第164話 波乱万丈、商売繁盛
「急ぐのだ! 他国の者に我が国の利となる力を奪われる前に!」
「はっ! 全体、急ぎ!」
「「「「おうっ!」」」」
北の国、セレナーデ王国方面から多数の馬車、それを護衛する騎兵が大きな土煙をあげ、急ぎ外道を走る。
王家の国旗を先頭の騎馬部隊が掲げ、道を開けろと道を走る商業の馬車や、農民の押す荷車を道から無理やりにはけさせる。
事実、後ろから凄い勢いに走ってくる数台の馬車に商業人の馬車がぶつかったり、荷車が衝突したら目も当てられない事故に繋がるため、先頭を走る騎兵部隊は怒声をあげ、人々に道を開けさせている。
もし平民である者がこの馬車を止めたとしたら、大名行列を行う侍の如く、躊躇いなしとその者を斬り殺すだろう。
それを避けさせる為、それが先頭部隊の役割でもある。
硬く堅固な騎馬部隊で守る一つの馬車の中では、数名の人種が話をしていた。
「殿下、間もなくライアングルの街に到着いたします……」
「んっ……。相変わらずここはのどかな道だね」
殿下と言われた者の護衛の為、共に同乗している人物の野太い声に反応し、窓の外を少し覗き見る者。
彼は今、ライアングルの街で行われた武道大会に国の代表者として来賓しているカイン殿下の上の兄。
アベル・アルト・セレナーデ。
セレナーデ王国、次期王第二候補の若者である。
弟同様に栗毛色の髪の毛。だが、彼の髪は背中に届くほどのロングヘアーをしている。
顔つきも女性に見間違える程に整っており、カインが幼き頃に、兄を女性と勘違いした頃もあったそうな。
まだ彼らが幼き頃、彼もまたライアングルの街へと足を運んだ頃の記憶を思い出していた。
「いやはや、しかし思わぬ幸運。カイン様の出向かれた先で、まさかあのトリップゲートの使用者が見つかるとは。その者を殿下の手中に収める事ができたなら……」
「……」
護衛兵の隣に座るアベルの重鎮の一人、その者が陽気に喋りだす。
隣に鎧を着た者が座っていても、まだ少し椅子に余裕を出すほどの彼の小柄な身体が印象的であろう。
彼の名はモズモ・グーレス。
今から向かうライアングルの街で見つかったロストスキル所持者であるミツの話題を口にする。
アベルは先程まで昔の思い出を思い出し、少し頬を上げご機嫌であったが、モズモの言葉に無言の圧を向ける。
それはつまらぬ発言をするなと、彼の表情を見た者は直ぐに理解するだろう。
モズモは自身の発言に王子の不快を買った事に直ぐに謝罪を述べ、口を閉ざした。
「し、失礼いたしました。少々出過ぎた発言、お許しを……」
「……」
何も言わず、王子アベルは眠りに付くように目を閉ざした。
彼が直々にライアングルの街へと出向いた理由は、間違いなく失われたスキル、ロストスキルであるトリップゲートの使用者であるミツを城へ招く意味もあった。
だが、彼の中では別の目的もあったのだ。
実はライアングルの街に行くことを、別にアベルは王から命じられた訳ではない。
本来王城にミツを客人として連れてくることを、王より命令されたのは、王の従弟の公爵が足を運ぶ予定であった。
なら、何故彼らは全速力で馬を走らせているのか。
それは、先程失言を口にし、今はアベルの睨みに怯え口を閉ざした彼の言葉にてこの現状ができている。
彼も先程の発言に悪気は無いのだが、アベルには、王座にどうしても付いてほしい欲が出てしまったのだろう。
彼が王座に座れば、自身の孫娘を妻とは言わずとも、妾にしてもらえば、彼の一族は安泰であり、彼自身も更に上の発言力を持つ者へとのぼり上がれるのだ。
この考えを持つ者は、事実彼だけではない。
今、セレナーデ王国では二つの派閥争いが戦っている。
勿論それは次期王を決める為の派閥である。
第一王子、第二王子と二つの派閥が争っている。
勿論アベルが王となれば、アベルに付いた者は今より発言力も権限も強く持てる貴族となり、逆に派閥争いに負けた方は貴族としての権限も制限され、下手をすれば領地を減らされたり、僻地の管理と無理な命令が下されるかもしれないのだ。
これは簡単に言えば、左遷である。
勝つか負けるか、重鎮達は第一王子の派閥に先んじるためアベルの重い腰を無理やり馬車に放り込み、ライアングルの街へと急いでいるのだ。
最初こそアベルは本当に嫌がっていたのだが、モズモの彼との付き合いも長い事、更には国の為と言葉を並べられては嫌とは言えなかったようだ。
アベルは薄っすらと目を開け、未だに自身の誤った発言に後悔したモズモを見てはクスリと笑っていた。
∴∵∴∵∴∵∴∵∴
ミツ達が新たな防具を求めて、ミーシャのおすすめと言っていた防具屋へと皆は訪れていた。
その店はミツ達も何度か足を踏み入れたことがあるお店であり、皆は知った店と店内の商品を見て回っている。
