第407話【10年後のクルセイダーズ】

「クルセイダーズを率いていた捌さんですが

クルセイダーズの構成員の方は全員この施設に?」

「いや、 一部だけですね、 余生を送ったり

癒し屋の治療所を手伝ったりしていますよ、 コーヒーは?」

「頂きます」


インスタントコーヒーを入れる捌。


「まだまだ豆コーヒーは高いのでね」

「いえいえこれで充分ですよ、 しかし政府のお抱えの施設なのに何と言うか・・・」

「ボロい?」

「えぇ」

「民間の払い下げですからね」

「そうでしたか」

「実際、 結構政府からは眼の仇にされてますよ、 怪人も私も」

「そうなんですか?」

「怪人を人間に戻す為に予算を使うよりも

怪人を殺す為の武器製造の方が安上がりですからね

それに怪人には負の実績がある」


コーヒーを飲む捌。


「負の実績・・・確かに怪人に家族を殺された者は多い」

「だからと言って無罪の怪人を迫害するのは逆効果だと思う

追い詰められて人を攻撃する怪人なんて、 ここ10年で初めて出だしたケースだが

怪人の3割がこのケースだ」

「やり切れませんね」

「そう、 そして負の実績はまだまだ積み重なる」


捌が沈黙する。


「君もジャーナリストならば知って居るだろう?」

「えぇ・・・獅子堂一派擬きですよね」

「唐沢一派、 綺堂一派、 見岬一派、 様々な怪人組織が現れ消えていった

見岬一派なんて最悪だ、 この施設を占拠して蜂起を呼び掛けた」

「その話は聞いた事が有ります、 この施設の怪人達を唆そうとしたんですよね」

「そう、 結果として話を聞く怪人が居なかったのが幸いだった

そしてこの場所にこの施設が立っていた事も」

「この場所?」

「政府は怪人達が蜂起した時の事を考えて国防軍の近場にこの施設を建てたんですよ」

「信頼されていないんですか?」

「でしょうな・・・仕方ない事と割り切る事も出来ます・・・」


ジムもコーヒーを飲む。


「・・・先程、 貴方も目の仇にされていると仰いましたね?」

「えぇ、 私は滝氏とは政治信条が異なりますのでね」

「政治信条が異なる?」

「えぇ、 滝氏に終焉の日についてインタビューを?」

「しましたが・・・」

「彼の本を読みましたが、 彼の証言には嘘が含まれています」

「嘘? ですか?」

「えぇ、 私があの日に起こった真実を伝えましょう

とは言え実証は出来ないので妄言に等しいですが」

「是非ともお聞かせ下さい」

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