呪いの人形
呪いの人形を手に入れた。
オカルトなんて信じてないしどうでもいい。大事なのは、その人形の美しさ。見た目は典型的なレトロな西洋人形だが、目も、肌も、服も、髪も、何もかもが一級品だということはすぐにわかった。
店に並べられたそれを見て、すぐに欲しくなった。持ち主が不幸になるいわくつきらしいが、そんなものは信じてないからどうでもいい。格安で一級品の人形を手に入れて、本当に本当に嬉しかった。
手に入れてから三ヶ月になるが、不幸になる兆しはまったくない。今日も服を一着縫い上げて、着せ替えて写真に撮るという穏やかな日々を送っている。
*****
姉は今日も人形にかかりきりだ。
今日も、昨日も、その前も、ずーっと。
前はしょっちゅう友達や彼氏と遊びにいったのに今はずっと人形人形人形人形。とうとう彼氏からは愛想をつかされたらしいが、姉は一切気にする様子はない。友達からの遊びの誘いを断り続けているから、いずれ疎遠になるだろう。
仕事は問題なくやっているようだし姉の自由ではあるのだが、ふと思う。あれは持ち主を不幸にする呪いの人形だと。
姉が周囲の人間関係を全てを失ったあと、あの人形が急に煙のようにいなくなったら、姉はどうなるのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます