第164話【のるかそるか】

黒部テレビは地方局で今まで北でのニュース等を取り上げて来た。

特に派手さは無いが堅実に実績を積み上げて来たテレビ局だ。

そのテレビ局が取り上げたC2号部隊の『システムC2』のニュースは世界中を駆け巡った。

新兵器に対し世界中が注目している、 無論彼等も・・・


「・・・・・如何するよ?」


ノギクボ製薬の警備兵達と共に作戦行動をし、 山中の洞窟に野営している誠也が尋ねる。


「如何するって・・・」

「このニュース見たろ」


スマホを投げ渡す誠也。


「・・・・・恐ろしく強いな」

「これは俺達が持っている『フルスコップ10』よりも強力だ

しかもリスクが無い・・・まともにかち合うのは危険だな」

「そうだな・・・速攻で怪人の標本を回収して退避がベストか」

「アホか」


誠也が遮る。


「速攻で逃げる、 これに限るだろ」

「誠也君、 仕事を直ぐに投げ出すのは・・・」

「良く考えろよ、 俺達の頭上をC2号部隊がどんどん輸送機を飛ばしている

その数は100や200で済まないだろ、 その中の一人でも見つかったらアウトだ

全滅させられる」

「それは無いのではないか? 我々は人間だし殺される事は・・・」

「いや俺は怪人じゃねぇか」


誠也がぴしゃりと止める。


「俺を失うのはノギクボに取っても痛手じゃないのか?」

「それはそうだが・・・」

「ここは退避が良いだろう、 そもそも俺達はヘリで来たんだぜ?

早い所帰らないとバレるって」

「うーむ・・・本社の指示を仰がないと・・・」

「現場の判断で良いだろ・・・と言うか鶴瓶さんはまだ帰って来ないのか?」


一緒に来た鶴瓶はノギクボ製薬の北に有る支社に向かった。

そこで装備を整えたりする手筈になっていたのだが・・・


「幾ら何でも遅いですね・・・何か有ったんでしょうか?」

「通信機とか持たせなかったのか?」

「いえ、 通信機は有った筈ですが・・・定時連絡も無いですね」

「怪人達に殺された、 と考えた方が良いな、 これでも本社の指示待ちか?」

「・・・・・」


警備部の面々は悲痛な面持ちで顔を伏せた。


「本社への通信を取る事にする、 それで支持を乞う事にする」

「その場には俺も居よう、 あまりにも危険過ぎるからな」

「あぁ・・・分かった」


そう言って警備部の一名が通信機で本社と連絡を取った。

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