第286話 祝場 前編
ミツ達が王都へと買い物に行った後日。
フロールス家にて、領主ダニエルの辺境伯の叙爵の祝。
それと冒険者アルミナランク昇格として、ミツの祝の席が共に行われた。
本来なら祝の内容が異るのなら別々の日取りを用意するのが貴族としての習わしなのだが、そもそも冒険者のランクアップを態々貴族が祝った前例が無い為、だれもそれを口にする事は無かったようだ。
入り口にまで続く長い馬車の列を出迎え、屋敷の執事やメイドが客人を次々と招き入れる。
フロールス家ではダニエル同様に多くの領地を増やした貴族達も招かれ、互いにおめでとう、おめでとうと祝の言葉を交わす。
その家族も共に来訪した事に、フロールス家に集まるは多くの人々。
家族や親戚、その護衛も含めたら軽く500を超える人の数。
お客を案内するメイド達は勿論、厨房は戦場の様にパープル達、料理人の声が響き続けている。
フロールス家ではおなじみとなったハンバーグもだが、ミツが渡した米を使い、新しい料理も振る舞われていた。
貴族たちにはリゾットやオムライスと手の混んだ品と、自身達やメイド、ここまで主を護衛してきた兵や雇われ冒険者にはおにぎりと食べやすい物が振舞われている。
別にこれは差別ではなく、護衛してきた者はパーティーが終わるまでは油断のできない護衛勤務中である。
冒険者や護衛兵は寧ろおにぎりやサンドイッチと片手間に食べれる物が好まれる事をゼクスが知っている為、その配慮でもある。
今回の祝の席では立食式が採用された。
以前アベルやカインが来賓した時は着席での食事であったが、今回は祝の言葉がメインとなる。
また、来客の数も数、立食にした方が互いと会話もしやすいだろう。
また今回家族だけではなく、親戚も同伴させたのは互いの貴族同士と繋がりを深める事が目的でもある。
まぁ、公認のお見合いでもあるのだ。
自身の息子娘、また甥や姪と相手に紹介し、そして繋がりを深めれば貿易など盛んにできるだろう。
パーティーが始まって間もなく。
フロールス家に昼前の鐘の音が教会の方から聞こえたタイミングと、新たな来訪者がゲートを使いやってきた。
彼らを招く為と用意されていた場所には屋敷の執事長が出迎えと足を向ける。
「冒険者アルミナランク。ミツ様。またお仲間の皆様、ようこそフロールス家へ」
「こんにちはゼクスさん」
「ニャ! おじさん、来たニャよ!」
「これはこれはプルン様。本日はとてもお美しく、貴女も立派なレディーに御座いますな」
「ニャハハハ。そうかニャ」
「ちょっとプルン。ゼクス様におじさんは駄目よ!」
「うへっ。何処を見ても貴族様だらけだな。だ、大丈夫だよな、俺、服とか変じゃねえよな?」
「なに緊張してんのよ。私達なんてどうせ見られてないわよ。気楽にしなさい」
「ローゼさんの言うとおりですよ。ほら、皆さんミツ君に視線が向けられてますから、僕達が少し失敗しても互いにカバーできますから。さっ、マネさんも来てください」
「うううっっっ」
ゲートの入り口へと手を差し出すリッケ。
その入り口ではドレスを着たマネが青ざめた顔に下を向き足を止めていた。
彼女が通らなければ後ろの人が通れないでしょうと、マネの後ろから声を出すエクレアは、彼女の背中を押す。
「ホラッ! マネ、後ろが引っかかってるんだから早く行ってよ! もうっ!」
「ミツ、悪いけどこれもうちょっと広げてだシ。マネが入り口で止まって通れないよ」
「はいはい、ちょっと待ってくださいね。よっと。これでいいですか? んっ?」
入り口の下の方から顔を覗かせ見せるシュー。
その声にゲートの端を手に引っ掛け、ぐいっと引っ張る。
片開き程度のゲートは両開き程に広げ、マネの横からエクレア、シュー、ライムと次々と出てくる。
