第118話【参拝】

御国神社の長い階段を登っていく喪服姿の戝部と兄坂。


「戝部ちゃん、 大丈夫?」

「大丈夫な訳有るか・・・片方義足なんだぞ・・・

もっとバリアフリーとかしてくれよ」

「文句言わないの・・・」


そして二人は御国神社の霊園にやって来た。


「遅いぞ二人共」


喪服姿の滝が待っていた。


「足が一本無くなってるんだぞ」

「それならもっと早く出るとか有るだろうに・・・」

「まぁまぁ二人共、 早く行きましょう」


三人は歩き出した。

霊園の真新しい区画には何人か墓参りをしている人々が居た。


「ここら辺一帯が?」

「そうだな、 今回の件の犠牲者だ

殆どが空の墓だが」

「やるせねぇな・・・えーっと・・・・・あ、 これだ」


戝部は一つの墓を見つけた、 その墓にはJonathan・Sunscfiと刻まれていた。


「ジョナサン・・・これは俺の奢りだ」


戝部は高いウィスキーのボトルを墓前に供えた。


「ケチな戝部が珍しい」

「ほっとけよ・・・こんな事位しか出来ねぇからな・・・」

「・・・・・所で和人、 ウチの部隊に来るつもりは無いの?」

「無いな、 でも俺に頼らずとも獅子堂さんは

色々と怪人ハンター達に勧誘をかけているって聞くぞ」

「もう噂になっているのか」

「見境なく声をかけているからな・・・

何でも新兵器も作っているって言う話じゃないか」

「それは隊長の中目黒さんが関わっていて私達はあんまり知らないの」

「そうなのか?」

「えぇ・・・何でも革新的な装備らしいけど・・・」

「革新的? 良く分からんなぁ・・・でもそんな装備が必要なのか?」


首を傾げる滝。


「怪人側も組織的行動を取っていると判明したからな

恐らく人間の協力者も居るんじゃないかと獅子堂さんは考えている」

「人間の協力者?」

「盾の出所は分からなかったがダンプカーは盗品だと言う事が分かった」

「それも人間が盗んだ物・・・なのよね」

「何と言う事だ・・・人間と怪人は意志疎通が取れるのか?」

「分からない、 でもダンプカーの運転が出来る奴等が

人間の言葉が分からないとは思えない、 筆談をしているんじゃないのかしら?」

「・・・そろそろ帰るか」

「そうだな、 今度一緒に呑みに行こうぜ」

「お前の奢りな」

「そこは割り勘だろう」


そんな事を言いながら三人は別れて帰路に着いたのだった。

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