ローゼは新たに得たスキルの効果で、自身の身体の成長に驚く程、今の彼女の体つきが変わっていた。
その為、今まで持っていた衣服が着れなくなっていたので、彼女は防具だけではなく、今日は肌着や私服まで全て買い直しである。
女性スタッフが付き添いに彼女に似合った衣服を購入する為、彼女とは別に三人は手軽な買い物を楽しんでいた。
「ニャハハハ! リッコ、リッコ。これを見るニャ!」
「んっ? 何よプルン、ただの箱じゃない?」
「開けて見るニャ」
棚に置かれた商品の箱をリッコへと差し出すプルン。
彼女の差し出した箱は、外見は何も装飾を施しても無いただの木箱である。
「? ……わっ!?」
「ニャハハハ。びっくりしたニャ?」
彼女は渡された箱の中身は気にせずと、箱を開ける。
すると中には虫をかたどった玩具が一個入っていた。
胴体を箱に木で固定し、虫の玩具が中で浮いた状態にすれば、虫の脚がブラブラと動き、開けた瞬間まるで生きた虫のように思わせる物である。
要するにびっくり箱である。
「ちょっと、何よこれ!? も〜、くだらないわね」
リッコは悪ふざけに驚かせられたことに呆れつつ、箱をプルンへと返す。
そこにミーシャが声をかけてきた。
「リッコちゃん、見てこの口紅。最新色ですって〜」
ミーシャが持ってきたのは年頃の女性なら興味を持つ化粧品の口紅であった。
スティック状の口紅ではなく、木でできた小さな入れ物に詰め込んだ品である。
ミーシャは中身をリッコとプルンへと見せ、お試しと先程小指で救い、自身の手の甲に付けた口紅の色を見せる。
「あら、綺麗な色。でも、私には似合わないわね。この色ならミーシャ、私はあなたが似合うと思うわよ?」
「そうかしら〜? 私がいつも使ってる物よりも、少し色が濃ゆいかしらね〜。でも、こう言うのも一つ持ってても良いかもしれないわね」
「ニャ? 二人とも化粧をしてるニャ?」
二人の会話に彼女も女性であるのに、化粧などに興味がなさげな発言をするプルン。
彼女の発言に呆れるリッコ。
「はあー。プルン、あなたも女性なんだから、こう言った事に興味ぐらい持ちなさいよ」
「ふふっ。プルンちゃんも元は良いんだから、ちゃんとおめかししないと駄目よ〜」
「ニャ〜。ウチはそう言うのは興味ないニャ〜」
ミーシャの言ったとおり、プルンも元の顔の作りは悪くない方である。
いや、最近しっかりと食べ過ぎていると思う程にご飯を食べている彼女は顔色も良く、肉付きも男性に興味を持たれる程についている。
周りに余計な汚れが付いていた宝石の結晶の様に、今の彼女は自身を磨く為の研磨途中の女の子。
ミーシャとプルンはならばと、店員を呼び、プルンの女を磨く為の買い物を始めるのだった。
二人は元々今回得た金の使い道は新たな魔石の購入と話し合っていたのか、この場での高額な買い物は無いが、気に入った化粧品をいくつか購入することに。
時間潰しという訳ではないが、プルンも渋々それに付き合っていた。
しかし、結局彼女が購入したのは弟妹達へのお土産としての玩具数点。
女性の買い物に男性は不要と、リックとリッケに付き合うミツ。
以前来店したときよりも店内は広く、商品が増えていた事に店内を見回っていた。
リッコ達が見つけた化粧品の様に、女性だけではなく、男性も興味を引く品がちらほら。
どうやら今回の武道大会に合わせ、多くの品を輸入しリニューアルオープンしていたようだ。
「見て、リッケ。ほら、魔力付与品の防具が置いてる」
「本当に。凄いですね。こう言う者は専門のお店でしか扱わない品何ですが、防具一式揃うほどにありますよ。あっ、リック。貴方も見てくださいよ。黒鉄の盾が置いてますよ!」
リッケが商品棚の下に並べられた盾に目をやると、そこには盾としては珍しい黒鉄の盾を見つけた。
黒鉄は錬金術で作られる鉄の上位素材。
強度が鉄と比べられない程に硬く、炎や魔法攻撃に対してもその力を発揮してくれる有能な盾である。
しかし、この盾にもデメリットはある。
それは、黒鉄の盾は莫迦みたいに重いのだ。
今リックが戦闘で使用している盾の重さが大体5~7キロと、一般的な前衛のガードとしてして持つ盾の重さである。
だが、もしリックの持つ盾と同じ大きさにすれば、黒鉄の盾の重さは50キロ以上は確実であろう。
そんな物を持ち運ぶにも大変だし、戦いの時に邪魔でしかない。
棚に置かれた黒鉄の盾も、小さな鍋の蓋程度の大きさしか置かれてないのだ。
それ以上の大きさとなれば、商品棚が壊れてしまうかもしれない。
リックは黒鉄の盾に軽く視線を送るが、これの視線は直ぐに外される。
「いらん!」
「リ、リック……。如何したんですか? 折角お店の中を見てるのに、そんな意固地に拒絶しなくても」
