第365話【貧富】

ジムはエコバックの中に自分が買った商品を入れる。

当然ながらポリ袋なんて物は無い。

有ったとしても暴利で販売しているのである。


「ジムサン、 キョウハオヤスミー?」

「あぁ、 そうだな」

「ジャアイッショニアソバナイ? サービススルヨ?」

「悪いが遠慮しておくよ・・・ん?」


スキンヘッドの男が建物に入って来た。


「流れ者か・・・?」

「イラッシャイマセー」

「これで買えるだけの肉をくれ」


そう言ってスキンヘッドの男が出したのは一万円札。


「・・・・・」


店番は黙って500gの薫製肉を渡した。


「これだけか!?」

「ワルイケドエンノカチハココデハコノクライヨー

ココデハPガオカネノカワリ」

「くっそ・・・!! 足元見やがって!!」


そう言って薫製肉にかぶりつくスキンヘッドの男。


「相当腹減ってんだな兄ちゃん」


ボスがスキンヘッドの男の肩を叩く。


「アンタがここの店主か? ぼり過ぎだろ!!」

「文句が有るなら買うなよ」

「畜生め・・・」


恨めしそうにボスを見るスキンヘッドの男。


「ボス、 乞食共がまた来ました、 如何します?」


外から男がボスに話しかけた。


「やれやれまたか、 ジム、 兄ちゃん、 手を貸して貰えるか?」

「手を貸す?」

「ふぅ・・・じゃあ今の分は払い戻ししてくれよ」

「良いだろう、 兄ちゃんには後で缶ビールをやろう、 それで如何だ?」

「如何だも何も・・・一体何だ?」

「俺はここら辺ではそれなりに名が通っている水の売人だ

言うならば水長者って所だな、 こうやって店もやっている」

「はぁ・・・」

「そんな俺に集ろうと乞食達が徒党を組んで襲い掛かって来る

まさに世紀末だ、 ウチの若いのが国防軍を呼びに行っている間

ここを守らにゃならないそこで人手が居ると言う訳だ

武器は支給するよ」

「・・・・・」


スキンヘッドの男は考えてからこういった。


「酒よりも飯が欲しい、 白い御飯で三食おかずに飯付きで用心棒をやってやろう」

「用心棒ねぇ・・・働き次第になるな、 今回の戦いぶりを見させて貰うよ」


そう言って店の奥に引っ込む店番とボス。


「おいおい、 何処に・・・」

「屋上で見るんだろ、 兄ちゃん荒事は得意か?」

「得意も得意、 大得意よ」


そう言って服の中から巻き付けたチェーンを見せるスキンヘッド。


「お、 おぉ・・・じゃあ行くか」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る