第59話付け直し

寝室で写真を箱に直し、本棚に置いて、アルバムを凜のアルバムの横に直していた。


晴斗は、アルバムを持って堂々とベッドに座って見ようとしていた。

「晴くん、見ないでよ。」


晴斗はわざと、落ち込んだ姿を見せた。

「可愛い凜を見たかった、こんな不良には見せたくないよね‥あぁごめんね。」

「…わざとらしいね‥笑わないでよ。」


凜のアルバムを見ていた。

「凜はやっぱり可愛いね、誰が彼氏だった。」

「…晴くんが初めてだよ。」

晴斗は笑っていた。

「でしょうね、いろんな反応で分かってた。」


凜は顔が真っ赤になり、黙りこんでしまった。

「どうした。」

「…麻莉菜も言ってたけど‥晴くん変態だよ。」

「意地悪だからそうかもね。」

俯いて言った。

「…でも、晴くんで良かったよ。」


晴斗は抱き締めて聞いていた。

「マーク薄くなったし、付け直したいんだけど、いいかな。」


凜はコクリと頷き、晴斗は股がっていた。

「…同じ場所に‥して。」

「意地悪だから、恥ずかしがると首に付けるよ。」

「…春休みまで‥待ってね。」


鎖骨に付け直すと、凜の目は潤んでいた。

「ごめん‥嫌なら言ってほしかった。」

「…違うよ、浮気者の晴くんが、麻莉菜からキスされてから、悲しくて嫌だったの、でも今は嬉しいの。」

「良かった、嫌だったのかと思った。」


晴斗は股がったままキスをして一言、言った。

「浮気してねぇからな。」

「…分かったから‥退いてね。」

「その前に、ボード掛けてたけど、どこに隠したのかな。」

「…親が来た時に隠したの、出すから退いて。」

「親に隠すなよ。」

「…だって、恥ずかしかった。」


晴斗が退くと、凜はクローゼットから写真を貼ったコルクボードを取り出した。

「晴くんが触ったの、向きが変わってたよ。」

「触ってない、凜の気のせいかもね。」

「…そうかも、ごめんね。」


晴斗は壁にコルクボードを掛けると、首を傾げて見ていた。

「…晴くん、考え込んでどうしたの。」

「小さいから、貼るスペース無くなったなって。」


凜は空き部屋に向かい、コルクボードを持って来た。

「まだあるんだよ、晴くんの友達の写真貼るの。」

「そうかも。」


晴斗はベッドの引き出しを開けて‥1枚の写真を取り出して貼ると、凜は真っ赤な顔になっていた。

「えっ…晴くん、恥ずかしいんだけど。」


凜が目を閉じて、晴斗の頬っぺにキスをしている写真を見ていた。

「今は二人暮らし、その1枚を、大切にしてね。」

「…そっか二人しか見ないよね‥貼ってていいよ。」

「良かった、思い出だからね。」

「…思い出いっぱい作って、撮ろうね。」


17時半になって二人は着替えを準備して、玄関に来ていた。

「ちょっと、忘れ物した。」

…あの写真忘れてたなぁ。


晴斗は写真を鞄に直すと、二人はスーパーに寄り道して飲み物を買っていた。

「…なんか嬉しそうだね。」

「ちょっとね。」

「怪しいね。」


両親のマンションまで行くと何階かわからなかった。

「何階に住んでるか知ってる。」

「晴くんこそ、知らないの。」

「知らないよ。」


父さんに連絡して、聞くと10階に住んでいた、エレベーターに乗って上がっていた。

「景色がいいんだろうなぁ。」

「…眺めるの好きだもんね。」

「勝手に決めてたけど、まぁ凜と二人で暮らせて嬉しいから良いけどね。」

「…同じ気持ちで‥良かった。」


マンションが新しく実家となり、インターホンを鳴らし家に入って行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る