弟の言葉に、呆れながら振り返るリック。
「莫迦、リッケ、お前もう忘れたのかよ。あの店員達の押し売りを!? 下手に買う雰囲気出してみろ、今のローゼを囲む店員みたいに、商品両手に押されるんだぞ! 見てみろよあの店員、衣服だけと思ったら、何か料理道具とか、マジで関係ない物まで持ってんじゃねえか……」
「うわっ……ローゼさん、かなり上手く断ってるみたいだけど、買わされてる商品もあるね……。見てよ、今来てる店員さん、何か本を数札持ってきて見せてる人もいる……」
「流石に本は高価な品ですからね……。確か1冊金貨数枚はしますよ、あれは……」
「……だぁぁ! ったく、しゃあねえな!」
「リック?」
ローゼに押し売りまがいな事をしている店員を睨むリック。
ガシガシと頭を掻きながらリックはローゼへと近づき、突き出すように彼女の目の前に商品を押し付ける店員の間にリックが割って入る。
「おい、ローゼ、もう買う物は選んだのか?」
「リ、リック!? あ、うん。取り敢えず防具品は。後は日用衣服とか少し……」
「そうか。おい、店員。こいつがほしがってるのは服だ。いいかよく聞け、服だ! 本や鍋なんかじゃねえ、服以外の物を次持ってきたら他の店に行くからな!」
周囲に聞こえる程の声を目の前の店員へと告げるリック。
周囲の視線もあって、店員は差し出していた商品を持つ腕をおろした。
「か、かしこまりました。それでは、日常生活にて使用できますお洋服の品がこちらにございますのでどうぞ……」
「はい、ありがとうございます。リック、助かったわ」
「ああ、でもまだ油断するなよ。さっき言ったが、こいつに服以外の物を売ろうとしたら俺達は別の店に行くからな! 金の支払いは俺がまとめてする、その時にいらねえ物売りつけてたら決めてた商品も買わずにでる事を覚えておけよ」
「はい、勿論にございます。お客様のご希望に応えてこその我ら商人にございます」
「フンッ!」
トドメとばかりにリックは店員へと支払いは俺だと強く伝え、押し売りの防線を張る。
店員もここまで強く出られたら、新たに別の商品を見せることはできないと判断したのだろう。
先程までローゼに2~3人付いていた店員の数が1人になり、離れた店員は他のお客へと声をかけに行ってしまった。
「お疲れ、リック。随分とビシッと言ってきたね」
「当たり前だ。店員も仕事だろうが、ローゼ達も、俺達も死ぬ思いとあの金を稼いでるんだぞ。それを無駄な物に使わせてたまるか」
「あ〜。なるほど……。まあ、リックが目を光らせたかいあってか、ローゼさんも普通に買い物できるようになったみたいですね」
「必要な物ならそりゃ使うべきお金は使うべきだろうが、ここの店は少し……いや、かなり財布の紐を固くしねえとな」
「ふふっ、そうだね」
「……。ミツ、お前も気をつけろよ」
リックは少し店の裏に行っていた店主を見ては目を細める。
「お待たせいたしましたお客様。こちらが当店に新しく並べさせて頂いております武器一覧にございます」
店主は一人では運べないと思える程の武器を店の裏から持ってきた。
車輪の付いた商品棚を店員の数名に押させている。
棚の一つに様々な武器が立てかけられ、表と裏にびっちりと武器が飾られている。
「「「……」」」
「どうでしょう、お客様のお求めになられていますこちらの商品の品々。ランスと言っても一口に様々ございます。ですが当店は誰が使用しても問題なく扱える品を揃えさせていただいております。きっとお客様のご満足すると自信をもってご提供させて頂きますよ」
「あっ……リック……。もしかしたら、態々他の武器屋に行かなくても、リックの新しい武器が見つかるかもね……」
「くっ……。認めたくねえな……」
店主が商品であるランスを手に取り、まるでテレビショッピングの様に、一つ一つ商品の説明を細かく説明し始めた。
並べられた武器はランスだけでも10種類を超え、普通の武器屋よりも品揃えが豊富なのは明らかであった。
ぐうの音も出ない程の武器の数々に、リックはもうここで武器を購入する事にしたようだ。
「凄いですね、この数。剣だけでも十分なほどありますよ」
「でもリッケの持つ武器はお父さんから譲ってもらったんだよね。買い直す予定はないかな」
「そうですね。父からもこの剣の重さに慣れてから、自身に似合った武器を見つけろとも言われてますし」
二人の会話を聞き逃すまいと、店主がズイッと二人の間に入ってきた。
本当に距離感が近い人だ。
「それではお客様。お客様にピッタリな商品がこ、ち、ら、に!」
手品を見せられている気分に、店主は胸ポケットから剣を収める為の長い鞘を一本取り出した。
いや、本当に何処にしまってた!?
