太陽はハゲたおじさん

 太陽はおじさんのハゲ頭だ。


 私には霊感がある。霊感があるので人とは違うものが視えるのが常だが、いくらなんでもこれはあんまりだと思う。

 人間から見た太陽は光の塊であり、目が眩むため直視してはならず、文化圏によって変わるらしいが、日本では絵に描くときは赤やオレンジで描かれることが多い。つまり普通の人にとってはひたすら眩しい存在であり、いつもなら私にも同様の視え方をする。

 けど私には、たまにおじさんの太陽が視える。メガネをかけた、巨大なハゲたおじさんの生首がニコニコと笑って宙に浮き、光っているのだ。正確には太陽はおじさんの後ろに隠れており、おじさんのハゲた後頭部に光があたると七色の、原色かつ絵の具で塗ったような平坦な色合いの後光が空いっぱいに、四方八方に広がっていくのだ。

 昔は怖かったがもう慣れた。サブカル系のイラストにありそうな光景だなとしか思わない。

 『二次試験終わりました』というメッセージとともに、SNSにイラストを投げる。イラストは今日の空模様、ハゲたおじさんの原色後光と仙台の町並みを組み合わせたものをそのまんま描いたものだ。

 しばらくしたら、感想がきた。

『今日のイラストもおもしろいです! もしこんな光景が現実だったとしたら怖いですね(笑)』

 当たり障りのない返信をしつつ、私には現実なんだけどなあ……と呟く。

 夜。窓の外ではハゲたおじさんが月を隠し、太陽の光を浴びて、ハゲた頭に光が反射して昼と違って寒色系の後光をばらまいている。そんな巨大な生首おじさんは、居眠りをしながら静かに浮いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る