第107話【命とは】

「えーとデスねー、 まず始めに私ジョナサンが離させて貰うデス」


ジョナサンがマイクを握る。


「最近デスねー、 Twitterで痴漢に針を刺すとか言う話が上がって来ていますデス

怖いデスねー、アメリカじゃあ満員電車事態無いデスから

電車の運営側に問題があると思いますデスが」


会場が騒めく。


「ジョナサンさん、 何の話ですか?」


北島アナウンサーが困惑しながら口を出す。


「まだ人が喋っているのに割り込むとは失礼な方デスねー

まぁ良いデスよ、 私が言いたいのはデスねー

こうして民間でも針で武装しているのに

国家が武装してはいけない事は無いと思うデス」

「それは問題が別では?」

「何でデスかー?

痴漢を害しても良いのに怪人を害してもいけない理由は無いデスよー?」

「そうでは無く軍隊を持つと言う事にならないでしょうか?」

「Why? 何故軍隊を持つのがいけないんデスかー?」

「・・・この国の平和憲法を御存じですか?」

「勿論デース!! 戦争をしない事デース!!」

「・・・・・『正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し

国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は

国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する

前項の目的を達するため、 陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない

国の交戦権は、 これを認めない』と言うのが我が国の平和憲法です

つまり対怪人戦闘部隊【C2号部隊】は軍隊に当たるのではないかと言う

問いなのですが・・・」

「部隊なのですから軍隊とは違うのではないのデスかー?」

「いえ、 そうではなく・・・」

「ちょっと横から失礼します」

「Oh ザイベー、 マイク持ってかないでー」


戝部がマイクをジョナサンから捥ぎ取り話し始める。


「北島アナウンサーが仰りたい事はつまり

『憲法に抵触する恐れがあるから怪人に黙って殺されろ』

と言う事なのでしょうか?」

「い、 いえそんな事は・・・」

「北島アナウンサー、 貴方は怪人の犠牲者の遺族にもそんな事が言えるのですか?

貴方が平和憲法が如何だとか言っている間にも怪人による犠牲者が出ているのです

このまま座視するのは生存権の侵害であると私は思います

戦えるのならば戦って命を救う方が建設的です

貴方が非建設的な事を言い続けるのは勝手ですが

人々の命を救う邪魔だけはしないで下さい」

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