「「鞘?」」
「にしても、普通の鞘だよね?」
「そうですね? 店主さん、何で鞘がオススメなんですか?」
「はい。こちらの鞘、実はただ単に剣をしまうだけの鞘ではございません! お試しにお客様の剣をお借りしても宜しいでしょうか」
「は、はい」
「失礼します。えー、こちらの剣の長さでしたらこちらの鞘が丁度よい長さになりますね。どうぞ、お客様」
店主はリッケの剣を受け取った後、指幅を使い、別の鞘をまた胸ポケットから取り出した。
引っかかりもなく、取り出した鞘はリッケの剣を綺麗に収める。
「どうも。確かにサイズはピッタリですね」
「何だ、ただ単に持ってる剣が隙間なく収まるだけの鞘じゃねえか?」
「そうだね? 別に元の鞘と重さも変わんないから持ち運びが楽になったとかは無いと思うけど……」
ミツが剣を受け取り、元々剣を入れていた鞘と見比べるがやはり見た目もそんな変わらない。両方とも革で作られた鞘である事は間違いないのだ。
店主へと話を聞けば、店主はニコニコと営業トークを続ける。
「ではお客様。先程その鞘に収めましたお客様の剣を抜いて見てください」
「はあ……? ……!?」
「「!?」」
リッケが店主の言われるがままと、剣を鞘から引き抜く。
すると剣は風切音を鳴らす程に素早く抜かれ、あと一歩、リックがリッケに近かったら、リックは何処かを斬ってしまったかもしれない。
「危ねえ! リッケ、もう少しゆっくり抜けよな!」
「す、すみません! いや、違うんです!」
「何が違うんだよ?」
リッケの言葉に、剣幕にリックが怒りを見せる。
「僕はいつも通りの力で剣を抜いたんですよ!?」
「はぁ? 何言ってんだよ!?」
「ですから!」
彼は本当にいつも通りの力を込め、剣を鞘から抜いたと強く主張するが、抜刀の速さがミツとリックからみたら、彼が本気で剣を抜いたのと思わせる速さが出ていのだ。
「フフフッ……」
「あっ?」
二人のやり取りに店主が含み笑いをすると、リックは店主へと睨みを向ける。
「いやはや、これは失礼しました。ご説明を先にすべきでしたでしょうか。実はそちらの鞘には特殊な効果を付与しておりまして、ご覧の通り、いつも以上の速さで剣を抜く事ができます」
「えっ? もしかして、リッケが驚いたのって」
「はい。そちらに付与されました《抜刀促進効果》の付与でしょう。どうでしょうお客様。剣士として、モンスターと戦う際、剣を一瞬でも早く抜くことができたなら、それはお客様だけではなく、お仲間の生命を救う一刀となりませんでしょうか。こちらの商品、恐らく何処を探しても見つけることのできぬ1品と自信をもってご提供させて頂きます」
「確かに。今のリッケが剣を抜いた時の抜刀の速さは、モンスターへの恐怖心を和らげる十分な魅力を見せてると思うよ」
「ああ。鍋とかネックレスとか、そんな戦闘に役に立たねえ物よりかはまだ使える品だな」
「……お二人がおすすめするなら。分かりました、剣はそのまま父さんのを使うとして、僕はこの鞘を買い直すことにします」
「お買上げ、ありがとうございます! それではサービスとしまして、鞘と剣の摩擦を更に減らすための剣油を多少つけさせていただきます。使用してみてお気に召しましたらどうぞこちらも次回ご購入のご検討をよろしくお願いします」
「はい、ありがとうございます」
店主は商品が売れたことに顔はニコニコ。
リッケは自身の為になるものを見つけてニコニコ。
今のところは無茶な押し売りもない事にミツとリックは一安心。
いや、リックの言うとおり、最後まで油断できないのがこの店だ。
鎧を飾られた場所でミツは足を止め、隅に置かれた黒い鎧に視線が止まる。
それは他の商品とは違い、飾り人形に飾られることなく、硬め置かれた黒鉄の鎧だった。
「あの、店主さん」
「はい、お客様。お客様がお気になる品がございましたでしょうか」
「この黒鉄の鎧って、どれぐらいの強度があるんですか?」
ミツが一つ手に取り、店主に黒鉄の強度を質問すると、店主は少し困り顔を作り、鎧の説明をしてくれる。
「こちらの商品にございますでしょうか? ……はい。こちらの黒鉄の鎧ですが、先ず黒鉄は錬金術にて精製された通常の鉄とは異なる希少な素材にございます。それをまた専門の職人に加工させ、また専用の紐と糸を使用し縫い合わせた事に強度は折り紙付き。たとえこの鎧の上にモンスターが全体重をかけようとも、ヒビ割れ一つすることなく、またモンスターの鋭い牙、爪、また衣服だけを溶かすスライムの酸ですら耐える事ができる一品にございます」
