第398話【完全防壁】

大聖堂から外を見る怪人達。


『上手く行ったな』

『あぁ・・・』

「・・・お、 おい!! 一体何が起きているんだ!! 説明しろ!!」


外部から雇われた怪人ハンター達が説明を求めた。

彼等は戦力としてノギクボ教に雇われているのだ。

怪人の一体が人間態に戻り説明を開始する。


「そんなに喚かないでくれ・・・」

「だって住民が明らかに可笑しかったじゃ無いか!!」

「これは我々ノギクボ教が開発した神の威光を借り奇跡を現世に招来させて

幸福を与える、 祝福の技法だ!!」

「・・・・・薬でもやっているのか?」

「正解、 色々言っているがヤクを散布して強制的にヤク漬けにしちまう装置よ」

「イカレてやがる・・・」

「教祖様の指示で造られたこれは【ユートピア】と名付けられている」

「ユートピア・・・理想郷か・・・」

「そうだ、 ヤク漬けになっちまえばハッピーハッピーだ」


楽しそうに笑うノギクボ教信者。

怪訝そうに見る怪人ハンター。


「・・・・・ヤク漬けにして如何するつもりだ? 後が続かねぇだろ」

「後か、 兎に角今回は生き延びる事が最優先だ」

「・・・」

「アンタは心配性だな、 今回だけの仕事の関係なのに

気にするなよ、 俺達はここで教祖様の命令を待てば良い

少なくともこのユートピアが作動している間は俺達は完全に守られている

獅子堂一派もクルセイダーズも78もここには来れない」


怪人達がぞろぞろと移動する。


「お、 おい何処に行くんだ?」

「四天王の方々から指令を受取らなければならない

とりあえず御目通りを・・・」

『GIAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』


怪人の叫び声が響く。


「ん?」

「何だ?」


叫び声のした方を向くと、 如何やら外の様だ。

植物の怪人が暴れ回っている。


「あーあー、 逃げ遅れた馬鹿が居た様だな」

「お、 おい、 助けに行かねぇのか?」

「馬鹿を言うな、 天国に人助けに行けるかよ

俺迄犠牲になっちまうじゃないか」

「な、 じゃ、 じゃあ俺達も外に出られないって事じゃねぇか!!」

「いや、 マスクが有る、 それを付ければ出られる」

「じゃあ何で助けない」

「俺が言っているのは暴れている怪人の傍に行くのは危険だって事だよ

怪人に殺されてアンタ責任取れるのかい?」

「・・・・・」


歯がみする怪人ハンターだった。

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