第146話【飢餓】

汚職警官からの武器の調達が済んだ夢宮。


「行くのか?」


タダのおっさんが夢宮に尋ねる。


「あぁ、 もうフラストレーションが止まらないんだ

もうあの蛙を殺さないと収まりが付かない」

「そうか・・・じゃあもう何も言わん、 いやこれを持っていけ」


ドスを渡すただのオッサン。


「・・・ドス?」

「若い頃に色んな抗争を駆け巡った俺の相棒でな・・・

今じゃ振る事も出来ねぇ・・・持って行って俺の子分の仇を取って来てくれ」

「あぁ、 任せろ」


ドスを受け取る夢宮。


「さてと、 それじゃあ行く前に・・・」

「?」

「軽く何か食べて行こうか」


ヽ(・ω・)/ズコーと転ぶ筋物三人。


「しまらねぇなぁ・・・」

「仕方ないじゃないかゆうべから何も食べてないんだから」

「そうか・・・とりあえず台所にそばとうどんがあるがどっちにする?」

「うどんで七味も付けて」

「おう、 わかった」


うどんを茹でるタダのおっさん。


「しかし・・・何だな兄ちゃんよ」

「僕の事?」

「度胸が据わっていて腕っ節も良いな・・・ウチの組員にならないか?」

「ならないよ」

「そうか・・・」


うどんが茹で上がる、 ネギは入れずに大量の七味唐辛子を入れる。

一瓶丸ごと入れてしまった。


「おいおい・・・そんなにいれちゃあ・・・」


夢宮が一気にうどんを啜り、 汁迄飲み干した。


「お、 おぉ・・・」

「随分腹減ってたんだなぁ・・・」

「しかし辛いだろう・・・」

「ぷはっ・・・景気づけだよ景気づけ」

「景気づけ?」

「七味唐辛子に入っているケシの実でハイになっているのか?」

「どんな特異体質だよ・・・辛みでハイになっているんだ」

「それもそれで特異体質だな・・・」

「腹ごしらえも済んだし・・・」

「デザートか?」

「いや、 もう行くよ」

「気を付けて行って来いよ」


事務所を出る夢宮、 タダのおっさんが火打石で送り届けてくれた。




一方その頃、 美鈴こと巨大蛙は街中を移動し路地裏にやってきたのだった。

人が逃げる先を追って来たのだろうか、 それとも単に気紛れか

何れにせよ、 大量に人を喰いたくて仕方が無いのであった。

もう腹が減って仕方がない

その理由のみで自分の仲間を次々と食い荒らしたのだ。

大切な仲間だった、 だが腹が減っていたのだ。

それ故に食ったのだった。

微塵も後悔は無い、 あぁそれにしても腹が減った。

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