第15話 知らないところでは。

名前 『ミツ』     人族/15歳


シーフ  Lv5 。


転職可能 new


鉄の弓or鉄のナックル 盗賊の腕輪


HP ______:78+(10)。

MP______ :120/120(10)。


攻撃力___:36+(10)。

守備力___ :32 +(10)。

魔力_____ :24+(10)。

素早さ___ :55+(10 )。

運 _______:56+(30)。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【ノービス】    Max

【アーチャー】   Max

※※※※※※※※※※※※※※※※※※


一点集中__________:Lv3/10 Level up。

不意打ち__________:Lv3/10 Level up。

崩拳______________:Lv3/10  Level up。

威嚇______________:Lv3/10 Level up。

ヒール____________:Lv3/10 Level up。

ハイディング_____:Lv2/10  Level up。

キュアクリア_________LevelMAX。

鷹の目____________:Lv1/10 new。

小鳥の目__________:Lv1/10 new。

フクロウの目________:Lv1/10 new。

連射______________:Lv1/10 new。

デスブロー________:Lv1/10 new。

シャープスラッシュ:Lv1/10 new。

パワースラッシュ__:Lv1/10 new。

流し斬り__________:Lv1/10 new。

二段斬り__________:Lv1/10 new。

投擲______________:Lv1/10 new。

聞き耳____________:Lv1/10 new。

速度増加__________:Lv1/10 new。

ブレッシング______:Lv1/10 new。

即毒______________:Lv1/10 new。

罠仕掛け__________:Lv1/10 new。

打撃耐性__________:Lv1/10 new。

身体強化__________:Lv1/10 new。

痛覚軽減__________:Lv1/10 new。

体力強化__________:Lv1/10 new。

速度強化__________:Lv1/10 new。

自然治癒__________:Lv1/10 new。

能力強化___________________new。


スキル合計数34個


※※※※※※※※※※※※※※※※※


称号   『救い人』


 街への帰り道、オークとの戦いでステータスがどれだけ変わったのかを見ていた。


 ゴブリンとホブゴブリンからスキルを大量にスティールしたおかげでスキルが一気に増えた。


 やはり何個かは既に持っていた同じスキルもあったが、スキルレベルが上がるならスキルがダブっても奪っていこう。


「街ニャ!」


「やっとついたわ~」


 森を抜けた先にはライアングルの街が見えてきた。


 無事に家に帰れる、そう思うと皆の街へ向かう足取りも早い。


 街へ入ると街にいる冒険者が何やらざゎざゎと話し込んでいる。


 冒険者ギルドにたどり着くとその理由が解った。


「あれ? 何だかギルドが慌ただしくね?」


「そうね?」


「何かあったんですかね?」


「あっ! プルン、ミツ君、皆も無事だったのね、良かったわ。ウッドランク五名安否確認、報告を急いで!」


「はい!」


 ナヅキが自分を含め五人を確認した後、他の受付嬢に何やら連絡を回していた。


「どうしたニャ?」


「えぇ、実はね、ブロンズランクの冒険者が依頼中にオーガを川辺で見つけたって報告があったのよ」


「「「「「………。」」」」」


 皆、言葉が出なかった。


「討伐対象アイアンランクに登録されてるオーガ。ブロンズランク冒険者の報告じゃ、見たことの無いオーガが川辺での発見報告だったのよ。あそこの近くは採取依頼品が多く取れる場所、だから採取依頼がメインのウッドランクとブロンズランク冒険者の安否確認をやってたの」


