死にゆく場所
そこでは、みんな死ぬ。
理由はわからない。何か恐ろしい事件があったわけでもない、ただの土地。
けれど、そこに住んだものは速い者は一週間、遅い者は三年で死ぬ。そして死に方は一様に、まるで夜眠るときのように、穏やかに死ぬ。どんなに若い者でも、ある日突然電池が切れたかのように、うたた寝から目覚めない。
人間だけではない。動物も、虫も、妖精さんだって、そこでは同じようになる。
そこは、そういう土地。
「……あれ?」
私は、更地となっていた“そこ“で工事が行われていることに気付いた。みんな穏やかに死んでしまう場所。理由は人間も、その土地の近くに住む妖精さんだって知らない、不思議なところ。
「こんにちは」
「おや、こんにちは」
工事の様子を眺めていた中年の男性に挨拶をした。
「何か建つみたいですね」
「ああ。私が建てるんだ」
「何ができるんですか?」
男性は、微笑んだ。
「なあに、老人ホームを建ててみようかなとね……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます