第320話【獅子の困惑】

「森永部長!!」


公安の森永の部屋に勢い良く入る獅子堂。


「言いたい事が二つ御座いますが宜しいでしょうか!?」

「何だ?」

「まず始めに私に相談無く勝手にC2号部隊の隊員を使った事!!

そしてC2号部隊に突入して抜き打ち検査をした事!!

これは一体どういう事なのですか!!」


ドンッ、 と机を叩く獅子堂。


「・・・まず君の部隊の部下を勝手に使った事だが

情報漏洩を防ぐ為だ」

「情報漏洩ですと!?」

「そうだ、 DTDが行動を開始した途端

大獅子維新会が西京で暴れ始めた、 私はこれは無関係とは考えない

次に抜き打ち検査だがこれはむしろ、 君がやらなくてはならないのではないのかね?

身元を偽造している者があまりにも多過ぎる、 身元を洗うのは当然ではないのかね?」

「そ、 それは・・・」


詰まる獅子堂。


「如何した? 反論が有れば言って見ろ」

「・・・自衛隊からの引き抜きだったんです

ですので自衛隊の身元調査が甘かったとしか・・・」


溜息を吐く森永。


「他人のせいにするのは良くないと思うぞ」

「・・・すみません」

「今回の件でC2号部隊の人員は減ってしまうが身元が確かな者だけで

部隊を構成するのは寧ろプラスになると言って良いだろう」

「・・・・・しかし怪人が出てきてしまった場合

人員不足は本当に困るんです」

「それは分かる、 しかし今はC2システムも有る事だし問題は少ない筈だ」

「・・・・・そのC2システムでご報告が有ります」

「何だ?」

「C2号部隊の戝部がC2システムを駐屯軍に横流しをした疑いが有るらしいのです」


眼を見開く森永。


「何だと!?」

「現在ヘリコプターに逃走していると思われます、 追撃したいのですが

公安の機動部隊による聴取中なのでC2号部隊は身動きが取れません」

「それは公安で対処する!!」

「それからこの情報を垂れ込んだ怪人ハンターの滝氏が

駐屯軍から拘束され尋問、 隙を見て脱出した模様です

彼の保護も公安で頼めますか?」

「滝氏の居場所は?」

「南国です」

「南国の公安に要請して何とか保護して貰おう

それで他には何か有るのか?」

「いえ、 ありません・・・」

「今回の事は響くぞ、 覚悟しておけ」


獅子堂は力なく森永の部屋を後にした。

そして少し歩いた後に携帯電話を繋げた。

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