貴族の前に立ち、緊張しているマネへと〈コーティングベール〉を発動。
フワリと彼女の気持ちが軽くなり、彼女の前に差し出されたリッケの手を彼女は取ることができた。
それとは別に、スッとミツの前に手が差し出される。
「坊や、女をエスコートするのも男の役割だよ」
「そうでした。ヘキドナさん、お手をどうぞ」
「ああ、次の女たちもしっかりと手を貸してやりな」
化粧に女を磨かせ、彼女から漂よってくるピリッと刺激のある甘い香りに鼻をくすぐられる。
ヘキドナは直ぐにミツの手を離し、入り口の方へとミツを向けさせる。
改めてミツはゲートの先へと手を差し出す。
「はい。さぁ、アイシャもこっちにおいで」
「う、うん……。うわっ、凄い……。ミツさん、ここにいる人、全員が貴族様なの?」
「んー。全員とは言えないけど、大抵の人は貴族の人達かな。アイシャは皆と入れば大丈夫だから。声をかけられたらリック達に回していいからね」
「!? お、おい。ミツ、流石に俺も貴族相手じゃなんにもできねえぞ……」
「ははっ、大丈夫大丈夫。適当に相槌うって、さっき教えた言葉を使えば良いんだよ」
「お、おう。アイシャ、お前もさっきミツから教えてもらった言葉、覚えてるよな? いざという時はそれ一緒に言うぞ」
「は、はい! 流石です! 知らなかった! 素晴らしいです! センスがあります! 尊敬します!」
「よしっ!」
「うんうん。大抵の人はそれで行けるからね」
彼は一体何を教えているのやら。
ミツが教えたのは男をヨイショする【さしすせそ】。
実際下手な事を喋らせるよりも、相手の話に合わせて相槌をうった方が良いときもあるのだ。
「ミツ君、これ付けといて本当に良いの? 逆に目を付けられないかしら……」
「確かにな……。男も女も関係なしにこんな宝石付けてたら、貴族の奴らに横取りされるんじゃねえか?」
「トト、貴族様だよ。奴らなんて言葉駄目だよ!」
「おっ、いけねえ。聞かれてねえよな……。ふっー」
「もう、それとミツさんからもらったそれも、落とさないようにね」
「分かってるよ。いくらになるか分かんねえこんなもん落としたら、ぜってえ弁償もできねえよ」
「無くしたら無くしたでまた作るよ?」
「お、お前な……」
三人が口を揃えて告げる品。
それは三人だけではなく、共に参加した14人全員の胸部分にはミツが作ったとあるアクセサリーが付けられていた。
それは透明でありながらキラキラと光、神が作り出したと思わせるその細かい細工。
天使の翼を広げた水晶のアクセサリーである。中央にはピンポン玉程度の丸い水晶があり、それが翼をつけた妖精に見立ててある。
これは数日前にミツが見つけた巨大な水晶。
その一部を使い、仲間たちの胸へと付けている。
仲間達が全員ゲートから出た後、ゼクスの案内にて領主の元へと歩き出す。
先頭は案内人のゼクス、それに続くはミツ、後はランク順としてグラスのヘキドナ、アイアンのエクレア達と続き、ブロンズのプルン達が続く。
最後はアイシャではなく、リックが周囲の貴族の視線を受ける役割を引き受けてくれた。
また冒険者でありながら、ミツは勿論、付き添いとして共に来た仲間達の服装に周囲の視線が集まる。
王都の服屋で購入しただけはあるのか、ミツの服装はその場にいる男爵の長男坊よりも良い服を着ていることが明らか。
後ろを歩くヘキドナのドレス姿も美しく、男性陣の視線も多く集めている。
大広間に着くと、そこには見知った顔がズラリと並んでいる。
フロールス家の一家全員と、客人として来賓しているカルテットの面々だ。
今回はセレナーデの王族の居る公式の場ではないので、ロキアの参加が認められている。
白いシャツに短パン、青のブレザーに赤いネクタイ。おい、それに眼鏡つけたら殺人事件が起きるフラグの完成じゃないか!?
