河原の石
河原の石は持ち帰ってはいけない。
昔、漫画でそういう内容の文章を読んだことがある。曰く、水辺は霊が近寄りやすく、石に霊が宿っていることがあるという。
その漫画独自の設定ではなく、オカルト界では昔からそう囁かれているそうだ。
だから、持ち帰った。
幽霊なんてものが本当にいるとしたら、ぜひお目にかかりたいね、というどこか上から目線な気持ちで。
ざりっ ざりっ
ざりっ ざりっ
夜になると、そんな音がする。何かが這いずり回っている音。一人暮らしだ。ペットはいない。
そしてそれは、床を見ても何も見えないのに、鏡を覗き込んだときだけ、床を這い回る姿を捉えることができる。
ざりっ ざりっ
ざりっ ざりっ
長い髪。女だ。白い洋服を着ている。
そして、目も、鼻も、口も、顔のパーツが位置も角度も何もかもが全てめちゃくちゃに、顔面の中央に集められていた。白くて細い腕にはふきでもののようなぶつぶつが浮かび上がり、そしてなぜか棘のようなものがピン、と立っている。
ざりっ ざりっ
ざりっ ざりっ
拾ってきた石は引き出しの中に入れておいたはずなのに、なぜか行方不明だ。
自分は『何』の幽霊を連れ去ってきてしまった?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます