18thSEASON

第250話【老人ホーム】

桃園老人ホームの一室にて一人の老人が起きる。

彼の名は竜ヶ岳 一郎(98歳)。

元々は自衛隊で働いていたが定年退職してここにいる、


「んおお・・・おはよう、 ピーコ」

「ぴー」


ペットのカナリアのピーコに餌をやり外に出る一郎。

98歳だが衰えを見せずに今も元気に動く事が出来る。


「ラジオ体操でもやるか・・・ラジオじゃなくてテレビだけどな」


そう言いながらテレビのラジオ体操を始める一郎。

そうこうしている内に朝食の時間になったので食事をする事になった。


「一郎さん、 おはよう」

「トメさん、 おはよう」


一郎に挨拶したのは野田 トメ(82)、 一郎が自衛隊をやっていた頃の部下の嫁だった。

旦那には先立たれたがまだまだ元気なお婆さんだ。


「一郎さん、 今日から新しい人が来るらしいわよ」

「新しい人か・・・気難しい人じゃなければ良いのだが・・・」

「気難しい奴じゃなければ老人ホームに来ませんでしょうぜ、 軍曹殿」

「片倉」


片倉 省吾(85)、 元一郎の部下で彼を軍曹と呼ぶ。

一言多い性格が災いして家族から老人ホームに押し込められた過去を持つ。


「片倉さんや、 そんな事も無いですぞ、 私を信じなさい」

「黙ってろエセ教祖」


貴島 小刀(85)、 元々は宗教団体で教祖をやっていたが

クーデターを起こされ老人ホームに押し込められた過去を持つ。

預金1億円有ると言うのが口癖だが本当かは不明。


「ねーねー、 良い株が有るんだけど投資しない?」


株式 潔斎(88)、 株式投資の鬼、 今も尚株式投資に血道を上げている。

性悪説を信奉しており、 兵器やギャンブル、酒やたばこ等の非道徳的な株式投資を迫る。


「はーい、 みなさーんちゅうもーく」


桃園 ハジメ(38)、 桃園老人ホームのオーナーの息子。

桃園老人ホームを取り仕切っている。


「今日から新しい人が入所して来ます、 ささ、 自己紹介」

「・・・」


桃園の隣から一人の老人がやって来た。


「魚目です、 どうぞよろしく」

「よろしく、 ね、 良い銘柄有るんだけどさ、 株式投資しない?」

「株? ・・・い、 いや、 私は金を持っていないんだ、 すまない」

「あ、 そうなんだー、 あたしは株式 潔斎って言います、 一応本名ですよろしくー」

「はぁ・・・よろしく」


株式に握手を求められて応じる魚目。

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