第85話【夢宮の心情】

夢宮にとって怪獣と怪人は似て非なる物である。

怪獣も怪人と同じく人に害を与える者である、しかし怪獣はあまりに巨大過ぎて

自分では太刀打ち出来ない、最早災害と同一の存在だと内心戦う事を諦めている。

そして怪獣は自衛隊や国連軍が何とかしてくれる。

それならば自分の出る幕は無いと夢宮は思っていた。

しかしだからと言って何もしない訳では無い、怪獣が居る。

自分にも何か出来る事は無いかと

病院に勝手に潜り込んで避難の手伝いをしていた。

そんな中で避難誘導を邪魔している報道機関が有ったのでカメラを壊した。

にも拘わらずジャーナリズムで危険な行動を取るアナウンサーを追って来てみれば

空に浮かぶ瓦礫、一体何が起こっているのだろうか、と困惑した。

だがそれも一瞬、すぐさま思考を戻して冷静に夢宮は発言した。


「シェルターに行きましょう」


宝城に提案する夢宮。


「え、えぇそうね!!」


おどおどしながら宝城は言葉を返した。

だがしかし・・・


「!!伏せてっ!!」

「え」


宙に浮かんでいた瓦礫がこちらに向かって投げつけられる!!

咄嗟に夢宮は宝城の前に出てガードした!!

ドゴン!!と大きな音を立てて瓦礫が散らばった。

幸いにも直撃はしなかった、どうやら此方を狙ってきたのでは無かったが

それでも衝撃で倒れてしまった、駐車場に停まっていた車の何台か粉砕されていた。

プレス機で潰した様にぐしゃぐしゃにされていたのだ


「キャアアアアアアアアアアアア!!」


絶叫する宝城。


「逃げますよ!!立てますか!?」

「こ、腰が抜けた・・・」


ぷるぷると震える宝城。


「あぁ!!もう!!」

「うわぁ!!」


夢宮は宝城を抱えて走った。


「君達!!早くシェルターへ!!」


氏家もやって来る。


「シェルターは何処ですか!?」

「案内する!!ついて来たまえ!!」


氏家に連れられて宝城を抱えたまま走る夢宮。

走る間にも次々と瓦礫が飛んで来た。

ドゴンドゴンと瓦礫が飛来して着弾する音が聞こえて来る。


「くっそ!!怪獣め!!」

「如何やら怪獣は見えない様です!!」

「見えない!?遠くって事か!?」

「いえ、恐らく透明なんです!!」

「透明な怪獣だと・・・一体何なんだ・・・」


氏家の案内でシェルターへ続く地下の道が見えて来た。


「あ、宝城さん、大丈夫ですか?」


宝城と別れたテレビクルーが地下の道に居た。


「え、えぇ大丈夫」


と次の瞬間、視界が暗転した。

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