「妹②」
祖父母と暮らしていた頃の遊び場は父の書斎だった。勝手に入っていいところじゃないのは子ども心にも理解できていて、だけど「ほんとうはよくないこと」に私はたぶん、とてもわくわくしていたのだ。父はいつも忙しそうにしていたけれど、部屋の中のものをいじらない限り、勝手に出入りしても叱ることはなかった。
さながらそこは隠れ家のようで、父の大きな机の下へもぐって、お花の図鑑を眺めるのが好きだった。子ども向けではなかったから、漢字は難しくてわからなかったけど。もしも、読めていたら……。あのとき一緒に隠れ家を満喫していた兄に、意味を聞いていたら……。
お母さんは、死ぬことはなかったの?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます