第300話【今後の進路】

民上と黄金坂が注文して来た蕎麦が運ばれてきた。

民上は普通のざる蕎麦を黄金坂はざる蕎麦大盛りにとり天まで付けている。

蕎麦を手繰る様にして一気に啜る黄金坂。


「本当においしそうに食べますよね、 と言うか飲んでますね」

「蕎麦は飲み物よ」

「うーん、 でもタレントの先輩として言いますけど

そんなに食べたらプロポーションが崩れますよ」

「私は汚れポジションでも良いし」

「・・・・・そんな考えでは汚れポジションにもなれませんよ」

「え、 そうなの?」

「えぇ、 貴方は汚れを普通のタレントよりも下に見てますが

彼女達だって一生懸命やっているんです、 一生懸命やっている彼女達に

汚れでもいいや、 と思っている貴女が太刀打ちできるとは思えません」

「う・・・だったら食事制限かな・・・」

「私としては怪人ハンターとの二足の草鞋を履く事をお勧めします

怪人ハンタータレントって物凄い需要有ると思うんですよ」

「それは嫌、 私は怪人ハンターを辞めたいのよ」

「何故ですか?」

「命の危険が有るから」

「あぁ・・・」


蕎麦を全て食べてとり天に進む黄金坂。


「命の危険ですか・・・」

「そうよ・・・もぐもぐ・・・私が怪人ハンターになったんは

家が貧しくていい学校に入れなかった、 だから大して学が無くても

勤められる割の良い肉体労働として怪人ハンターになったのよ」

「そうなんですか・・・でも怪人ハンターは凄い個性だと思いますよ

捨ててしまうには惜しいと思います」

「・・・・・貴女、 全身傷だらけになって二度と人前で水着姿になれない女の気持ちが分かるの?」

「え?」

「男を抱く事も出来なくなった女の気持ちが分かるの?」

「こ、 黄金坂さん?」

「如何なの?」

「・・・・・い、 いえ分かりません、 すみません、 不用意な事を言っちゃって・・・」

「分かれば良いのよ、 分かれば」


そう言ってとり天を全て平らげる黄金坂。


「でも怪人ハンターの仕事って怪人と戦うだけじゃ無いじゃないですか」

「確かにそうね、 コメンテーターとかも有るけど私じゃ無理そう

この前も怪人ハンターとしての経験からの意見を求められたけど

その仕事も空港襲撃にお流れになっちゃったし、 今頃向こうで滝君は如何してるかなぁ」


南国で仕事をしている滝に思いを馳せる黄金坂だった。

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