな、急に・・・」


愛華「えっ!?そんな事ないよ?丁度夏葉ちゃんも急用で帰っちゃったし・・・」


青葉「あの・・・さ・・・香波は最近あいつと仲が良いけど、何かあったのか?」


愛華「えっ!?まぁ、色々と話をしたから・・・」


青葉「あいつの過去の事って聞いているか?」


愛華「・・・・・・うん・・・・・少しだけ聞いたよ・・・」


青葉「あいつはさ・・・お嬢様育ちで、俺は幼少の頃に少しあいつを助けた事があって、それ以来どこへ行くにも俺について来て、いつの間にか俺にも妹が出来たみたいな気持ちでいたんだ・・・」


愛華「うん・・・」


青葉「長い間そう言う状態が続いていて、思春期の頃になったある日の事・・・あいつが俺を呼び出して来たんだ・・・普段そう言う事が全く無かったから俺は何があったのか心配になって呼び出された場所へ冷や冷やしながら行ったんだ!そうすると・・・」






(夏葉「智君?いつも私の側に居てくれて、私を守ってくれる智君・・・私は智君の事が大好きでした・・・私とお付き合いしてくれませんか?」


智也「えっ!?俺の事を・・・それは・・・何だ・・・悪い・・・俺・・・さ・・・お前の事を恋人として見る事が出来そうにないよ・・・幼少の頃から家族みたいに・・・妹みたいに見えていたお前だから、今から恋人だと言われてもそう言う気持ちになれそうにない・・・申し訳無いが・・・」


夏葉「ううん♪大丈夫だよ・・・私の勝手な気持ちだったから・・・智君に伝える事が出来て・・・ひっぐ・・・うれ・・・嬉しかった・・・えぐっ・・・嬉しかったよ・・・」


智也「夏葉・・・ごめん・・・本当に・・・」


夏葉「あっ!?ごめんね・・・私、用事があるから今日は一緒に帰られないからね・・・先に帰るね?じゃあ、又ね?・・・」)






智也「そう言って泣きじゃくりながらあいつは帰って行ったんだ・・・」


愛華「じゃぁ・・・夏葉ちゃんが告白したのって・・・」


智也「それも聞いていたのか・・・そうだ・・・俺だよ・・・俺があいつを断ってしまったから、あいつ・・・」


愛華「その続きがあるんじゃ?」


智也「あぁ・・・告白を受けてから間もなくの頃だったか、あいつの親父さんが亡くなった・・・あいつの家は良家だと言うのは知っている通り、母親方の財産なんだよ。幸い、あいつが父親を亡くして生活に困る状態だけは回避出来た・・・だが、俺があいつの告白を断ったのとあいつの父親が亡くなった事によって、あいつは・・・そう・・・自殺しようとして・・・」


愛華「うん・・・」


智也「あいつは、とあるサイトを見たんだ・・・自殺をする為に、手段を見付けようとしていた・・・その時に偶然ある素人の投稿した小説サイトで見付けた小説を最期として読んでみたいと・・・そして、その小説に感動させられ、心を動かされた・・・」


愛華「そうだったんだね・・・」


智也「何で俺がこうしてお前にここ迄あいつの事を話したか分かるか?」


愛華「うん、さっき言ってた夏葉ちゃんと私が・・・」


智也「違う!・・・違うんだよ!・・・香波と仲良くなってからのあいつの表情、雰囲気・・・昔に戻ったみたいだったんだ・・・きっと、あいつお前に対して心の底から信頼している・・・そんな風に見えた・・・」


愛華「えっ!?・・・それは・・・」


智也「愛瀬 瑠奈」


愛華「えっ!?それって・・・」


智也「あぁ、俺の大ファンの、いや、あいつが大ファンの作家・・・八鬼人空 食多郎先生の前のペンネームだった・・・あいつは愛瀬先生に心の底から惹かれていた・・・なぁ、愛瀬先生?もういいだろう?俺にどうして隠すんだ?」


愛華「ごめんね・・・もう、気付いてたんだね・・・じゃあ、隠す必要は無いよね?・・・そうだよ・・・皆、青葉君が思っていてくれている通り・・・そして、PN/TA八鬼人空大ファンさん?」


智也「なんだ・・・分かってたのか!」


愛華「あのプレゼントもちゃんと着けてくれてた♪凄く嬉しかったよ・・・でも・・・告白したのが夏葉ちゃんだったなら私は・・・」




♪パパパァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!




智也「危ないーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」




バッ!!!




