第131話【最後の挨拶】

「まぁそんな事は如何でも良いんだ

父さんの事は恨んではいたけど執着はしていなかったし

父さんの事は馬鹿だなぁと思っていたけど憎んではいなかったよ

馬鹿だとしか思えなかったんだ、 うん」

「・・・・・怪人が殺した・・・んじゃなかったのか?」

「それについても教えてあげるけどね、 私はノギクボ製薬に捕まってね

連中に改造手術を施されて怪人に変身できるようになったんだよ」

「・・・・・何を馬鹿な・・・」


興亜の眼の前で怪人に変身する葵。


「う、 うわっ!?」


そして人間に戻る。


「さて、 これで信じて貰えたかな

まぁ良いよ、 私がここに来た理由は唯一つ、 君にさよならを言う為なんだよ」

「さ、 さよなら?」

「うん、 私はノギクボ製薬に追われる事になっているだろう

私を追って来た奴とか来なかった?」

「・・・・・」

「心当たりがあるみたいだね、 そういう連中が来るから

私もここにずっと留まる訳には行かないんだよ

私はこの街を出る事にした、 そう言う訳で君ともお別れと言う事なんだよ

本当にごめんなさい、 どうか私の事は忘れて

とは言わないけども羊と幸せになって欲しい

・・・・・いややっぱり羊は駄目かなぁ」

「・・・・・どういう事だ?」

「さっきさ、 羊がキスを迫ったじゃない」

「・・・見ていたのか」

「うん、 私さ、 もしもキスを受けていたら、 君達を生かして置ける自信が無かった

勝手だよね、 うん、 怪人になったからかなぁ、 それとも私はこういう勝手な奴だったのかなあ」

「少なくとも俺の知る葵はそんなにベラベラ喋る女じゃなかった」

「そうだよね、 私もそう思うよ、 でも言葉が止まらないんだよね

何でだろ、 久々に話せているって感じがするからかな

話せる奴は同僚程度だったからね、 仕方ないね」

「・・・・・これから如何する気だ?」

「国外に逃亡しようと思っているよ、 ノギクボ製薬の勢力圏から逃げ出すにはこれしか

方法が無いからね、 仕方ないよ」

「・・・・・そうか・・・」

「あ、 でももし良かったら手伝ってくれないかな?」

「・・・・・手伝う? 何をだ?」

「私を追いかけている奴を呼び出してくれないかな?

私を追わない様にしたいんだよ、 いうなればヤキを入れるって言う奴かな」

「・・・・・・・」


興亜は電話を取り出すのだった。

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