第269話【ミノタウロス】

Mazeの中を歩く四人のファイター。

Mazeの中は文字通り迷路で部屋は無かった。

通路には灯が灯っていたが薄暗かった。


「こうして四人で歩いているとRPGみたいだよな

戦士四人でバランス滅茶苦茶だけど」


バーサーカーが軽口を叩く。


「黙ってろ」

「三日月よぉ、 もうちょっとライトに行こうぜぇ?」

「殴るぞ」

「・・・へいへい、 それよりも三日月

お前、 何時もと得物が違うがそれで良いのか?」

「良いのか? とは?」

「ここってそれなりに狭いじゃねぇか長物は不利だろ

俺だって何時もの大鎌じゃなくて小さめの鎌にしたんだし」


そういって何時もの大鎌よりも小ぶりだがそれでも若干大きい鎌を見せるバーサーカー。


「・・・・・考えてるんだな」

「三日月ぃ、 ヤバいんじゃないのぉ?」

「黙っとれ、 普段使い慣れた武器で戦うのが肝要なのだ

それよりも情報を共有しておこうじゃないか」

「共有? 何を?」

「ここに居る怪人の事だ、 如何やら牛型の怪人らしい

ミノタウロス型、 と言えば分かり易いか」

「牛型の怪人って大体そうじゃね?」

「それもそうだが・・・ここの怪人は特に強いらしい」

「そりゃあそうだろ、 持ち運べる程度の武器は全く効果が無いって言ってたし」

「だから怪人が出たらぼ、 私が囮になるからお前達は早く逃げろ」


三日月の言葉に驚く一同。


「本気か? 三日月?」

「良いのか? あざーっす」

「一人にしておけないな、 何故残る?」


三者三様のリアクションを取る。


「ああああ、 君が私を心配してくれるのは有難い

しかし、 君の様な人間は生きて行かなけれなばならない」

「僕の様な人間?」

「そうだ、 こんな状況にもなってモラルを捨てない

そんな人間はこの世に一体どれだけいるだろうか」

「人間が嫌いなのか?」

「人間は好きだけど屑が多いとここに来てから実感したよ

君の様な人間は生き残るべきだ」

「・・・・・」

「お二人さん、 盛り上がっている所悪いんだが・・・」


バーサーカーが髑髏の面を少しずらして鼻を鳴らす。


「なーんか獣臭がしないかねぇ?」

「獣臭?」


少し先の突き当りから影が伸びていた。

その影は牛の様な角の生えた人の影。


「ミノタウロス様のご登場ってか?」


武器を構えるファイター達。


「じゃあ、 手筈通りにやろう」

「分かったよ・・・生きて帰れよ三日月・・・」

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