「へー。黒鉄って盾以外にも使われてたんだな。でもよ、この大きさだと身体の大きな奴は着れねえよな?」
確かに、今目の前に置かれた黒鉄の鎧は小柄な人なら身につけることはできるだろうが、大人が装着するには少し小さいのかもしれない。
「はい。残念ながら黒鉄は錬金術で精製されても量も少なく、加工すると如何してもこちらの大きさでしか作ることができません。ですが、黒鉄自体が重く、無理やり大人サイズを作ってしまうと身動きが取れず、戦うことすら難しく、更にはこの大きさの冒険者ではこの鎧の値段も高く中々手の届かない金額にございます」
「あー。なるほど……。おいおい! なら、なんで作ったんだよ!」
大人が装着するには大きすぎる。
このサイズがピッタリあうのは、正直ドワーフのように小柄な体型の者しか装着できない。
しかし、黒鉄自体値段が高すぎるのでおいそれと買う者もいない。
四方八方と売る手段が無い物に、リックは呆れながら店主へと言葉をかけた。
「いえ、本来なら着る予定の方がいらっしゃいましたが……。試しに着てみたところやはり重すぎて歩くのもままならなくなってしまい、こちらの店にて下取りさせていただきました。当店としても黒鉄は希少であることは理解しておりますので、ま〜、売れなければ溶かしてまた盾にでも加工すればと思いしだいであります」
「黒鉄を作る際、錬金にもそれなりのお金がかかってますからね」
「なるほどね……」
「ですので、こちらはある意味お客様に鎧などを興味をもたせる為の客引き道具ですね」
「ぶっちゃけたな! 大体よ、こんなもの持てる奴がいねえだろ……」
「「……」」
リックが店主の言葉以前に、黒鉄の重さを理解せずにこんな物を作ったと呆れていると、店主とリッケ、二人が口を開けてミツの方を見て眉尻を上げていた。
何だとリックがそちらを見れば、ミツは黒鉄の一番重い胴体部分を彼は持ち、重さを感じていないと思わせるように、彼はひっくり返しては中の素材を見ていた。
「うん、少し重みはあるけど中の生地までシッカリ作り込まれてるね。付け外しも……うん、問題ないっぽい。んっ? どうしたの皆?」
もうこんな事で驚きはしないと呆れ眼にミツを見ていたリック。
店主も流石に黒鉄の鎧を軽々と回すミツを見ては、いつもの接客はできなかったようだ。
「いや。……ミツ、それちょっと俺にも貸してみてくれや」
「うん、はい」
「おう、すまねえな。 !? ちょ! 重っ」
「うあっ、リック!」
ミツは手に持つ黒鉄の鎧をリックへと渡すと、リックは鎧の重さに足から崩れた。
リッケは倒れる兄を支えようとするが、彼の力では補助もままならず、結果二人揃って倒れてしまった。
その事に気づかず、ミツは棚に置かれた黒鉄の鎧一式を見ながら店主へと話しかけている。
「店主さん、これって小手と腰の飾り、それと靴もセット何ですか?」
「……はっ! も、申し訳ございません。はい、こちらの商品は基本セット販売させていただいております。もしお客様がこちらをご希望されますなら当店としてもサービス料金にてご提供させて頂きます」
「じゃ、ちょっと試着しても良いですか?」
「勿論にございます! ささっ、お客様を試着室へとご案内なさい」
数人の店員を呼び寄せる店の店主。
二人がかりでリックから鎧を受け取る店員と、残りの防具品を持つ為の店員である。
店主はミツを試着室へと案内する。
「ミツ君、黒鉄の鎧を軽々と着てましたね……。リック、大丈夫ですか? 因みに、リックが受け取った鎧。あれってどれぐらいの重さがありました?」
「あ、ああ……。そうだな……。家に置いてる水樽の中に水を満タンに入れたぐらい……じゃねえか……」
「それは……重いですね……」
「重かったぜ……」
一般的に鎧の重さは15~20キロ。今リックが着ている物でも10キロと軽い方である。
しかし、ミツが片手でリックへと渡した黒鉄の鎧は、実は重さにして80キロはあったりする。
それを片手一本、しかもまだ青年もと言えない少年が持ち上げたことに店主も流石に驚いたようだ。
試着室へと案内され、手渡された黒鉄の鎧の付け心地を確認するミツ。
