薔薇の小人は溶かしている

 私には霊感がある。だから普通の人には視えないものも視えるのだ。


 三丁目の山田さんの家の薔薇の生け垣の隙間には、薔薇の花びらよりも小さい小人さんが住んでいる。

「おはよう、薔薇の小人さんたち」

『あら、おはよう。大きなお嬢さん』

 薔薇の小人さんはいつも丁寧だ。わざわざ朝の作業の手を止めて、私に恭しく礼をしてくれた。

『ねえ、見てくださらない? これ、綺麗に染め上がったと思わない?』

「素敵な漆黒のドレスね」

『人の髪の毛を溶かして染めてみたの。いろいろ試したけどここまで綺麗な黒になるのはやはり人の髪の毛が一番だわ』

 小人さんは髪の毛の束を稲わらのようにまとめあげながら、ニコニコと微笑んでいる。

「でも髪の毛なんてどこから持ってきたの?」

『夜中にこっそりここのお家の中に入るの。すみっことかにたまにあるわ』

「へえ」

『でもあんまりに綺麗にできちゃったから、友達から私にも作ってくれってたくさん頼まれちゃって。拾ってくる分では足りないわ

 だからね、最近はこのお家の人が寝てるときに、こっそり刈り取ってきちゃうのが日課なの。内緒よ?』

 ふふ、と小人さんは微笑んだ。


 そのあと立ち寄ったドラッグストアで、山田さんが育毛剤を買っていた。

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