第340話【癒し屋は走らせた】
コンビニに駐車場に屯する不良達。
彼等の傍には厳ついバイクが何台も置かれていた。
「何かだりぃなぁ、 イイ女でも歩いていねぇかなぁ」
不良の一人が愚痴る。
「こんな良いバイクが有るって言うのに見る眼のねぇ女達だよなぁ」
スタスタとこちらに女性が歩いて来る。
「お、 イイ女じゃねぇか、 おいねーさん、 ちょっと俺達とお茶しない?」
「良いバイクね」
バイクを指差す女性。
「あ? あぁ良いバイクだな」
「ちょっとかっ飛ばして欲しいんだけど良いかな?」
「は?」
眼が点になる不良達。
「俺達を足代わりにしたいって事か?」
「てめぇ、 良い根性してる女じゃねぇか・・・」
「タクシーには断られたからね、 代わりに頼むよ」
「何だとぉ!?」
「何処に行く気だ!?」
「畑間」
「畑間ぁ? 何処だそりゃあ?」
「おい、 待てよ、 畑間は今ヤバイってネットニュースでやってるぞ」
「ヤバい? 何か流行ってるのか?」
「ちげぇよ、 飛行機が突っ込んだとかで・・・」
「畑間になる早で行かないといけないからバイクで連れてってよ」
「悪いが断」
るを言い切る前に不良の頭を掴む女性、 いや癒し屋。
「ちょ!! 痛い痛い痛い!!」
「如何する? このままボコられる?」
「待って!! 待ってって!!」
「うーっす」
コンビニから大柄の男が出て来る。
「おい、 何してるんだ?」
「ヘ、 ヘッドぉ・・・実はこの人が畑間に連れてけって」
「イイ女じゃねぇか、 俺が連れてってやるよ」
「えぇ!? マジっすか!? 畑間は危ないって」
「危ない? はっ!! 俺の方が危ねぇ男だぜ!!
二ケツで良いなら乗せてやるよ!!」
大きな黒いバイクに跨る大柄な男。
「アンタ名前は?」
「癒し屋」
「癒し屋? ふん、 じゃあ俺はヘッドって呼んでくんな!!」
「分かった」
癒し屋がバイクの後ろに跨るとヘッドはバイクを吹かして全力疾走を始めた。
そして駐車場から車道に出た。
「このバイクは改造してめちゃくちゃ早く走る!!
良い声で鳴いて良いんだぜ!!」
「へぇ!! 何キロくらい出るの!?」
「改造してあるから100キロは軽いぜ!!」
「そんなノロマじゃあ亀にも勝てないわ!! 200以上出しなさい!!」
「おう!! じゃあ300キロ行ってみるかぁ!!」
そう言いながらヘッドはバイクのギアを上げて行った。
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