第406話【捌のインタビュー】

「ジム、 終わったー?」


インタビューが終わったジムが駐車場に行くとマミが待っていた。


「おう、 終わったぞ」

「じゃあ帰るけど乗ってく?」

「いや、 折角だからクルセイダーズ、 いや元クルセイダーズか

元クルセイダーズの捌さんにインタビューしに行くわ」

「あらそう、 確か捌さんって・・・」

「今は怪人復帰施設の代表だ、 歩いて行って来るよ、 近いし」

「分かった、 じゃあ気を付けてねー」


マミは車を走らせて去って行った。

ジムはゆっくりと歩を進めていった。

怪人復帰施設は怪人になった人間の社会復帰を目的とした施設だ。

怪人達はここで作業等を行い賃金を得ている。

作業の内容は様々だがきちんとした会社として成り立っている。

営業やポスティング等の街中を動き回る作業は出来ないが

それでもここに勤める怪人達は皆、 平穏に暮らせている。

この怪人復帰施設の代表が捌である。


怪人復帰施設に入ると代表の捌が待つ部屋に通された。


「やぁ」


部屋に居た壮年の男性、 彼が捌である。


「捌さんですか、 私インタビュアーのジムと申します」

「ほうジムさんですか、 何処かでお会いしましたかな?」

「えぇ、 ずっと昔にC2システムの取材に・・・」

「C2システムですか・・・あのシステムのせいで怪人になって年取ってしまいましたよ」

「御愁傷様です」

「とは言え怪人化の力が無ければ今頃生きていない、 皮肉な話です」

「そうですか・・・」

「それではインタビューと言う事ですが何を聞きたいのですか?

この施設の事でしょうか?」

「そうですね・・・ではまずこの施設の事から教えて貰って良いでしょうか?」

「この施設は怪人の社会復帰を目的とした施設と言う事は知って居ますね?

具体的には福祉作業所をイメージして貰えるとありがたいです」

「福祉作業所ですか」

「えぇ、 怪人になると異常をきたす事が多いですからね」


遠い目をする捌、 自分が怪人になった時の事を思い出しているのだろうか。


「確かに急に自分が怪人になったなんて事になったら頭が可笑しくなりそうですね」

「体も可笑しくなりますよ」

「体も? 確かに怪人になるのは異常と言う事ですが・・・」

「いや、 そういう意味では無く、 怪人となった際の自傷行為で四肢を失う事が有るので」

「あぁ・・・」

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