「ナヅキさん! アイアンランクの冒険者と連絡が取れました。討伐に向かってくれるそうです!」


「そう、直ぐにお願いしましょう。後何人の安否確認できてない!? 報告来てない人は連絡回して」


 なるほど、ギルド内のスタッフ皆がバタバタとしている理由が理解できた。


 余りにも必死に連絡を回しているギルド職員の姿を見て、五人はオーガの件は知っているはずなのに、ナヅキに声をかけるチャンスを失っていた。


「なぁ、話してるオーガって、さっき戦った……」


「多分、そうだと思うわ……」


「ナ、ナヅキ……ちょっといいかニャ」


「プルン、ごめんなさい、採取依頼の報告でしょ。見た通り立て込んでるの」


「あ……いや……多分大丈夫ニャ」


「え?」


「ナヅキ、冒険者の確認は取れたかしら」


 そこへ、フルアーマーに身を着せたエンリエッタがコツコツと足音を鳴らしながらカウンターの後から姿を見せる。


「エンリエッタさん。はい、残り数名を残して、今このギルドからの依頼を受けているウッドランクの冒険者の安否確認は終わります」


「そう……。君たちも無事で良かったわ。討伐が終わるまで君達の依頼は出ないから街での待機よ」


「エンリエッタさん、少しだけよろしいですか?」


「何かしら?」


「少しお見せしたい物が……」


「……ん?」


「なぁ、ミツ。ここだと騒ぎになるから別の場所がよくね?」


「そうですよ、こんなに騒ぎになってるのに」


「そうニャ、エンリ悪いけど解体所を開けてくれニャ」


「いいけど何を?」


 アイテムボックスからオーガの亡骸を出そうとしたが、確かに皆の言うとおり。


 こんなところで問題の物を出したら混乱するかもしれない。


 エンリエッタも不思議そうにこちらをみていたが、話の内容を聞いて察したのだろう。


「あなた達……もしかして!」


「あっ、気づいたみたいね」


「ナヅキ、ちょっとあなたも一緒にいらっしゃい……」


「えっ? でも、まだ報告終わってませんけど?」


「それも関係することだと思うわ……」


「はぁ、はい、解りました」


 場所を移動してギルドの解体所に場所を変えた。


「ここなら大丈夫ね。さて、出して頂戴」


「エンリエッタさん何を?」


「はい」


「えっ! えっ!」


 解体用の大きな石台の上にオーガの亡骸をアイテムボックスから取り出した。


 ナヅキは驚き大口を開け、エンリエッタは眉間に手を当てている。そんな二人を見てリック達はちょっと自慢げに胸を張っていた。


「はぁ~、思った通りだったわ」


「オッ……オーガ」


「これあなた達がやったのね」


「ニャ!」


「おう! 俺の槍をグサリとな!」


「だから皆の力でしょ!」


「まぁまぁ」


「殆どミツ君が殴ってましたね」


「そうニャ、腰の入った良い攻撃だったニャ!」


 うんうんと頷きながら、オーガを殴っていた自分を真似るかの様に左右に拳を振るプルン。


 それを見たエンリエッタはため息一つに言葉を返した。


「殴ったって……。ミツ君、あなたアーチャーでしょ……」


「殴った方が早かったので、それに他にも目的がありましたので」


 弓で倒してしまうと自分一人しか経験が貰えないかもしれない。

 元ゲーム感覚なのだろう、やはり仲間にも一発は入れて貰った方がレベルが上がるのではないかと思い、試しで皆に攻撃を協力してもらったのだ。

 しかし、後に思ったのだが、倒す前と後でステータスを見比べないと駄目なことに気づいたのでこの策は失敗だった。


 また別の機会にやってみようと思う。


「コホン……。取り敢えず理由はわかったわ。ナヅキ安全確保完了、オーガが討伐されたことを連絡して頂戴」


「わかりました! 直ぐに討伐に出た冒険者にも報告してきます」


「あっ、今回の討伐者は口外しなくていいわ」


「えっ……。あっ、はい!」


 エンリエッタの言葉でナヅキは足を止めたが、直ぐに言葉の意味を理解したようで、カウンターへと戻っていった。


「何でだよ! 俺達が倒したんだぞ!」


「リック、仕方ないよ。ウッドランクの冒険者が倒したなんでまず誰も信じないよ」


「リッケ君の言うこともあるけど。これはね、あなた達のためでもあるのよ」


「何でニャ?」


 亡骸となったオーガをジッと見るエンリエッタ。


 そして、その真剣な眼差しは自分たちへと向けられた。


「まず一つ。緊急として討伐依頼を出した冒険者からの問題を避けるため」


 はて? モンスターを倒したのに冒険者との問題が起きるのかと思ったが、エンリエッタの説明は続いた。


「緊急で依頼した場合は通常より多く報酬が払われるわ。しかし、今回は呼びかけに動いてくれた程度の報酬しか渡せないの。それで、もしかしたら討伐依頼を受けた冒険者から君たちが何かされるかもしれない。勿論ギルドとしては、そんなことをした冒険者は追放処分とするけど」


