第19話 違い


一番最初に突っ込んできたのはチェンソーを持った男で

大きく振りかぶり、上から切りかかってきた

俺は右に大きく飛び

隣にいた鉄パイプを持った男の襟元を掴みチェンソー男に投げつけた

男の手からチェンソーが宙に投げだされ、そのまま仰向けに鉄パイプ男と一緒に倒れた

そしてチェンソー男の顔目掛けてチェンソーが落ちた


「ああああああああ」

チェンソー男は顔が切り刻まれたらしく、うつ伏せに丸まり叫び声をあげている


他の連中はその光景に目を奪われていた

その一瞬がチャンスだ


近くにいる奴から順に首を切っていく


鬼神までとはいかないが

間合いを詰めるスピードには自信がある

一気に相手の懐まで潜り込んだ

相手の腰ぐらいに頭がくるような形で重心を落とし

逆手で持った刀で首をオーバーハンドブローの要領で切った

まず1人目


次は金属バットを持ち後方にいる奴を狙った

一気に後方に飛び

相手のみぞおちに刀を突き刺した

2人目


みぞおちから刀を抜く力を利用して体を一回転させ

前方から寄ってくる奴の首をぶった切った

3人目


次の相手に狙いを定めるまえに

周囲の手が止まっていることに気づいた

武器を手から離し、地面に落としていった

呆然とただ突っ立っていたり

両手を上にあげる者もいる


「なにやってるんだ!!殺せ!!」

司の叫び声が響いた


「死にたくねぇよ、、、まだ、、本当に死んでんじゃねぇかよ、、、ああああ」

俺を取り囲んでるひとりが逃げるために走り出そうとした瞬間

司が懐から拳銃を出し

そいつの頭を撃ち抜いた


「おい。戦わないなら私がお前らを殺すからな。わかったか!!」


司の言葉を聞き

俺を取り囲む連中は

恐る、恐る武器を拾おうとした


コイツらは俺を殺す気がない

完全に怯えているからな

ただ俺はコイツらを生かすつもりもない

司だけを狙い、殺すことはできるが

残ったコイツらはどうなるって話だ

なにも知らずにここにいる訳でもないだろうし

俺は怯えてるから、戦意喪失をしているから

というつもりで生かすつもりはない


コルトガバメントを抜き

頭を撃ち抜いていった

叫びながら逃げようとする奴らも逃しはしない

そいつらの後頭部も撃ち抜いていく

全員逃げ惑うだけだ


司が「戦え!」と叫んでいるのが耳に入ってくる

そして俺に銃口を向けようとした


俺は一気に詰めより

拳銃を持った腕を切り落とした

司の叫び声が響いたが

切り落ちた司の手から拳銃をとり

逃げ惑う奴らを撃ち抜いていった

囲まれてから5分もかからず

皆殺しにしてやった


司は地面に座り込み

右腕の切り口を抑えながら

車にもたれかかっている


「おい司、お前らのアジトはリチャードを下ろした場所か?」


「そうですよ。あそこです。まぁうちの組織内じゃ俺は最弱の部類ですから、あなたじゃ行ったところで相手にならないでしょうね。精々頑張って下さいよ」


「そうか、わかった。ところでお前らの目的はなんなんだよ?」


「目的?単純ですよ。新しいものを作り出すためには元あるものは壊さないといけませんよね?この国を潰すんですよ」


「それはキリルの計画か?」


「おっと、、、話が過ぎましたね。まぁ地獄でまた会いましょう闇狩りさんよぉ」


司は自分の太ももを殴った


カチッ

ピピピピ


「司、てめぇ」


コイツは太ももに爆弾を仕込んでいた

自爆するつもりだ


「さーーー爆発しますよーー!!さよーならー!あははははは」


司の笑い声が響く

俺は急いでバイクの元へ駆け出した


エンジンをかけ

走り出した瞬間

背後から爆音が聞こえた

車も一緒に爆発したようでかなり大きな音だ


バイクを走らせながら社長に連絡した


「お疲れ様です。一瀬です。司は始末しましたが、なにも聞けませんでした。最後は自爆しました」


「お前は無事か?」


「なんともありません。早急に戻ります」


「わかった。一瀬、、、パプリカだが、、、リチャードに殺された」


「そうでしたか。自分も来るのが分かっていたかのように大人数で待ち伏せされてました。パプリカもですか?」


「いや、リチャードひとりだ。リチャードに見つかり殺された。通信は繋がったままで音声は聴こえてたから分かったんだが、助けに行く間も無く殺された。アイツらはあの建物から周囲をつねに監視している。安易に近づくことも許されないようだ」


「パプリカの遺体はどうなったんですか?」


「すまぬが、、、確認が取れていない、、今言った通り安易に近づけないんだよ。リチャードがパプリカを殺害をしたあとBluetoothを見つけ話掛けてきた。私はそれに応対した。向こうは邪魔しなければもう狙うことはしないが、邪魔するようであれば皆殺しにすると脅しをかけてきた。そして、奴は自分からそこがアジトだといい、ビルから1km圏内に誰かが入ればすぐ分かるような監視を行っているらしく、怪しい奴は片っ端から殺しているらしい。それが本当であれば近づくことはできない。計画が必要だ。わかってくれ」


「分かりました。とりあえず戻ります」


俺はバイクを飛ばしながら考えていた

逃げ惑う中国人マフィア達を皆殺しにしたリチャード

逃げ惑う目出し帽の男達を皆殺しにした俺


やっていることは同じかもしれない

ただ俺は正義のためにやってる



これは正義なのか?


なにをしているんだ俺は

こんなに苦しくなるなら

こんなことやめてしまえばいい


ただ俺の生きる理由はこれしかもう残っていないんだよ


リチャード達も自分らが正しいと思っていることがある

俺と変わらないんじゃないのか


それなら何故戦う?


もう訳が分からなくなってきた



あー帰って早く寺島さんのアニメが見たい











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

for a good cause 妃Na乃 @fearless

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る