最良の未来
近所の子供が亡くなったらしい。
「朝、起きてこないから見に行ったら亡くなってたって」
お母さんはそう言っていた。
「あんなに元気な子だったのにねえ。原因不明の心不全らしくて。胸に掻き毟った痕がいっぱいあったって」
「ふうん」
「いい子だったのに」
「………」
私は霊感があるから知っている。あの子は別にいい子じゃない。
だって、野良猫をいじめて殺していたから。
死んだ猫さんたちが言っていた。あいつに殺された。いじめられていじめられて殺された、って。バラバラにされた猫さんはみんな土にしっかりと埋められて隠されたらしい。
小動物を殺して、それをしっかり隠蔽して、そんな子供が行き着く先は何人もの人を殺すことだろう。
「ご両親は悲しんでるのかな」
「そりゃあもうね。いつも明るい人たちなのに、見る影もなかったわよ」
これがそのご両親にとって最良の結末だなんて、きっと一生知ることがないだろう。
私の視線の端を、猫さんの幽霊が通り過ぎた。
猫さんは振り返り、血のついた口をニイと歪めて笑うのだった。
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