第91話お説教…

親戚の家から、バイクを走らせて帰っていると、見馴れた姿が視界に入り、歩いて来ていた、速度を落として近付くと、彼女は祐希の後ろに隠れていた。

「帰るからね、彼女さん‥怖がらせてごめんね。」

「もう、帰るのか、さっきはありがとう‥助かったよ。」

…お金のこと言ってるんだな。

「あぁ、まだ残ってる。」

「残ってるから、気にするな。」


祐希に手招きをして、笑いながら小声で聞いていた。

「ホテル行くお金残ってるか‥二万渡そうか。」

「…う、うるせぇな‥行かねえよ。」

「行かないのかよ。」


凜はインカムで聞こえていた。

「…晴くん聞こえてるよ、変なこと聞かせないでよ。」


祐希の恥ずかしそうな表情を見て、凜に聞こえていると分かり、二人をからかっていた。

「早く帰るのは、今からホテル行くからさ、お互いに頑張ろうな。」

「…晴くん‥ご飯作らないといけないから帰るんでしょ。」

「祐希も冗談って分かってるよね。」

「あぁ‥そんなこと言って、恥ずかしくないのか。」

「無いね、そんな感情捨ててきた。」

「拾って来いよ。」


男二人が笑っていると、凜は怒っていた。

「晴くんって不良だったって知ってた。」

「あぁ、言われてみたらそうかもな‥晴斗は怖いな。」


思わず凜に振り向き、睨むとインカムから聞こえてきた。

「…ごめんなさい。」

「言って良いこと、悪いことがあるぞ。」

「晴くんが麻莉菜とデートして‥寂しかったの、麻莉菜を見てると辛かったから‥私は行かなかったの。」

「そうか、今日は外で早めに食べて、横になろっか。」

「…私が作ったの食べて。」


頷くと、祐希は二人が見つめ合ってると思って見ていた。

「見つめ合って、本当に今からホテルに行くのか、二人はそういう関係か。」

「行かないよ、冗談だし、インカムで話してた。」


インカムを見せると、紛らわしいと怒られていた。

「ほら‥誤解されたでしょ。」

「珍しく凜が怒ってるけど、晴斗の冗談って分かったからさ。」


祐希に言われて、凜は落ち着いていた。

「彼女さんも、デートの邪魔してごめんね、二人で楽しんでね‥何を楽しむか言わないけどさ。」

「…晴斗‥怒るぞ、気まずくなるなるだろうが。」

「手を握って歩く根性もない男が、うるさいよ。」

「…なっ。」


男らしくない祐希を見て、彼女に聞いていた。

「彼女さんも手を握って歩いてほしいよね‥ほしいってさ。」

「何も言ってねぇよ‥帰れよ。」

「ごちゃごちゃと、祐希から手を握れよ。」


彼女から、祐希の手を握る姿を見て、思わず頭を叩いていた。

「バカだな、男から握ってやれよ。」

「デートしてても、祐くんは手を握ってこないから、ありがと。」

「気にすんな、俺も祐希と知り合って浅いし、手を握る根性もない男だとは、知らなかったよ。」


祐希の嬉しそうな表情を見て、邪魔になると思い、エンジンをかけて帰ろうとしていた。

「祐くん、また遊びに来るからね。」

「いつでも来いよ、親戚になったんだし。」

「祐くんも嬉しいこと言う‥キスしてあげるから来て。」

「晴斗が祐くんって呼ぶな、男からのキスなんて‥気持ち悪い。」

「照れちゃって、麻莉菜が親にデートしてたこと言ってたよ。」


祐希は、落ち込んでいた。

「彼女を家に呼べるね。」

「…あぁ、そうだな。」

「晴斗くんって言うんだね、今度‥Wデート行ってみない。」


晴斗と凜を見て言われると、祐希は「二人は、兄妹なんだけど」と教えていた。

「義兄妹なんだよ、凜が行きたいなら行くけど。」

「…行ってみたい。」


日にちが決まると、祐希から連絡されることになり、立ち去っていった。


二人が家の駐車場にバイクを止めると、17時になっていた。

おかえりと言って、家に入ると、凜は晴斗を後ろから抱き締めて、寝室に着替えに向かった。


着替え終わると、凜はエプロンを着て台所に立っていた。

「…晴くん‥横に居て。」


直ぐに、凜の隣に立っていた。 野菜などを切り終わると手を洗って、晴斗に抱き付いて、爪先で立つとキスされていた。

「…今日はシャワーでいいから‥横に居てね。」

「先にお風呂に入っていいかな。」

「いいよ。」


入浴後、カレーが出来ていた、食べ終わると凜はお風呂に向かい、晴斗は寝る準備をして寝室で横になっていた。


40分経つと、凜は寝室に入ってきて横になっていた。

「…今日は寂しかった。」

「一緒だね。」

「…私が寝るまで‥抱き締めて。」


腕枕をして抱き締めていた。

「今日はおとなしかったね。」

「…麻莉菜が居たら‥怒れなかった。」


凜は麻莉菜に優しく話し掛けられるのが辛かったと、何度も言って、目が潤んでいた。


話していると、凜は何度もあくびをして、眠そうに目を擦っていた。

「もう寝よ。」

「…うん。」


電気を消して時間が経つと二人は眠っていた。


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