第63話バレンタイン③
凜からお弁当を受け取り屋上に行くと…屋上で仲良くなった数人の先輩や同級生の男女と、話をしながら食べていた。
前に、凜の事を聞かれ義兄妹になったと教えていた。
食べ終わると、またチョコを貰っていた。
…返すわけにもいかないし、怒られるなぁ。
「皆、お返し要らないよ。」
「ありがとうございます、後で食べますね。」
先輩から受け取り、お礼を言って、早めに教室に戻ったが、凜は机で他の女子と話をしていた。
晴斗はそっと席に座り、鞄に直そうとしたが、鞄が小さくて入らなかった。
凜の友達の女子がこっちを見ると、晴斗は人差し指を口に当て顔を横に振って、教えたらダメとジェスチャーを送っていた。
…クソ‥入らねぇ、食べたらいいか。
凜の後ろ姿を見ながら食べようとすると、ビニールの音で振り向いたが、晴斗は凜の目を凝視して食べていた。
「ねぇ、また貰ったの。」
「貰ってない。」
「増えてるよ。」
「…えっ、元々7個だったよね。」
凜の友達に聞いたが、知らないよと言われ、笑われていた。
「バカにしてるの、4個だったよね。」
晴斗は凜の友達に目で、助けてと合図を送ったが、誰を見てるの、と怒られると…反抗していた。
「…何でそんなに怒るん、俺は凜の何教えて。」
「……えっと‥なんだろう。」
「義兄妹だよね、怒られる意味が分からない。」
「…ただ、チョコ食べ過ぎたら体に悪いから、心配して怒ってるの。」
「心配してたのか、もう食べないからね。」
晴斗は、机にチョコを置いて、教室を出て行った。 お茶を買って戻ろうとすると、凜が付いて来ていた。
「どっか行くのか。」
「…行かないよ、トイレに行ってた。」
「トイレ逆だし、付いて来たのか…ちょっと来て。」
凜を呼び、3階の階段に来て、真剣な表情で言っていた。
「昼休み、知り合いに貰ったチョコだからね、貰いに行ったんじゃないよ。」
「…女子も居たんだ。」
男子も女子も居て、最近屋上でお弁当を食べていたと教えると、悩んでいたのか泣きそうだった。
「…お昼にチョコ貰って‥他の子が好きになって‥今まで会いに行ってたんだって‥思って見に来たの。」
「知り合いだし、凜が一番好きだからね、内緒にして心配させてごめんね。」
「…信じていいんだよね‥浮気してないよね。」
泣きそうな顔を見て、気付くとキスしていた。
「学校以外凜と一緒…浮気してないからな。」
凜は涙目になり、ぎこちない笑みを向けた。
「…誰かに見られちゃうかも‥でも安心するから。」
抱き締められ、何度もキスをして‥されると、凜は目を擦っていた。
「…なんで‥涙がでるの‥チョコの味がするし。」
「チョコって…安心したんだね。」
「…授業出れないよ。」
「もう早退しよ。」
「…ダメだよ。」
二人が話をしてると、足音が近付いて来ていたが、二人は気付いてなかった。
「あら、兄妹揃ってどうしたの、授業が始まるよ。」
「あぁ、その。」
晴斗が言葉に詰まっていると、担任の先生は凜を見て気付いた。
「泣いてるの、兄に何か言われたの。」
「えっ俺、何も言ってないんですけど。」
凜も違います‥と言うと、先生は落ち着いたら、兄と授業に遅れても良いから出なさい、出れないなら休んでいいよと言われ、親指を立て、笑みを向けられ立ち去って行った。
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