「うん、やっぱり動きやすいように二の腕部分はいらないかな。それと、あれ、紐は何処だ?」
「ミツ、結ぶ為の紐はここだシ。ウチが結んであげるから真っ直ぐに立つシ」
「あ、すみません、助かります……」
鎧を固定する為の紐を探していると、何やら聞き覚えのある少女の声が聞こえた。
いや、彼女も既に歳は18。
少女と言う歳でもないだろう。
しかし、今回は服を脱ぐことはなかったが、もしミツが上も下も脱ぐような事があったら、彼女としてはどう言う反応をしてたのか。
「ミツ、動きやすくするなら太腿の部分も外しとく方が動きやすくなるよ。攻撃をされそうな時は手の甲で守るか、膝を上げればモンスターの攻撃も当たらないシ」
「なるほど、勉強になります。ありがとうございます、シューさん」
「シシシッ。どういたしましてだシ」
彼女はいつの間に居たのか。
いや、その前にここは試着室であり、入ったときにはミツだけのはず。
シューは当たり前とミツの着替えを手伝い、当たり前と先輩冒険者としての心得を教えてくれた。
ならば今度はミツがシューへと羞恥心と言う物を教えるべきなのか?
「……」
「……」
「……」
「どうしたシ?」
「いえ、いつもの事ながらシューさんは気配を消すのが凄いなと」
「何言ってるシ。ウチ、ミツ達が買い物してる時からずっと近くに居たシ?」
「えっ!?」
「ほら、マネもミツの仲間と話してるシ」
「あ、ホントだ」
試着室から顔を出せば、リッケとマネが話している姿が目に入る。
どうやら二人とも仲直りできていたようだ。
マネと話すリッケの頬が赤いのはいつものことだが、気のせいなのかマネも少し気恥ずかしそうに頬を染め、話してるような気がする。
いや、気のせいではない。
何故なら、側で買い物して居たプルンとリッコ、それとミーシャまでも二人の側でニヤニヤとした顔をしては彼女達は聞き耳を立てているし。
「こんにちはマネさん」
「おう、リッケ。それとリッケの兄貴。元気にやってるかい」
「どもっす。なあ、リッケ。俺は武器が見てえんだけど」
「そうですか? 分かりました。僕達は話してますのでリックは買い物を続けてください」
「……おう。あれ? 何か俺の扱い酷くね?」
リッケの思わぬ言葉に、あれっと動きを止めるリック。
そこに現れた店の店主である。
「それではお客様! お客様にピッタリ! 一心一体となる商品をご案内させて頂きます」
「うっ……誰か! 頼むから付いてきてくれ!」
「さっ! どうぞどうぞ!」
油断した。リッケもミツも買い物を終わらせたのだから、次に狙われるのは俺だと、そう思いついた時には店主の格好の的である。
店主はグッとリックの腕を掴み、見た目から想像できない力で武器を並べてる方へと、リックをグイグイと引っ張って行ってしまった。
「良いのかい? 兄貴を放っといて?」
「大丈夫ですよ。リックはああは言ってますけど、何だかんだであの店主さんとの買い物を嫌ってる感じは見えませんから」
本当にリックは嫌がってるのだが、今のリッケには目の前にいるマネのことしか考えてない為か、リックの扱いがぞんざいである。
「ハハッ。そうかい。ところでリッケ、今日は誰かの付き添いかい?」
「はい。新しくジョブを変えましたので、その祝品として皆で買い物にきてました」
「ジョブの変更? なるほどね。あんたは最近前衛にジョブを変えたそれだね。おや、ミツ。あんたも来てたのかい」
「こんにちはマネさん。マネさん達もお買い物ですか?」
「んっ……ああ。まあ、そんな所だよ。ところで誰がジョブを変えたんだい? 見たところ、ミツ、装備を新調してるあんたがそうかい?」
試着中のミツの格好を見ては、マネはそう思ったのだろう。
事実その通りなのだからミツは他の面々も同じ理由で買い物をしに来た事を彼女へと伝える。
「そうですよ。それと、自分だけじゃなくリッケも、リックもあっちで買い物してるプルン達もです」
「へー。そりゃまた、全員揃ってタイミングがいいもんだね。……んっ? リッケ、あんた最近前衛のソードマンになったとか言わなかったかい? 前衛止めて別の立ち位置に変えたとか?」
「いえ。マネさん、僕は前衛のままですよ。ミツ君に協力してもらい、皆で頑張りましたから」
「そ、そうかい……」
リッケのやり遂げた感のある顔に少し動揺するマネ。うん、男のミツでも今のリッケの表情を向けられたらドキッとするかもしれないね。
