■■■■さんの■■学講座 ~■■■■■■編~
友達の成績がぐんと伸びた。
「最近勉強がんばってるの?」
私たちももう高校三年生だ。真面目に勉強して成績が急激に伸びる人がいてもおかしくはない。
「いい動画を見つけたんだよ~。勉強苦手な人向けですっごくわかりやすいよ!」
そして家に帰ったあとその動画を見る。たしかにすっごく分かりやすい。動画構成がいいのか、しゃべり方がいいのか、教え方がいいのか、するすると頭に入る。おかげで次の小テストは90点がとれた。いつもは60点くらいなのに。
「ありがとう! すごいねあれ!」
「でしょ? でさ、今度オフ会があるんだって。オフ会っていうか、勉強会」
「ほんと!? 行きたい!」
「抽選なんだけどさ、応募しようよ!」
そして私と友達は当選した。
「いらっしゃい」
勉強会当日。教えられた住所に行くと豪邸があり、美しい女性が優しく出迎えてくれた。中に行くと他にも参加者らしき同じ年頃の男女が緊張しつつ椅子に座っている。
「お茶をどうぞ。ジュースやコーヒーもあるわよ」
あたたかな声。やわらかな声。なんだかそれだけで安心できる。
「お菓子もどうぞ。勉強会の前に、ちょっとお茶会をしましょうか」
そして私は、お茶をすすり、小さいクッキーを一口かじった。
*****
ハイっ!!!!!!!!!!!!!!
お久しぶりだね~! ドキドキさんだよ!!!!!!!!
ドキドキさんの怪異学講座始まり始まり! 急にパソコンもしくはスマホの映像が切り替わって謎の映像が流れてドキドキした? ドキドキした? そうだよドキドキさんの仕業だからね!!! あれは資料映像だよ!!! リアルでの実例を編集して資料にしてみたよ!!! ドキドキさん偉い!!!
え? お前無償でけったいな物を送りつける奴だろって? その通り! こっちは副業で~~~~~す!
あくまで人間視点で名付けられた「怪異」たる存在であるドキドキさん自身が「怪異学講座」ってのもなんか変だな~?って思ったけど人間にだって人類学とかあるからいいや! さて始めよっか!
今回は寄生怪異編だよ! さてみんなは寄生虫ってご存じかな? アニサキスとか有名だよねぇ~~~~。あとカタツムリのやつとか……。
え? アニサキスは知ってるけどカタツムリのは知らない? 画像検索する? やめとけやめとけ! 後悔するよ!
あーはい、ではね寄生虫の中には宿主の行動をコントロールするものもいるんだよ! それこそ宿主の自我がなくなっちゃうようなやつもね! いるよ!
もちろん怪異にもそんなやつがいるよ! さっきいきなり見せつけた資料映像のものだね!!! さあ、あの子はどうなっちゃうのかな? それをこれから学習していこう!!!
この怪異の名前? ない。怪異にも社会性があるやつとないやつがいるからさあ、社会性がないと名前もつかないんだよね。
まあテキトーに今名付けようか、ちっちゃい怪異だから極小寄生怪異ね。略して極小ちゃんね。この極小ちゃんは空中に浮遊して風に乗って目鼻口から生物の体に入り込むよ! 人間にも動物にもね! そして入り込んだら徐々に脳を支配し、自分に有利な環境作りと拡散、繁殖のための行動を指示するんだ。
この極小ちゃんは自分の体を任意でバラバラにできるんだよね。そして核がある胴体を宿主に残して、他は別の宿主に寄生させるんだ!
そのために宿主に命令して「宿主と同じ種類の生物を集めて」「バラバラになった極小ちゃんが入った食物を他の生き物に食べさせる」のさ! バラバラ極小ちゃんは入り込んだ体内で成長して新たな核を作り出し一個体として独立するんだよ!
繁殖はね、同じ空間に仲間がいたら生殖器である触手を伸ばして繋がるんだよ。そんなの他人が見たらびっくりだけどこれ怪異だからね! 町中で繁殖してても霊感がある子以外は気づかないんだ。
え? バラバラになれるんだから繁殖いらなくない?って? いやあさすがに体をバラバラにするから弱くてね、成功率も半々くらいでね、半分くらいは体内で成長せずに死んじゃうし、最悪核がある本体も死んじゃうんだ!
でも繁殖なら弱らずに寄生する個体を増やせるよ! やったね! そのかわりに繁殖してくれるお仲間が必要だけどね!
はい! 今日の時間は終わり! しーーーーゆーーーーーあげいーーーーーーーん!!!!!!!
ドキドキさんの怪異学講座 ~極小寄生怪異編~
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