第343話【夢宮は尋ねる】

「C2システムが?」


怪訝そうな顔をする樫木。


「いやそれは無いだろう」

「樫木、 無くはないんじゃないか?」


別の隊員が口を挟む。


「いや、 夢宮、 何でそう思うんだ?」

「だって眼の前でC2システムを起動してこうやって大勢の人が怪人になっているのだから

怪しいと思うのは当然じゃないんですか?」

「さっきの君の話では君が初めて怪人になった時

人に対する強い憎悪、 憤怒、 殺意、 つまり強い感情が必要だと言う話だ

ならば俺達がここで死にかけて強く行きたいと願って怪人になるのは当然じゃないか?」

「いや樫木、 それは可笑しい」


と別の隊員が否定する。


「何故だ?」

「生命の危険で怪人になるのならば命の危険が有った俺達も怪人にならないとおかしい

最初の本部のスタンピードの際にC2部隊の殆どが怪人になっているはずだ」

「・・・・・」


頭を抱える樫木。


「夢宮、 君の論を肯定するとC2号部隊は怪人を造る技術で怪人を制そうとしている

という様に聞こえるが・・・」

「人間のリミッターを外そうとしたら怪人になった、 という可能性も有る」

「故意か否か・・・という事か・・・」


樫木の額から汗が噴き出す。


「大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない、 このC2システムが怪人化のキーとなっていたのなら

俺達は如何なる? このままC2号部隊に戻ったら・・・どうなるか想像がつかない」

「・・・・・一番偉い人に直談判して聞いてみると言うのは如何ですか?」


夢宮はアイデアを出した。


「子供の理屈だな、 直談判して如何なる?」

「C2システムの事について色々聞くんです」

「本当の事を馬鹿正直に言うと思うのか? 第一そこまで行くのに俺達が無事で居られる保証は無い」

「それなら公表するか?」

「怪人の正体が人間だと知られたら恐ろしい事になるのは想像に難くないと思うよ」


樫木はキッパリと言い切った。


「・・・馬鹿正直に話すか・・・それともこのまま逃げるか・・・如何するべきだ?」


樫木が悩みながら唸る。


「他にも方法は無いのか?」

「いや・・・しかし・・・」

「このまま悩み続けてもC2号部隊の救援が来る筈だ、 早急に何とかせねばならないだろう」

「しかし・・・」

「素人考えだけど良い?」


夢宮が再度挙手をしたのだった。

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