「ところでマネさんは何を買いに?」
「あー。あたいは、その革鎧をちょっとね……」
「防具ですか……。なら、良ければ僕もご一緒しても良いですか? 僕も前回防具品を変えた時、防具一つでも戦い方が違うって父に教わったんです。マネさんの戦い方も是非教えてください」
「あ、あ、あたいの買い物にあんたがかい!? あっ……いや……その……」
リッケの言葉に更に動揺し、顔まで真っ赤になるマネ。
何故彼女がそこまで挙動不審となるのか、ミツは隣にいるシューへと質問する。
「んっ? シューさん、マネさんは革鎧を買いに来たんですよね?」
「そうだシ。マネ、また胸がデカくなって、今まで狩りの時に使ってた鎧が着れなくなったし」
「あっ……」
シューの悪気もない真実の言葉に固まる面々。
リッケには悪いと思い、見ないようにしていたマネの胸のスイカに少しだけ視線を送るミツ。
リッケも思わずマネの胸部へと視線を送ってしまったのだろう、彼は直ぐに視線を外した様だが、二人の視線にマネは顔を真っ赤にしてはシューの頬を摘み怒声をあげる。
「シュー! 莫迦! 何喋ってんだよこの口は!」
「い、痛いシ! 離せこのデカ乳!」
「誰がデカ乳だい!?」
「この無駄に付いた肉の事だシ!」
「痛え! シュー、乙女の胸になんて事を!」
自身の頬を摘むマネの手を小柄なシューは振り解く事はできないと、彼女はマネの胸へと小さな手を使い平手打ち。
ペチッと音は弱いが、あまり経験のない痛みにマネは驚き、更に二人の喧嘩がエスカレートしてしまった。
「「……」」
二人を止めるにもどう止めるべきか悩んだが、取り敢えず周りの商品を壊さないようにと軽く注意して二人の動きを止めることはできた。
男勝りなマネであっても、やはりリッケに胸の事を告げるのは恥ずかしかったのだろう。
リッケはマネに無理を言ったことを誤り、頭を下げる。
「す、すみません!」
「あ、アハハハ。あんたがそんな謝ることないだろうに。気にすることないよ」
「そうだし、悪いのはマネだシ。君が謝ることなんてないよ」
「シュー、何だって!」
「何だシ!」
「「ガルルッ!」」
「はいはい、二人ともそこまで。あんまり騒ぐ様ならリーダーに言いつけるよ」
まるで狂犬のような唸り声をあげる二人。
二人の喧嘩を止めるように、エクレアが口を挟む。
「でもよエクレア!」
「だってエクレア!」
「もういいから。マネ、あんたは早く新しい防具を選びなさいよ!」
「ったくよー。ブツブツ……あんたらはあたい程に胸の成長がねえから、鎧の買い直しがないんだよ……ブツブツ……」
「にゃろ‥‥‥本当にリーダーに言ってやろうか……」
「言ってやるシ」
マネの去り際の言葉が聞こえたのか、エクレアとシューは青筋を立てていた。
シューは確かに鎧の買い直しは無いが、エクレアはエクレアで結構装備品にお金をかけている方なのだ。
今は鎖帷子の鎧で見えてないが、彼女の胸もお尻も未だに成長途中である。
彼女はマネに見えない努力を莫迦にされた思いなのだろう。
「こんにちはエクレアさん。ヘキドナさんはご一緒じゃないんですね」
そこに彼女の機嫌も気にせずと、ミツは彼女達のリーダー、ヘキドナは居ないのかと質問する。
質問が不味かったのか、エクレアはミツをギロリと睨む。
「ムッ。……あのね、君の目の前には人目も引く可愛い女性が突っ立ってるのよ。それをいきなり別の女の話をいきなり振るかねー。それは男としてマイナス点だよ!」
「えっ? あっ、そうですね」
「いや、何!? そうですねって? 今気付きましたみたいな反応!? 酷くない! あ〜あ、私の中の君の好意がこの短い時間でどんどん減っていくな〜。こりゃ評価を戻すには色々と君にはしてもらわないと駄目かな〜。……色々とね」
「うっ!? そ、それよりヘキドナさんに言付けの連絡をお願いしてもいいですか?」
「んっ? 何」
エクレアの事は嫌いではないが、ミツは少しグイグイと来ているエクレアを少し苦手としていた。
そんな彼女にまた変な事を言われる前と、言付けを受けている事を伝え、彼女へと伝える。
「あの、領主様に仕えてる執事長のゼクスさんからの連絡なんですが。以前、武道大会の避難誘導を手伝ってくれた皆に領主様からお礼を送るそうなので、後日領主家に足を向けてくれだそうです」