智也「怪我は無いか!?」


愛華「えっ!?・・・・・うっ・・・うん、私は何とも・・・って車!?」


智也「あぁ・・・急だったから・・・でもお前が無事で良かったよ!!」


愛華「へっ!?あっ!!うん・・・その・・・ありがとう・・・はっ!?」


智也「・・・えっ!?・・・あっ!?悪い・・・くっついたままだったな・・・直ぐ離れるよ・・・」




夏葉「そんな・・・・・・・・」




智也「んっ・・・・おい!夏葉!?夏葉・・・・待て!?これは・・・」






智也と愛華ちゃんが!?・・・・・そんな・・・抱き合っていた・・・・

私・・・耐えられないよ・・・・






夏葉の自宅にて・・・


堺「お嬢様、先程は急なご連絡お許し下さいませ。実は美紗子(みさこ)様が倒れられて、先程病院へ運ばれました。今からご一緒に・・・」


夏葉「えっ!・・・・そんな・・・・お母さまが?・・・」


堺「はい・・・一先ず、急ぎましょう・・・」






お母様が!?そんな・・・

私は急いで近くの病院へ走って行った・・・車を出してくれると言う言葉を聴かずに飛び出して行った・・・お父様の時の様な事に!?それだけが頭の中を駆け巡った・・・

そして、学校近くの十字路へ差し掛かった時だった!

私は見てしまった・・・愛華ちゃんと智君が抱きしめ合っていた所を・・・

それより先に病院へ行かないと・・・そして病院へ着いた・・・




受付「涼原様は現在緊急手術を行っております。ご家族様ですね・・・3階迄そちら正面突き当りのエレベーターで昇って頂き、出てから正面突き当りを左へお進み頂いた所の椅子でお待ち下さい。」




手術室の前迄辿り着いた・・・

手術は私が到着してから5時間程が経っていた・・・

堺さんと一緒にただひたすら待っていた・・・

そして・・・




医師「涼原さんのご家族の方ですね?」


堺「はい、こちらが娘になります。」


夏葉「先生・・・?母は助かったのでしょうか?」


医師「・・・・・・・・残念ながら・・・・21時44分、息をお引き取りになられました・・・」


夏葉「・・・・・・・・・そんな・・・・・・・お母さまが・・・・・・お母さま迄・・・・・」




私は失ってしまった・・・全てを・・・そうだ・・・愛華ちゃん、智君と一緒になれたんだね?・・・良かったよ・・・愛華ちゃんって結構自分で分かっていない様だけれど、気持ちが出ちゃっている所があったからなぁ・・・智君の事好きだって言うオーラも凄く伝わって来てたし・・・2人共・・・幸せにね?・・・・・




私は病院から走って廃墟になったビルの屋上へ駆け上がった・・・

そう・・・このビルは・・・私が智君に初めて会って、助けてもらった場所・・・よく小さい頃お父さまとお母さまに連れて来てもらった大切な思い出の場所・・・もう廃墟になっちゃったけれど・・・私にとってはとても大切な場所・・・私・・・一度、愛瀬先生に助けてもらったのに・・・ごめんね?・・・もう私は何も無くなっちゃった・・・最後に智君に「ごめんなさい」したかったな・・・屋上で素直に私の思っていた事伝えておいた方が良かったかな?・・・でももう、智君の家迄戻るのも気が引けちゃうな・・・愛華ちゃんと一緒になったし・・・あれ?・・・これって何か似ている気が・・・ってそうか・・・愛華ちゃんと一緒に行った映画のストーリーと一緒なんだ・・・でもあれって結子お姉さまが書いたお話・・・ひょっとしたら先を読んでいたのかもしれないな?・・・でも映画だったら相手の少年が助けに来てくれたけれど・・・流石にそこ迄都合の良い事って無いよね?・・・






堺「はい、そうなんです・・・お嬢様が病院から走って何処かへ行かれてしまわれて・・・えぇ、お母様は・・・・・・はい・・・もし心当たりがおありでしたらお嬢様を・・・きっとお嬢様は・・・・過去の様な思いで・・・宜しくお願い致します。」






智也「おい・・・・あれは完全に誤解なんだよ・・・でも俺・・・・先生の作品が好きで、先生のファンになった・・・お前は勘違いをしている・・・俺が香波に気があったのは、きっと愛瀬先生が香波だって知っていたから・・・きっとそうなんだ!・・・俺はきっとお前の事を妹と思い込もうとしていただけだったんだ・・・こうしてお前が俺の側から離れて行ってしまう事を今痛感したけど、ダメだ・・・息が出来ない程苦しくて・・・頭がおかしくなりそうだ・・・どうか死なないでくれ・・・俺が・・・・俺が必ず・・・・待っていてくれ!!!!」






