第60話【勝負】

翌日、夢宮は山奥に向かい甲殻を使って色々な物を造り出した。

バッド、テニスラケット、円盤、ナイフ

瓶状の甲殻、槍、そしてボール状の甲殻。


まずはバッドを試してみた。

ボールを放ってバッドで叩く、カキーンと小気味いい音が響く。

威力は申し分無いが狙った所に当たらない。

しかし近距離攻撃としても転用出来る。


テニスラケットも似た様な感じだった。

こちらはバッドの様な近距離攻撃に転用出来るのかが怪しかった。


円盤は縁を鋭利な刃物にしたので威力はまぁまぁ、狙った所にもまぁまぁ飛ぶ。

しかしスピードはやや遅いので当たるのかは疑問である。

攪乱用に使えるのではないかとは思うが・・・


ナイフは投げる感覚が上手く行かなかった、思った様に当たらず。

そもそも回転して柄が当たってしまう場合も有った。


瓶も槍も思った様に遠くに飛ばなかった

技術が居るのだろうか、と夢宮は思った。


「要練習と言う所だな・・・」


練習が必要だと悟った夢宮は街に戻り図書館で参考書代わりに本を借りた。

野球とテニスの指南書で有る。

槍投げ、円盤投げ、ナイフ投げの本は図書館には無かったので諦めた。


夢宮はホテルに戻ると本を読み進めた、読む内にまた日を跨いだ。

本を読み進めた夢宮は近場で野球かテニスが出来る場所を探した。

バッティングセンターが近くに有ったのでそこに向かう事にした。

バッティングマシーンから出る球を只管打ち続けていた。


普通とは違い狙った場所に打ち返す為の特訓なので指南書にも書いていない分野で

特訓は手探りで行う必要が有った。

朝から昼までバッティングをし続けた夢宮は一旦食事の為に外に出ようとした。

すると見覚えの有る顔がやって来た。


「・・・・・あぁ一昨日のチンピラか」

「てめぇ・・・まぁ良い、今日は姉貴分がお前に会いに来たんだ」

「姉貴分ねぇ・・・お山の大将と話してもしょうがないだろう・・・」


無視して帰ろうとする夢宮。


「じゃあ勝負しないか?」


チンピラの後ろからポニーテールの女性が現れた。


「勝負?」

「そ、丁度バッティングセンターだしさ

ここの設定で一番速い球速で170㎞は出る」

「知ってる、さっきまでその設定でやってた」

「その割にはバンバン打ち返せていたじゃないか、何処ぞの有名球児か?」


怪人の身では止まっている様な物だ。


「じゃあ何方かが打ち返せなくなるまでのデスマッチと行こうじゃないか

私が勝ったらお前が話を聞く、君が勝ったら行って良い」

「・・・良いだろう」

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