まぁ、そんな事もある訳もなく、ミツ達は領主ダニエルの前に立つ。
ミツは相変わらず多くの貴族の前、貴族相手に敬意は見せてはいけないので立ったままだが、仲間たちは違う。
全員がスッと左足を下げ、右の膝を折る姿勢と頭を垂れる。
ミツも最低限の紳士的な礼儀を見せる為に、直立した状態に左手は背中に、右手は自身の心臓に掌を当てがえ頭を下げる。
「ダニエル・フロールス辺境伯様。本日はお招きありがとうございます。また辺境伯の叙爵、おめでとうございます。我々、辺境伯様が治めますライアングルの街よりの冒険者一同、辺境伯の叙爵、心よりお祝い申し上げます。僭越ながら、冒険者ギルドに所属致します冒険者代表といたしまして、私、ミツが辺境伯様へと祝いの言葉を述べさせて頂きたいと思います」
「「「「「辺境伯様。おめでとうございます」」」」」
ミツの言葉の後、打ち合わせ通りとリック達からもダニエルへと祝いの言葉を伝える。
その言葉に笑みを深めるダニエル。
「ありがとう。また態々君たちに足を運んで頂けたことに感謝するよ。それとこちらからも言葉を送らせてくれ。ミツ君。改めて冒険者アルミナランク昇進おめでとう。これは私だけではなく、家族、屋敷で働く者全員の気持ちだ。君がアルミナランクとなった事にあれこれと問題を投げかけられるかもしれん。君はまだまだ若い。それ故に、受けた問題の判断が付かない時もあるだろう。その時は遠慮することはない、私、いや、この場にいる者達にも君の話を聞かせて欲しい。君にとっては我々は些細な力かもしれない。だが、それでも手の借りたい時は声をかけてくれ。改めて伝えよう。おめでとう」
「ありがとうございます」
二人が手を取り握手を交わす。
その光景に大きな歓声と拍手が二人へと降りそそいだ。
「お二人ともおめでとうございます! おめでとうございます!」
「お二人の永久の友好を!」
「フロールス家万歳! アルミナランク万歳!」
周囲の貴族たちも認める二人の友好に拍手は更に大きく膨れ上がる。
「さぁ、乾杯をしよう!」
「そうだ、この日を祝って乾杯を何度でもしましょう!」
皆が酒だ酒だとメイドに声をかける。
そこにならばとミツがダニエルに声をかける。
「ではダニエル様、宜しければ乾杯の飲み物は自分が出しますが如何でしょうか? 中にはお酒が飲めない方もいらっしゃるかもしれません」
「君の言葉だ、喜んで受けようじゃないか」
「ありがとうございます。ゼクスさん、すみませんがご協力お願いします」
「はい。かしこまりました」
ミツは大部屋の端の一部を借り、ゼクス達にテーブルなどクロスを引いて準備してもらう。
その間と彼はアイテムボックスからシャンパンとシャンメリーを取り出す。
この二本はミツが日本に住んでいた時、クリスマスシーズンが終わった後、スーパーでまとめ売りを買った時の品である。
シャンパンとシャンメリーの違いはアルコールが入っていないかの違いと、シャンメリーの方が甘めに作られているので子供にも飲める品となる。
またアイテムボックスから水晶の一部を取り出し、周囲の見えないテーブルの下でシャンパングラスを作る。
そしてアイテムボックスから次々と取り出すような素振りを見せつつ、作ったグラスへと〈増殖〉のスキルを発動。
クロスを引いたテーブルにズラリと並べると、不純物が全くないグラスに周囲の驚きの視線が集まる。
氷で冷やしたシャンパンとシャンメリーをグラスへと注げば、その細かな炭酸の気泡が美しく見える品となった。
お酒が飲める人はシャンパンを。反対に飲めない人はシャンメリーを配る。
貴族たちは手に取ったグラスを少し上に掲げ、その透明度に改めて驚きであった。
エルフの国ではグラス自体が殆ど出回らない為、珍しい品と見つめている。
毒見役としてゼクス、トスラン、そしてメイド長が先にそれを口にする。
ゼクスとトスランはシャンパンの美味さに目を見開き驚き、シャンメリーを口にしたメイド長は思わず美味しいと口にしてしまう。
その反応を見てゴクリと喉を鳴らす者がチラホラ。
その場にいる全員に行き渡ったタイミングと、ダニエルが声を出す。
