視える/視えない
私には霊感がある。
だからときどき聞かれることがある。家族や友達の様子がおかしいから、何か取り憑いてないか視てくれって。そして私は視るたびに、私が視たありのままを伝えるのだ。
「あなたと私、どっちのほうがよく視えるのかしら」
そう言って不敵に話しかけてきたのは同じクラスの笹山さんだった。どうも私と同じ視える人らしい。私はそういう競争みたいなのは苦手なので笹山さんと関わりたくなかったけど、笹山さんはぐいぐいきて、あそこのお屋敷にいる幽霊がどうの、妖精がどうのと話しかけてくる。
けれど笹山さんに視える世界は私に視える世界とは全然違っていて、正直に「私にはそうは視えない」と答えると、いつも「私のほうがあなたよりもっとよく視えるみたい。本当に霊感があるの?」とバカにしてくるのだ。
そんな笹山さんが亡くなった。
なんということはない。彼女に見えていたのは、脳腫瘍がもたらした幻覚だったのだ。
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