第102話納車と暮らし
数日が経っていた…キスマークのことを学校で聞かれたが、金曜日に早退して遊んでたら付けられたと笑いながら冗談を言うと、月城さんに付けられたのかと、話したことない、クラスメートに聞かれたが、違うよと凜のために、真剣な表情で嘘を教えていたが…信じていた。
学校も終わり、長ズボンを凜に履かせ、二人は家とは逆に歩いていた。
「…バスに乗ろ。」
「…俺‥すぐ車酔いするんだよね。」
「子供じゃないでしょ。」
凜に背中を押され、気付くとバスに乗せられていた。 車内には同じ高校に通う生徒も数人乗っていたが、気にせず同じ座席に並んで座っていた。
凜の鞄で周りにバレないように手元を隠し、隣に座る凜の手を握ると、ギュッと握られ返されていた。
「頬にキスしていいか。」
「…ダメ‥分かってるでしょ。」
…はぁ
心の中で何度もため息を付いてると、バイク屋近くのバス停に止まっていた。
「寝てるの‥晴くん降りるよ。」
「…着いたのか。」
閉じてた目を開け、あくびをしながら降りバスの窓を見ると、同じ学校の生徒が二人を見ている姿が視界に入っていた。
気にせずバイク屋までのんびりと歩くと、凜は嬉しそうに自分の物になるバイクを見て、触ろうとした。
「触ったらダメだからな。」
「…なんで。」
「先に書類書くから来て。」
書類を書いて鍵を受けとる前に、店員に店の外までバイクを押してもらっていた。
…エンジンガードも付いてんだ。
店員にエンジンを掛けてもらうと、バイクの話をしていると、凜は勝手に股がって吹かしていた。
「無免許でしょうが。」
「…うん、もうすぐ、私のバイクになるんだね。」
「そうだよ、我慢してね。」
凜は満面の笑みを見せて早く乗って帰りたがっていた。
「帰ろうか。」
「うん。」
晴斗はお礼を言って、股がると走らせていた。 セルフのガソリンスタンドに着くと自分で入れたいのか、勝手に降りていた。
「股がったままでいいんだけど。」
「…私が入れる。」
「了解。」
子供のように嬉しそうに入れると、乗りたいなぁとボソッと聞こえていた。
「キス我慢してんだから、無免許さんも我慢してね。」
目を細めて見られていた。遠回りして帰ろうと言う凜に、晴斗もいいよと言って走らせると…一時間も走らせていた。
「帰らないと、晩御飯作れないよ。」
「誰がまだ走ろって言ったんだよ。」
「…私だったね」
インカムからごめんねと可愛く言われ、バイクを走らせながら、お腹に回された手を握っていた。家に着くと18時になっていた。
「今日は晴くんの好きな‥すき焼きだよ。」
凜は先に家に入ると、振り向いて可愛い笑みを向けられ、晴斗は悲しい気持ちになっていた。
「…凜の笑顔が最近見てると‥苦しいな。」
「…不細工だった‥の。」
「…いつまで凜は俺の傍に居てくれるんだろうって‥笑顔を見てると思うんだ。」
「ずっとだよ。」
「俺から離れないで‥置いて行かないで。」
凜を抱き締めて言うと、心配されていた。
「…寂しいの、晴くんから離れない、置いていかない。」
「その気持ちも言葉も忘れないで…何があっても俺を信じて、他人は信じないで。」
「…大丈夫。」
「大丈夫…お腹すいたな‥すき焼き作って。」
晴斗は笑みを向け、洗面台に向かい、うがいをしてリビングに向かうと、凜はエプロンを着て晩御飯を作っていた。
「できたかな。」
「まだだよ‥待ってて。」
「横にいていいかな、抱き締めていい。」
「…いいよ。」
抱き締めてると、我慢できずに首にキスをすると可愛く怒っていた。
「…今ダメ。」
「バスで家まで我慢してって言ったの凜じゃん。」
「…口に‥して。」
「嫌だなぁ。」
振り向いた凜にキスされていた。出来上がるとテーブルに持っていって食べていた。
「あぁ、嫁の作る料理はうまいなぁ。」
「…もう‥まだでしょ。」
「知ってるよ、夫婦みたいな暮らしだな‥知らないけとさ、まぁ一緒に寝て、暮らして、お風呂も入るし、あーんしてくれるし…色々あるけどさ、新婚ってこんなんなのかなぁ。」
晴斗が楽しそうに言うと、恥ずかしいのか、凜は隣に座り直し、そっぽを向いていた。
「顔見ながら食べてたのになぁ。」
「……今‥見ないで。」
「見せてよ。」
凜は振り向くと、頬が涙で濡れていた。 食べるのをやめて、抱き締めると体調が悪いのか聞いていた。
「…悪くない‥ただ恥ずかしく‥なったの。」
晴斗はキョトンとした表情で「なんで」と聞いていた。
「…新婚とか言うから…。」
「えっ、それだけ。」
「…うん。」
晴斗は首を傾げなから椅子に座り直すと晩御飯を食べ直していた。 食べ終わると、先に一人でお風呂に入っていた。
入浴後、寝る支度をしてベッドで横になって、あくびをしていると、凜が入ってきて、着替えを取りに来ていた。
「晴くん、眠たいの。」
「…眠い。」
「起きててよ。」
「…寝てる‥かも。」
凜は急いでお風呂に向かったが、晴斗は寝ていた。 晴斗の腕を触って腕枕にして凜は眠りについた。
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