「皆、本日の来賓を心より感謝する。我々貴族は、今後王命により他国を救うためと来季は忙しき時となるだろう。だがそれを皆の力を合わせ必ずや乗り越えようではないか!」
「「「「「おおっーー!!」」」」」
「セレナーデ王国に乾杯を! そして友好者たる者へと互いに祝を送ろう!」
「「「「「乾杯!」」」」」
乾杯の声の後、貴族たちはシャンパン、シャンメリーを口にする。
彼らの口にあったのか、細かな炭酸の粒の口当たりに美味いの言葉が飛び交う。
おかわりが欲しい人はテーブルの方に行って貰ってくださいのミツの言葉。
相変わらずだなと周りの貴族たちからは笑いが溢れ、ならばと空になったグラス片手にテーブルの方へと向かう人達。
ミツはその間と様々な貴族から声をかけられる。
アルミナランクおめでとうございます、おめでとうございますと、今後も我々の領地とも友好をそんなお話。
その際、仲間達はそそくさとパーティーの料理の方へと足を向けていた。
ミツも遠目から見ても美味しそうな料理の数々。
周囲が仲間達に囲んでいるので、マネやリック、トトとテーブルマナーが苦手な者がいてもそれを注意する者は。
「リック! 汁が飛んできたわよ! ドレスに付いたらどうするのよ!」
「ふふぁんふふぁん!(すまんすまん) おっ! リッケ、それ取ってくれ!」
「アンタね!」
早々とリッコがリックの食べ方に甲高い声を出している。
「はい、リック。マネさんも落ち着いてたべないと喉に詰まらせますよ」
「美味いね! 領主様ってのは、毎日こんな美味いもん食ってるのかい。羨ましいね〜」
「そんなわけないシ」
リッケから飲み物を受け取り一度食べる手を止めるマネ。
彼女の言葉に呆れつつシューもハムの様な肉をほうばっている。
「ズズッ、ズズズッー」
「トト、音をたててスープを飲んじゃ駄目だよ」
「かっー!! 美味えなこの汁! 肉汁もだが、具が美味えぜ!」
「汁って……。スープでしょ。あんたね、一度ミツ君からテーブルマナーを教えてもらいなさいよ」
「へっ、俺はかたっ苦しい食い方は苦手だ。美味いもん美味く食べて何がいけねえんだよ?」
「場所を考えろって言ってるの」
「いででで! 止めろ、ローゼ、頭を掴むなよ」
そんな仲間達のやり取りに苦笑を浮かべるミツ。
そこにダニエルの婦人の二人と、子供たちがやって来た。
パメラは純白のドレスにいつもは身に着けない程に多くの宝石を飾りとして身を飾っている。
それは多すぎず、また少なすぎずと相手に不快感を与えないギリギリのラインを攻めた装飾であった。
白のタイツがスリットから見えて入るが、それはいやらしいと見るではなく、正に美しい女性の身体のラインを見せる着こなしであった。
胸元はシッカリと閉めてはいるが、ぴっちりとしたドレスでは逆に彼女のお胸様の形がくっきりとわかってしまう。
隣に立つエマンダは逆に黒のドレスに染められている。
紫の髪の毛に似合う様にと、黒と紫の、やはり日頃見ることの無いドレス姿。
胸元は黒のレースで隠され、その下は紫と足元に行くほどに明るく色染めがされている。
彼女も宝石はいつもは最低限だが、今日は大きめのネックレスがキラキラと光を反射させ注目を集める。
娘のミアは真っ赤なドレス。
ヒラヒラとした飾りはないが、黄色のラインがくっきりと服を見せ彼女の明るい感じを増加させているだろう。
母親譲りのその身体だけに胸元が少しキツそうだが、成長期の彼女に去年こしらえた服は既にサイズアウト寸前のようだ。
ラルスはダニエル同様に白のスーツ、飾りも同じとあえて二人は似せているのかもしれない。
「ミツさん、本日はおめでとうございます」
「改めて貴方様にはお祝いの言葉を述べさせていただきますわ」
「ありがとうございます。そちらも旦那様であるダニエル様のお祝い、心より申し上げさせて頂きます」
「いえ、ダニエルが辺境伯の叙爵を王より下賜頂けた事は、貴方様のお力あっての事。それは本人も毎日の様に話に出すほどです」
「ミツさんには改めてお礼と深き感謝を送らせて頂きます」
エマンダの言葉の後、ラルス、ミアが頭を下げる。
