大切な友達

 ミキちゃんは大切な友達だ。


 引っ込み思案な私が転校して今の学校にやってきて、一番に話しかけてくれた子。私と違って活発で、明るくてかわいい子。

 私は中学生になってもお人形遊びが好き。他の子はそんなの卒業してるからずっと一人で遊んでたけど、ミキちゃんも実はお人形遊びが好きで、いっしょに遊んでくれた。いっしょにお人形の服を作ったり、ごっこ遊びをしたり、写真撮影をしたり。

 私はぼーっとしてトロいからしょっちゅう失敗するけど、ミキちゃんは全然気にしないで笑って許してくれる。

 だから、大切なお友達。

 そんなミキちゃんが転校することになって本当に悲しかったし、二人で今までの思い出を何時間も語ったりしてた。

 だから、気のせいだと思う。

 ミキちゃんが転校してから、クラスでたびたび起きて犯人不明だった窃盗が治まったのも、私の家のものがちょくちょく無くなってたことが治まったのも、きっと、気のせいなのだ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る