第64話バレンタイン④

 チャイムが鳴ると、他の先生に見られない屋上の階段に座って、また貰ったチョコを食べていた。


 凜は食べ過ぎたら体に悪いからと、泣きそうな声で言っていた。

「…他の子好きになってない‥よね。」

「好きになってない、凜の傍にいると、落ち着いて寂しさが無くなるし好きだからな、安心して。」

「…良かった、ここの屋上で食べてたの。」

「違うよ、誰も居ないし気晴らしに出よっか。」


 凜は直ぐ扉を開けようとするが‥開かなかった、晴斗が少し扉を持ち上げて押すと開いた。


 外に出ると、今は静かで風が強く、凜を見るとスカートを恥ずかしそうに押さえていた。

「風が強いし戻ろっか。」

「…二人だけだし、大丈夫。」


座る場所が無く、同じ方向を眺めて話をしていた。 10分程経って落ち着くと授業に行こうとして、晴斗が止めていた。

「授業出ないとダメだよ。」

「学校で抱き締めていい許可貰えるなら出るよ。」

「…家まで我慢出来ないの。」

「教室とかで、凜を見てると、抱き締めたくなる気持ちが分かるか、なんで前の席に来た。」

「…我慢して‥私も我慢してる‥二人だけの秘密。」

「秘密が好きなのか‥なら二人の時なら良いか。」

「…いいよ‥寂しくなるんだね。」

「良くわかったね、授業行こ。」

「…実家に帰ってから、様子がおかしい‥チョコ作って帰ったら寂しそうだったよ。」

「…男らしくない俺で‥ごめんね。」

「…いいよ、寂しがり屋って知ってるから、落ち込まないでね。」

「やっぱり‥優しいね。」


 15分程遅れて教室に向かった、教室の前に来ると、晴斗はキスをすると楽しそうに小声で話した。

「二人だし、キスしたの二人だけの秘密だからな。」

「言うわけないでしょ、チョコの味がするんだよ、やめて。」

「だって、ほら‥クッキー食べてるから。」

「…バカなの‥もう入るよ。」

「待って。」


 食べ終わると、またキスをして晴斗は先に教室に入ろうと、ドアに手をかけると引っ張られ、振り向くと口を拭いていた。

「粉が付いたでしょ、甘いよ。」


 少し笑っていた。

「それだけ好きって事‥甘いキスだったな。」

「…荒くキスしたからだよね‥嬉しいけど学校だよ。」

「あぁ、もう可愛い。」


 教室に入ると先生に、任せた事終わったんだね…フォローを入れられていた。


 5時間目の授業も終わり、休憩時間に良太が晴斗のチョコを食べていた。

「甘いな。」

「チョコだから。」

「そうだけど、晴斗も食べて。」


 凜から貰った、抹茶生チョコを味わって食べていた。

「さすがに無理、チョコばっかり食べて、気分悪いんだよね。」

「チョコ食べてるじゃん。」


 晴斗は楽しそうに笑っていた。

「抹茶は別腹…内緒なんだけど‥好きな人が作ってくれたのに腐ったら‥もったいない。」

「…そうか、もったいないよな。」

「晴斗くん、恥ずかしくないの。」

「それが‥全然ない。」


 良太は遠慮なくチョコを食べて、凜は恥ずかしそうに、恵は呆れていた。


授業も終わり放課後を迎えた。


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