辺境伯の家族が平民相手と頭を下げる光景に実際はありえないのだが、相手があの少年だからこそ、それを当然と見守る周囲の貴族たち。
まぁ、勿論ミツの事を知らない貴族も中には居るので、その光景に驚く者も居るのだが。
ミツの正装の姿にパメラとエマンダノ褒めの言葉を貰いつつ、ミツは二人とミアの衣装を褒める。
例えその言葉がお世辞と分かっていても、女性は褒められて嬉しくないわけがないので、三人はご機嫌と話が弾んでいく。
急遽王都で購入しに行った話、また仲間達の服もその時用意した話をすれば、三人の視線はプルン達の方へと向く。
見られてる事に気づいたのか、最年長のヘキドナがぎこちなくも礼儀と頭を下げ近づいてきた。
「領主婦人様。本日は我々の様な者までお招き頂きましたこと、感謝致します。また領主様へとお祝いの言葉を」
「ええ、貴女も態々来ていただきありがとうございます。貴女ともこれで顔を合わせるのは何度めかしら? やはりミツさんとの交流がある方とは無意識と我々と繋がるのでしょうね」
「恐れ入ります。私も彼には多くの助けを頂きました。彼と友好を深めるのは恩を返すためでもございます」
「……左様ですか。ではその恩を返す相手は、私達フロールス家と同じお人ですね。同じ身として、貴女とも仲良くしていきたいわね」
「……はい。婦人様のお言葉、私、グラスランク冒険者、ヘキドナは感謝に満たされる思いです」
「そう言えば貴女もランクを上げられたのですね。貴女にも祝の言葉を送りますわ」
「ありがとうございます」
婦人二人の言葉に恭しく頭を下げるヘキドナ。
その際、彼女の胸元に付けられているアクセサリーへと二人の婦人の視線を注目させていた。
またセルヴェリンとミンミンがシャンパングラス片手にやって来た。
二人は屋敷に来た時に着ていた正装を着ている。
流石に自国からドレスを取り寄せる事もできなかったが、今二人が着ている服も十分過ぎる程に豪華な装飾などが施されているので問題はないだろう。
ミンミンはミツの服装を上から下までと褒め続け、セルヴェリンが呆れながら彼女を止めるまでミンミンの口は止まらなかった。
話の中、予定では2~3日でカルテット国からミツが二人へと送ったキノコ小屋を運ぶ為の人材が来る予定であったが、コウキュウタケと言う品だけにカルテットの城ではそれを運ぶ人材の選別に時間を取っているそうだ。
更に来る予定の人数が思った以上の数になることも。
もしかしたらアベルやカイン、巫女姫のルリが来たとき並に人がフロールス家に押し寄せるのではないだろうか。
セルヴェリンは難しい顔を作り、ミンミンは苦笑い。
彼らが話をしている間と、少し離れた所ではミアとプルン、リッコ、ミーシャ達と、女子組が話をしている。
「ミア様、おめでとうニャ」
「「「おめでとうございます」」」
「プルン様。皆様。ありがとうございます。本日は皆様、とても素敵なお召し物ですね」
「ニャハハハ。そうかニャ/// ミア様も綺麗ニャよ!」
「フフッ。ありがとうございます。こうして多くの皆様にお祝いの言葉を頂けるのは私達も嬉しく思いますわ。あの……失礼ながらプルン様、皆様がその胸部分に付けられておりますアクセサリーは何方でご購入されたのでしょうか?」
ミアの視線がプルン達の胸元を一周する。
「ああ、これですか? これはミツが作った品ですよ。服を買いにいった時、この手袋や扇は購入したんですが、アクセサリーは選ばなくて良いって、あいつ……彼が言ってました」
「それでさっきここに来る前に貰ったニャ」
ミアの質問にリッコとプルンが答える。
「なるほど、流石ミツ様ですね。恐らくこの様な素晴らしい品、お母様も目にした事は……えっ……えっ!?」
「ニャッ!? ミ、ミア様、如何したニャ!?」
「プ、プルン様、申し訳ございません。もう少し近くでそちらを拝見しても宜しいでしょうか!」
「う、うん……」
プルンの許可を得たミアは彼女の胸に付けた水晶のブローチに近づく。
「こ、これは……信じられない……」
「ニャ……///」
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