何でも屋 ドキドキさん!
はぁ~い多角経営!
日々オンラインショップであれやこれや売ってたりしてるドキドキさんだけど、新しい業種に参入してみました! 何でも屋さんです! はぁい拍手~。
さてなんで何でも屋さんかっていうとね、やっぱり世の中、"物を送る"だけでは解決できやいこともあるからね。例えば骨折して入院した人のお世話とか、必要な物を送るだけじゃなくて洗濯をしてあげたり、ペットの世話をしてあげたり、物ではなく行動をすることで手助けになることってあるよね? ね? あるよ。
はい!!!!! だから始めました何でも屋さん!!!!! ドキドキさんがなんでもやってあげちゃうよ!!!!!!! 犬の世話からフラッシュモブから◼️◼️◼️◼️◼️までなんでもお任せあれ!!! ドッキドキでスペシャルな結末に導いちゃう!!!
さあ、ドキドキさんにやってほしいことは何かな~~~~~~~~~????? んん~~~~~~?????
*****
トントントントン
誰かが玄関のドアをノックする。ちらと開けば玄関に続くドアを見つめるが、すぐにまた視線を戻す。なんせ真夜中だ。こんな時間に、チャイムがあるのにわざわざドアをノックするなんて怪しいことこの上ない。
ガチャッ ジャラッ バキッ
だから鍵をかけていたはずのドアが開いた音がして、更にチェーンが伸びた音がしたと思ったら、金属が破壊されたような音がしたときは一気に全身に緊張が走った。
咄嗟に立て掛けてた釣竿を構える。釣竿なんて武器になるのか?と自分でも思ったが、他にリーチがありそうなものがこれしかなかったのだ。包丁だの、ハンマーが入った工具箱は全てキッチンや玄関、つまりこのドアの向こうの、"誰か"がいる場所にある。
ガチャ、とドアが開いた。
『はぁい』
それは、異形の頭。
黒スーツを身に纏い、白手袋をした、この季節にそぐわぬ肌を一切露出していない男。そして何より目立つのは、首から上がデフォルメされた心臓のぬいぐるみだったことだ。
「な……んだ、お前……」
『へいお待ちっ! ドキドキさんだよっ!!!』
そして目の前の異形はその長い足で俺の足をなぎ払い、俺は床に倒れ伏し、その上一ミリも動けなくなった。たしかに木の床に叩きつけられた衝撃はそれなりにあったが、動けなくなるほどではない。これはもしや脊髄など傷ついてはいけないところが傷ついたのか? と恐怖する。
『ドキドキさんはねぇ、何でも屋さんなんだ』
ヤンキーのような屈み方をして、異形は視線を低くして語りかけてくる。
『ご注文がねぇ入ったの~。やったね!!! 初依頼だよ!!! 絶対に成功させなくちゃ!!!!! ドキドキさんがんばっちゃう!!!!!!!!』
「なんの……話だ……」
こんな珍妙な者を招いた覚えはない。
『ふふーん、ドキドキさんは君に依頼されたんじゃないも~~~~ん。彼女に依頼されたのサァ』
彼女、という言葉は最初意味がわからなかった。自分に恋人はいないし、姉妹もいない。母親もとっくの昔に他界している。
そして一つの可能性にたどり着いて、背筋に寒気が走った。
いや、まさか。
『ふっふっふっ~~気づいたかな~~? 気づいちゃったかな~~???』
そんな、わけは、と考えているうちに、キッチンのほうから何か音がした。それは、大きな質量があるものが、床に着地したような。
そんな、そんなわけは。
『ドキドキさんの今日の依頼はね!!!!! 復讐のお手伝いだよ!!!!!! さようなら!!!!!!!』
ガラリ、とドアが開く。
先日殺して冷凍庫に詰めたはずの女が血まみれでじっとこちらを睨んで……その手には、きらめく包丁が握られていた。
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