第321話【獅子堂からの電話】

PLLLLと電話が鳴る。


「もしもし」

『獅子堂です・・・不味い事になりました・・・』

「如何した?」

『ガサ入れされました』

「何処にだ?」

『部隊の方です』

「・・・・・何の嫌疑で?」

『身元が不確かだと・・・』

「誰が?」

『公安の森永が・・・機動部隊を使って・・・』

「C2システムの事が明るみになった訳じゃないのか

それならば問題無い、 お前達の代わりは幾らでもいる訳では無いが

それでもまだまだ沢山居る、 問題は無い」

『・・・・・いえ、 それが申し上げにくいのですが・・・

C2システムが駐屯軍に横流しされた様です』


ドンッ!! と机を叩く。


「馬鹿な!! あり得ない!! 何故だ!!」

『戝部が横流しした様で・・・』

「戝部・・・あの片足か!!」

『如何しますか・・・』

「戝部は今何処に!?」

『ヘリコプターで逃げました』

「分かった、 戝部は始末しておこう、 駐屯軍に関してはこちらで何とかしよう」

『良いのですか? 身元が不確かというのは建前で

本当は気が付いているのかもしれませんよ』

「何にだ?」

『・・・怪人の真実を・・・』


沈黙する。


「・・・・・だとすると部下を使うのは危険、 と言う事か」

『はい・・・そうなります・・・』

「ならば良し、 私自らが出よう」

『貴方自らが!?』

「お前達に任せてこんな粗が出て来たのだろうが

信用ならん、 私自らが対処する」

『ですが』

「くどい」


ピッ、 と電話を切る。

ピ、 と部下に指示を出す。


『はい』

「今日の予定は全てキャンセルしろ」

『分かりました』

「それからC2号部隊の基地から飛び立ったヘリコプターの居場所を特定しろ」

『特定、 ですか?』

「そうだ、 人工衛星の画像やら何でも良いから特定するんだ」

『分かりました・・・』

「分かったら携帯の方に繋げて知らせろ」

『はい・・・』


電話を切った。

そして本棚の前に立った。

本棚の本を規則正しく弄る事で本棚が横にスライドし

隠し通路が現れた、 その隠し通路に向かって歩いて行く。

無論、 通った後は本棚が元の場所に戻り再度隠れるようになる。


「全く・・・漸くここ迄来たというのに・・・イラつかせる連中だ・・・』


バキバキと頭から角が生える。

頭部が、 指先が白く変色し骨となる。


『戝部も駐屯軍も纏めてぶっ飛ばしてやる・・・』

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