今日は満月が綺麗ね♪空気が澄んでいて、私を祝福してくれているみたい♪

ここへ来る時はいつも快晴だったりとても綺麗な空をしていた気がするわ・・・

あっ!そうだった・・・智君と最初に会った時、ここで私迷子になっちゃって助けてくれたんだったな・・・智君はいつでも私の側にいてくれて、私の事を見てくれていた・・・あの後、私は智君にベッタリだったよね?・・・ふふっ♪そうだった・・・お兄ちゃんみたいに・・・私には兄はいなかったけれど、お兄ちゃんが出来たみたいに嬉しくて・・・いつからだったのだろうか?それが・・・その想いが恋心に変わったのは・・・

あれ?・・・どうして?・・・私、泣いてるの?・・・おかしいな?お兄ちゃんだったはずなのに、いつの間にか恋人の様に思えて来て・・・それで私、告白したんだっけ・・・・・

でもそうだよね?急に告白しても、今迄兄妹みたいに思っていたその想いが恋人同士だって言う想いになんて変わりっこ無いよね?・・・私がワガママだっただけ・・・智君は何も悪くない・・・なのに私、愛瀬先生の小説読んでキャラクターになりきって智君に色々と意地悪な事を言ったり、智君を怒らせちゃったよね・・・ごめんね・・・本当に・・・ひぐっ・・・えぐっ・・・お父さま?お母さま?私を産んでくれて本当にありがとう・・・私はとても幸せな人生を送る事が出来ました。そして、とても素敵なお友達も出来て・・・それが私の憧れていた人でもあったの・・・本当に人生って不思議な事が沢山起こるよね?お父さまがお亡くなりになられて・・・私も智君に振られていたから凄く辛くて・・・それを愛瀬先生の作品で救われて・・・同じクラスの女の子がまさかその憧れていた先生だったなんて!それから・・・愛瀬先生と・・・あっ!愛華ちゃんだよ?・・・愛華ちゃんと映画観て・・・

映画は私が経験した様な事にとてもよく似ていて、それを書いた原作者が結子お姉さまで・・・ふふっ♪人生って本当に面白いよね・・・きっとお父さまもお母さまももっともっと生きていたかったかもしれないね・・・私も本当はもっと生きていたかったかもしれないよ?・・・愛瀬先生の小説のおかげで生きる意味・・・生きる楽しさ・・・生きる力強さ・・・全て教えてもらった気がしたの・・・でも、さっきね?・・・その2人が抱き合っていたの・・・お母さまが倒れたって聞いたから急いで走って病院迄来る途中で・・・

私、振られて智君が誰と付き合おうと構わないはずだった・・・だって智君もきっと愛華ちゃんの事が好きだったと思うんだ!それなのに私・・・私・・・

あれ?・・・この展開って同じだな・・・涙のせいか、周りがよく見えないや・・・

さて・・・そろそろかな?・・・皆、今迄本当にありがとう・・・もう私の事は忘れてね?・・・

さようなら・・・




バサッ!!!!!




夏葉「あれ?・・・私・・・落ちてない?・・・」


智也「やっぱりここにいたんだな!」


夏葉「あ・・・智・・・・君?・・・」


智也「あぁ、俺だ!堺さんから全部聞いた!大変だったな・・・」


夏葉「そうか・・・やっぱり、智君は私の王子様だったね?・・・」


智也「あぁ・・・それから・・・悪い・・・」


夏葉「えっ!?何が悪いの?」


智也「実は、さっきお前が見たのって・・・あれ誤解だからな・・・」


夏葉「あぁ・・・抱き合っていた所?」


智也「車が急接近して来てあいつが轢かれそうになったから俺がかばったんだよ!」


夏葉「えっ!?それじゃぁ・・・付き合ったりした訳じゃ?・・・」


智也「やっぱり勘違いしてるな・・・俺も本当の気持ちが分からなかったんだ!でも今回ではっきりとした!俺は、実はあいつが愛瀬 瑠奈先生だって知っていた・・・」


夏葉「いつから?・・・」


智也「結構前からな!だからだと思う・・・あいつの事が気になっていたのも全部先生だったからだ・・・」


夏葉「そうなの!?・・・」


智也「あぁ、それで、お前の告白を受けた時の事・・・あれも事実は事実だった・・・でも・・・」


夏葉「でも?・・・」


智也「今日、堺さんから電話があった時に、俺の本当の気持ちに気が付いたんだ!」


夏葉「・・・・・・・」


智也「俺は・・・・・お前がいなくなる事を考えた時に、物凄く息が苦しくて、体が動かなくなった・・・それと同時に今迄感じた事の無い程の恐怖心や憎悪がした・・・」


夏葉「智君・・・・・」


智也「あぁ・・・今の今迄気付かなかった自分を思いきり殴ってやりたくなった・・・」


夏葉「あぁぁぁぁぁ!!」


智也「こんな状況の中・・・それから、一度お前の事を振ってしまっているのにこんな事を言うのは筋違いだとは分かっている・・・だが分かっているけど、言わせて欲しい・・・俺は、涼原 夏葉・・・君が好きだ!どうか俺と付き合って欲しい・・・」


