新しい幽霊

 最近、学校に幽霊がでるようになった。


 女の人の幽霊で、夕方くらいになると校内を歩いている。歩くだけで悪いことをしたりはしていないが、低学年の子が見て怖がって、あっという間に高学年にも噂は広がった。

「調査しようぜ調査」

「いいじゃん面白そうで」

「……………」

「友也、お前もやるんだからな」

「ええ……」

「お前、男がそんないくじなしでどうするんだよ」

 怖い話は苦手だけど、無理矢理「調査」に付き合わされてしまった。聞き取り調査をしたり、よく"出る"という噂の廊下に張り込みをしたり。

 張り込みの最中、たしかに幽霊は出た。半透明な体がスーっと廊下を滑るように移動している。でも、それだけだ。血がついていたりしないし、おどかしもしないし、ただ学校のなかをうろついているだけ。

 友達みんなは飽きてしまったのか、いつの間にか調査をしなくなっていた。

「ジャンプ読んだ?」

「寝坊したから読めてねー」

「……………」

「さっさと理科室行くぞ」

「待ってくれよ」

 ……でも、僕は気づいてしまったんだ。幽霊が目撃者された場所は、理科室の近くであることが多いことと、急に幽霊が出るようになる直前に……。

「骨、腕生えてんじゃん」

「買い換えたんだって」

 腕が破損していた理科室の骨格標本が、新しいものに買い換えられたこと。

 ……偶然ならいいな、と思いながら骨格標本を見ないように下を向いて、理科室へと入った。

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