第90話罪悪感…

15時間にデートが終わると、親戚の家に帰っていた。 リビングに入ると悟さんはテレビを見て、凜は美香さんと椅子に座って話をしていた。


麻莉菜は、祐希がデートしていたこと、ブレスレットを買って貰ったことを嬉しそうに話すと、凜は不機嫌になっていたが、珍しく何も言ってこなかった。


帰って、ご飯の準備をしないといけないと思い、凜に帰ろうと言うと、麻莉菜が帰るのが早いと、口を挟んでいた。

「ご飯作らないといけないから、帰るよ。」

「優樹姉か叔父さんが作って待ってないの、毎日自分で作ってるの。」


麻莉菜の純粋な言葉を聞いて、凜を見ると唇を噛んで、悲しそうな表情をしていた。

「…あぁ、親は日曜日ぐらい‥休みたいと思ってね、凜が作るんだよ。」

…二人暮らしって言ってないから、凜も辛いんだなぁ。


麻莉菜は凜の表情を見ると、心配して「凜姉ちゃん大丈夫」と声を掛けると、凜は麻莉菜を抱き締めて、大丈夫だよと返事をしていた。


晴斗も麻莉菜の言葉を聞くと辛いが、心配させないために、表情に出さなかった。

「麻莉菜、着替えておいで。」

「…待っててよ‥まだ帰らないでよ。」

「まだ、帰らないよ。」


晴斗が優しく言うと着替えに向かった。 凜がリビングから出て、晴斗が付いて行くと、洗面台で泣きながら、顔を洗っていた。

「二人暮らしって言ってもいいんじゃないのか、俺‥辛いんだよね。」

「…一緒に住んで‥学校に行くって言ったらどうするの、せっかく‥二人で暮らせて嬉しいのに…言いたいけど、言えない‥私も辛いんだよ。」


昨日の夜、麻莉菜の部屋で、凜は両親と引っ越したことを聞かれ、マンションに引っ越したと伝え、二人暮らしとは今さら言えないと教えられた。

「身内に隠し事するから辛くなるんだよ、凜だけ悩まないでね、いつかバレるし、全部俺のせいにしていいからね。」

「…晴くんのせいにできないよ‥私が悪いんだから‥二人の秘密にしたかったのにお父さん達が言うから…。」


抱き締めて、頭を擦っていた。

「親のせいにしたらいけないよ、バレたら一緒に謝ろ、凜と暮らせて嬉しいから、バレるまで秘密にしようね。」

「…うん‥二人の秘密だよ。」


二人が話をしていると、麻莉菜が入って来て晴斗を怒っていた。

「何で泣いてるの、晴兄が泣かせたの。」

「俺じゃない、凜は昨日から体調が…。」


晴斗の話を聞かず、凜に聞いていた。

「晴兄に何か言われたの。」

「…言われてないよ、今日体調が‥ね。」

「晴兄から何かされたのかと思った。」

「俺‥凜の嫌がることしないし。」

「凜姉ちゃん、昔から泣き虫で嫌って言えないんだよ。」

「凜は嫌なとき、嫌って言うよね。」

「…晴くんには言うよ。」


麻莉菜に真剣な表情で聞いていた。

「凜は体調がよくないから、帰っていいかな。」

「…本当に体調が悪そうだし‥いいよ。」

「寂しいのか‥子供だな。」

「もうすぐ高校になる、大人です。」

「よくわからんが、大人なら俺と遊びに行かなくていいね、もう来ないから。」

「…まだ子供です。」

「寂しいのか、また来るからな。」

「…寂しいから、凜姉ちゃんと来てね。」


リビングに向かい、今から帰ると伝えると、悟さんが教えてくれた。

「娘は、バイクに乗るのが楽しくて、年の近い凜と女の子同士話すのが楽しくて、二人が帰ると隠れて泣いてるし、まだ子供だから、また遊んであげて。」

「…何で言うの。」


麻莉菜を見ると俯いていた、顔を除き混むと、目が潤んでいたのを見て抱き締めていた。

「また遊びに来るし、遊ぼうな…男なら泣くなよ。」

「…晴くん何で‥今からかうの。」

「ダメだったか、妹が出来て嬉しいし、からかうのも楽しいからね。」


凜は晴斗から、麻莉菜を取ると、抱き締めて頭を擦っていた。

「…晴くんはからかうと、止まらないからね。」

「晴兄と擦り方が同じだね‥抱き締め方も」

「…家に帰って泣いてると、すぐ抱き締めて、擦ってくるからね」

「…晴兄は強引なんだね。」

「…いつも、強引だよ。」


「あぁ‥もう帰る、妹取られて‥俺拗ねた。」


晴斗が目を閉じてふざけると、凜に頭を擦られて、抱き締めて凜の頬にキスをしていた。

「…晴兄が‥襲った。」


麻莉菜の頭に、軽くチョップをして、笑っていた。

「してないよ、麻莉菜から見るとしてるように見えたんだよなぁ。」

「…麻莉菜が‥からかわれてるんだよ。」

「晴兄は‥デート中にもからかってたね‥学校で何か言われるかも。」

「恥ずかしがるからだね‥ごめんね。」


怒ってないと言われて、二人が帰る支度を始めると、寂しそうにまた来てね、と言われて部屋に戻って行った。

「…今はそっとしてあげよ。」

「凜に泣き虫って言ってたけど‥人のこと言えないな。」

「…まだ‥遊んで欲しかったんだね。」

「子供だな。」


美香さんに凜は、二人暮らしのこと黙って辛そうにしなくていいから、と優しく言われて、頷いていた。

「帰りますね、また来ます。」

「気を付けて帰りなさいよ。」


二人がバイクに股がり、麻莉菜の部屋の窓を見てると手を振っていた、手を振り返すと、嬉しそうに見えた。

「凜、忘れ物してないね。」

「…してないよ‥麻莉菜を見てると辛いから帰ろ。」


インカムで聞いて、バイクを走らせた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る