夏葉「智・・・君・・・私で・・・私なんかで良いの?・・・」


智也「お前じゃないとダメなんだ!お前の代わりなんて誰もいない!俺は世界で一番お前の事が大好きだ!」


夏葉「映画と同じシチュエーションになった💛」


智也「香波と観た映画の事か?」


夏葉「うん♪智君と私みたいな感じだったよ💛」


智也「そうか・・・それはハッピーエンドだったか?」


夏葉「うん♪今の私たちみたいに幸せだったよ💛」


智也「そうか・・・俺も今度観に行こうかな・・・」


夏葉「一緒に観よう?もう、愛瀬先生の小説の主人公の女の子に頼らなくても良いんだね?」


智也「あぁ、やっぱりお前は今の様な素のお前の方が良いよ!その・・・可愛いし・・・本当に・・・好きなんだ・・・」


夏葉「💛・・・嬉しいな♪智君・・・チュッ💛」






次の日・・・学校にて・・・


先生「本日は、涼原さんのお母様がお亡くなりになられた為、涼原さんは欠席になります。恐らく数日間は学校を休む事になると思われます。彼女は先にお父様も亡くされているから、色々と心情も察してあげて下さい。」




♪ガラガラガラ




先生「涼原さん!?家の方は大丈夫なのですか?」


夏葉「はい、色々と親戚の方が協力して下さったので、もう大丈夫ですわ!皆様方にも色々とご迷惑をお掛けしてしまいまして、本当に申し訳御座いませんでした。登校の方も大丈夫ですので明日以降もきちんと登校させて頂きます。」


先生「あの・・・口調が、いつもと違う様で?・・・」


夏葉「あら!?これは失礼致しました。直ぐに慣れて頂けるかと存じますので、もう少しのご辛抱を賜れると助かりますわ・・・」




智也「いくら何でも早過ぎないか?本当に家の方は良いのか?」


夏葉「うん♪堺さん達も手伝ってくれて、家の方も凄く近しい親戚の叔父さまと叔母さまが引き継いでくれるって、遺書にも残してあったみたい!」


智也「それじゃぁ、お前も?・・・」


夏葉「ん?智君が同居してくれるなら家から出ても良いよ♪」


智也「いやっ!流石にそこ迄はまだ早いだろ!?」


夏葉「♪~」


愛華「あれ?2人共随分仲良くなって・・・でもお母様が・・・」


夏葉「ううん!気にしないで?もう私には大切な人が出来たから大丈夫♪」


愛華「じゃぁ・・・」


智也「あぁ!本当の気持ちが分かって・・・」


愛華「そう・・・か・・・良かったね♪夏葉ちゃんも辛い時に心強いパートナーが出来た訳だね♪」


夏葉「うん♪これも皆愛瀬先生のおかげだよ!?本当にありがとう♪」


愛華「私は何もしてないよ?・・・まあ、2人が仲良くなれたのなら私も光栄だよ!!」




そうか・・・2人は結ばれたんだね!本当に良かったよ!ううん!きっと元々結ばれていたんだよ!それが少し違う方向にあっただけで、これからは一緒の方向へ向かって頑張って進んで行ってね♪






帰宅後・・・


何でだろう?・・・涙が出て来ちゃった・・・嬉し泣きかな?・・・あの2人がようやく結ばれたみたいで嬉しくなって・・・




「嘘!?だってあなたは彼の事を好いていたでしょ?」


「いいえ、好きだったと言う気持ちじゃないよ!あれはファンが大切に想ってくれていたから嬉しかっただけだよ!」


「いいえ、あなたはその気持ちと一緒に彼に対する恋心を抱いていた!」


「そんなはずないよ!だって薄々気が付いていたもん!!夏葉ちゃんが幼馴染に告白して断られた事を・・・幼馴染って青葉君の事だって知っていたでしょ?」


「知っていて何?例え夏葉ちゃんから告白された相手が青葉君であったとしてもあなたが好きだと思う気持ちは別でしょ?」






分からなくなって来ちゃった・・・私って・・・私の存在意義って何?

私の最初に書いた小説を読み返してみた・・・

あぁ・・・これ知ってる・・・そうだ・・・私・・・私も・・・この子の様な人生を送って来たんだった・・・だから私、忘れない様に・・・あの時の気持ちを忘れない様に・・・書いた・・・でも・・・決定的な食い違いがたった1か所だけあった・・・

そう・・・ラストの一番最後のシーン・・・「2人はそして幸せに暮らしました」・・・そう・・・彼は・・・もう、この世にはいない・・・






















第三巻 終

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