第141話【倉庫街】

夢宮は倉庫街に向かった。

倉庫街に限らず港にはボラードが有る物だが

今の夢宮にはボラードに足を乗せる暇は無い。

チーマー達を探さなければならないのだ。


「とは言っても結構広いなぁ・・・」


きょろきょろと周りを見渡す夢宮。


「・・・・・」


何かに気が付いた夢宮は黙ってスタスタと歩き始めた。

何人かの足音が追従するのが聞こえる。


「・・・・・」


間違い無く尾行されている。

夢宮は小走りになりながら並べられたコンテナの角の一つを曲がった。

追跡者達が後を追い角を曲がるもそこには誰も居なかった。


「居ない!?」

「何処に行った!?」


追跡者達が困惑する、 彼等はそれぞれ釘バッドや鉄パイプで武装している。

明らかに殺すつもりである。


「殺すつもりならば遠慮はいらないか」

「何処だ!?」

「上だ」


追跡者達が一斉に上を見上げると同時にコンテナの上から降りて

追跡者達に無双する夢宮。

釘バッドを持つ者には腕を捻って釘バッドを落し、 鉄パイプを持っている者には

腕を殴って折り武装解除させる。


「ぐっ」

「ぎゃあ」

「おおおおおおおおおおおお!!」


追跡者の一人が包丁を抱えて突進して来た。

夢宮は包丁の刃が付いていない部分を持って引き抜いて包丁を投げ捨てた。


「嘘だろ!?」

「くっそ!! コイツ並じゃねぇ!!」

「逃げるぞ!!」


発煙筒を投げて煙に巻こうとする追跡者だったが夢宮から逃げられる訳も無く

全員のされてしまい、 地面に倒されてしまった。


「く・・・そ・・・」


追跡者の一人が起き上がろうとするも手を踏まれる。


「ぎゃ」

「君達が噂のチーマーか?」

「・・・だったら何だ?」

「君達の噂について知りたい」

「噂だと?」

「君達に怪人が付いていると言う噂だ」

「知らん!!」

「・・・・・」


指を強く踏んで折る夢宮。


「ぎゃ・・・」

「二本目、 行くか?」

「喋るもんか!!」

「・・・・・」


夢宮は二本、 三本と指を折ったが意志は固かった様で吐く事はしなかった。

他のチーマーにも軽く拷問をしたが情報は聞きだせなかった。

しかし如何やら怪人が居る事は確かな様だった。


「・・・・・」


夢宮は諦めて帰って行ったふりをしてチーマー達を放置した。

自分達のアジトに帰るだろうと踏んだのだった。

そこならばきっと怪人も居るに違いない。

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