「ふ〜ん。分かったわ。リーダーに伝えておくわ」
「はい。よろしくお願いします」
領主家に訪問するのは各自バラバラでも良いということなので、時間があればヘキドナ達は揃って領主家へと足を向けるだろう。
ヘキドナも武道大会の閉会式に参加したことがあるので道は問題ないと思う。
楽しい買い物時間も進み……。
「だから! 何で槍に鈍器が付いてくるんだよ!」
「いえいえ、お客様。こちらの商品、なんと槍を突き出せばその先から取り付けた鉄球が飛び出し、モンスターへとダメージを追加します」
「いらねえ! それに使ったとしてだ! それ一発撃ったら次は如何するんだよ!?」
「ご安心ください! こちらにセット用の鉄球が……」
「重すぎて持ち歩けるか!」
……賑やかな買い物も進み、各自その時間を楽しんでいた。
そして、リックの言うとおり、会計は纏めてリックが取り敢えず払う事になった。
リックが強く念押しした事で、今回は不用品を押し売りされる事はなく、皆が望む物のみが皆の手に握られている。
「ありがとうございます。合計額はこれ程頂戴いたします」
周囲に見えないように、店主が少し小声気味に合計金額を皆の前に提示する。
「うわっ、流石に高いわね……」
「リックの槍が高すぎるニャ?」
「いや、俺のは一般的な金額だぞ?」
「私が防具品だけじゃなく、色々と衣服とか買っちゃったかしら……」
「ローゼの買った物は確かに一番数はあるけど、日用品程度の値段よ?」
「僕の買った鞘ですけど、リックの槍の半分もしない値段ですし……」
「うん、分かってる。この金額の半分は自分の鎧の値段だって」
各自何を買ったのか。
リックは槍を新調し、彼の背丈と力に合わせて買った、一般的な武器の槍、金貨10枚。
リッケは抜刀促進効果を付与した鞘、金貨3枚。
ローゼは防具/日用品、合わせて金貨8枚。
プルンは弟妹4人分へ、玩具のお土産のみで銀貨4枚。
リッコ とミーシャは化粧品を購入し、リッコは銀貨2枚、ミーシャは銀貨3枚。
そして最後のミツは、黒鉄の鎧一式で金貨35枚である。
合計金額、金貨56枚と銀貨9枚をリックが代表として払う事になった。
若者がこれだけ払えるのか普通なら不安であるが、店主はミツ達なら払えるのを解ってか、金銭面での心配はされなかった。
どうやらミツが武道大会の出場者であることを店の店主は知ってたのだろう。
参加するだけでもかなりの参加賞としての金を得ることを知っていたのか、その辺は問題ないと承知していたようだ。
料金をリックが支払い、プルンがローゼの日用品を自身のアイテムボックスへと入れている。
流石に衣服だけではなく、下着なども買ったのか、男のミツに預けるわけにも行かないだろう。
買い物を終わらせ、ニコニコ顔の店主と店員に見送られミツ達の買い物が終った。
そして、後に食事でも行こうかと話が出たときだった。
カンカンカン! カンカンカン! カンカンカン!
「「「「「「!?」」」」」」
聞いたことのない程のけたたましい鐘の音に仲間たちが騒然とする。
「ミツ、行くシ!」
「えっ!? シューさん、行くって何がですか!?」
突然シューがミツの手を引っ張り、駆け出そうとするが、今のミツは黒鉄の鎧一式を装備した事にシューは簡単にミツを引っ張ることができなかった。
「お前さんは何言ってるんだっての! 招集の鐘だよ! リッケ、あんた達はブロンズだろ? なら街から出るんじゃないよ!」
どうやら先程の鐘の音は、冒険者を集める為の招集する為の鐘の音だったようだ。
招集するのはアイアンの冒険者からであり、ブロンズランク、ウッドランクの新人は街での待機が義務付けられている。
「マネさん……。はい、気をつけてください」
「へへっ、そんな顔するほどでもないってば」
「さっ、早く行かないとリーダーからどやされるよ!」
「は、はい。皆、行ってくるよ!」
三人の慌てようから、ミツは取り敢えず承知したと三人と共に冒険者ギルドへと走る事にした。
「くっ……」
「悔しいわね……。今の私達じゃ、あいつと一緒に走ることもできないなんて……」
「ニャ……」
ミツを見送る仲間たちは、自身達がまだブロンズである事を改めて悔やまされる思いに襲われていた。
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