「何かあってからじゃ遅いと」


 結果はどうあれ、今回自分たちのやったことは他の冒険者から見たら稼ぎを横取りされた様な物になるそうだ。


「ニつめはモンスターの危険維持の為」


「それは?」


「ウッドランクの冒険者でオーガを倒せるなら、同じウッドランク、その上のブロンズランク冒険者が、自分達でも倒せると思う人が出てくるかもしれないわ」


「確かに……。冒険者を無理な戦いから守る為仕方ないですね」


 ウッドとブロンズの冒険者と言っても年齢は15~18歳が殆ど。自身の力量はまだわからないだろう。


「勿論、皆には今回の討伐報酬を出させてもらうわ」


「やった!」


「報酬が貰えるなら何でもいいわ!」


「やったニャ! パイが食べに行けるニャ」


「エンリエッタさん、ありがとうございます」


「「「「ありがとうございます!」」」」


「こちらこそ、討伐感謝します」


 皆が一番期待していたことでもある。


 緊張とした空気から一変、皆は満面の笑みで喜んでいた。


 自分は大量のスキルゲットしていた時点で満足していたのだが、やはり臨時ボーナスは嬉しい物だ。


 そう言えばボーナスと言えばジョブを【シーフ】に変えた時のボーナス貰ってなかったな、忘れる前に帰ったらユイシスに聞かなきゃ。


「……ミツ君」


「はい?」


「君が今回の一番の功績者みたいね」


「いえ、皆の協力あってですよ」


「そう……。皆、報酬は明日に取りに来て頂戴」


「俺らが受けてた採取依頼の報酬は?」


「それは大丈夫よ。問題も片付いたし通常に業務を戻すわ。カウンターの方に提出してちょうだい」


「よし! 早く渡して宿に行こうぜ!」


「エンリまた明日来るニャ、ミツも初依頼報告に行くニャ!」


 リックの声で皆は解体所の部屋を後にする。


「クスッ……。本当に凄い子が来てくれたわね。……本当に珍しいオーガ……。初めて見るわ」


 エンリエッタはそう言いながら赤黒く染まったオーガの体を調べ始めた。


∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴


 依頼の報酬を受け取った五人はリッコの先の提案もあり、冒険者ギルドの近くの宿へと来ていた。


「ぷはー、腹いっぱいだぜ!」


「リック食べすぎですよ」


「二人ともよ」


「リッコ、何気に皆よりおかわり一回多かったニャ」


「美味しかったね~ほんとに」


 死闘の後のせいか、勝利の達成感が満ちて報酬もあったため、周囲を気にせずに五人は出された料理を我先にとバクバクと食べていた。


 そんな食べっぷりに宿のおかみさんは腕を振るうかのように料理を出し、周囲のお客は唖然と食事の光景をみていた。


「ところでリッコたちは何処に住んでるニャ?」


「俺らは南地区の庶民地だぜ」


「生まれも育ちもそこですよ」


「いつでも遊びに来ても良いわよ」


「へ~、ウチとミツは西の教会に住んでるニャ」


「あ~、あの青い屋根のあそこか」


「意外と近くに住んでるんだね」


「二人で住んでるの?」


「いや、自分は元旅人で今はプルンの家にご厄介になってるだけだよ」


「そうニャ! リッコ、変な勘ぐりは止めるニャ」


「そっ、そんなんじゃ無いわよ」


「じゃ! 今日は帰るか!」


 食事も終わり、席を立つ時にはテーブルには積み重なる空の皿が小山を作っていた。


 食べ盛りの青年もいるとはいえ、この宿でここまで食べるのは珍しかったのか? 支払いの値段もそこそこしたのでおかみさんの表情はニコニコ顔だ。


 ちなみにこの世界の支払いは注文と同時にお金を支払う前金制、食券を買うと思えば躊躇いも無いが、中には食べる前にお金を払う事を拒む客もいるそうだ。


「明日ギルドに遅れたらリックの報酬はウチが貰っとくニャよ」


「遅れるか! しかもなんで俺だけ!?」


「リックはこういった事になると早起きですからね、大丈夫ですよ」


「本当に」


「うるせーよ!」


「じゃ~ね~」


「では、失礼します」


「ミツ、帰るニャ」


「うん、お土産喜んでくれるといいね」


「気に入らなかったら、ウチが食べるから大丈夫ニャ」


 二人の手には宿で買ったパイを手にして帰宅することにした。


 しかし、プルンはまだ食べるのか……。


∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴


 一方冒険者ギルド


 緊急の為に集まってくれた冒険者にナヅキが報酬程ではないが手間賃を渡していた。


「本当にすみません」


「いいよナヅキちゃん、結果はどうあれ被害は出なかったんだし。でも誰がオーガを討伐したんだい?」


「そっ、それは……。すみません、私も討伐の報告はエンリエッタさんから教えてもらいまして。誰が倒したかまでは……。恐らくエンリエッタさんのお知り合いかと」


「エンリさんの知り合いなら確かに倒せるかもな」


「まっ、今夜の飲み代だけでも貰えたから良しとしようぜ」


 ナヅキの言葉を聞いて納得している冒険者は受け取った硬貨を握りしめ、安堵に今夜飲みに行く話をしはじめていた。


「っち! 私達は納得いかないね!」


 だがそこに一人の女性冒険者が声を上げた。


 その女性の名はヘキドナ。


 チーム『レディースブラッディー』のリーダーである。


 基本冒険者はソロが基本だ、だがランクが上がるとどうしてもソロでの依頼は難しくなる。


 臨時でパーティを組んだりもするが、必ずしもメンバーが揃うわけではない。


 アイアンランクの冒険者となるとチームを作って依頼を受けるのが基本となる、そのパーティリーダーでもあるヘキドナが意見したのだ。


「おいおい、納得も何も、もう終わったんだから仕方ねえじゃねーか

「フンッ! あんた達のチームと一緒にしないで欲しいね」


「ヘキドナさん……。すみません、せっかく動いてくれたのに」


 ナヅキは謝罪の言葉を伝えると、その言葉を聞いたヘキドナはひと睨みにナヅキを見返した。


「こっちは命かけて金稼いでるんだ! そっちの都合で動いてる訳じゃないんだよ!」


 ヘキドナのメンバーは基本女性で埋めている。


 まるでスケバンか女族長をイメージすると解りやすいだろう、そんな人から怒鳴られたらナヅキもたじたじと言葉が出なくなる。


「うっ……」


「おい、ヘキドナいい加減にしろよ! ナヅキちゃん怖がってんだろ!」


「そうだぜ、それにお前達のチームだけが損してるわけじゃないんだ!」


「五月蝿いね! こんな小娘の言葉一つで流されやがって!」


「なら私から説明しようかい」


「エンリエッタさん!」


「エンリさん!」


 声と共にそこに現れたのがエンリエッタだった。


 オーガの調べが終わって解体所からギルドのフロアに戻ってきたところ、先程の声が聞こえたのだろう。


「エンリエッタ……。丁度いい、説明してもらおうじゃないか」


「ええ。報告通りオーガは討伐された。招集に集まってくれた冒険者には保証金として本来討伐時に払われる予定の1/20を渡す。以上よ」


「それは聞いた! 私達が聞きたいのは招集に集まってない奴が倒して獲物を横取りしたことを説明しろって言ってるんだ!」


 冷静に言葉を告げるエンリエッタとは反対に、説明不足を理由とし、納得の行かないヘキドナの声は怒声にも感じる言葉だった。


「倒した人物の情報が欲しいと?」


「あぁ、そうだ!」


「……駄目よ」


「っく!」


「って言っても聞かないでしょうから教えてあげるわ」


「エンリエッタさん!」


 副ギルドマスターの口から次に出た言葉はその場にいる皆を一瞬にして黙らせた。


「今回オーガを倒したのはシルバーランクの冒険者よ」


「えっ、シルバーの冒険者だと……」


 シルバーランク冒険者。


 それは能力だけでは無く、人脈も優れた人だけがなれるランクである。


 各国のシルバーランク冒険者はほんのひと握りしかいない、この国にも数人いるが王国から離れたこのライアングル街ではシルバーランクの冒険者が現れることは珍しいのだ。


 エンリエッタは嘘も方便として、プルン達に火の粉が掛からないためにも実際には居ないシルバーランクの冒険者を出したのだ。


「そう、シルバーの冒険者なんてそんなにいないからこの街近くにいる誰かよ」


「でっ、誰なんだよそいつは」


「本人の希望で名前は出さないで欲しいそうよ」


「そんなの信じられないね!」


「信じるも信じないもあなたの自由。でもこれ以上騒ぐなら冒険者として処分するわよ。ギルドとしてもシルバーとアイアンの何方を優遇するかは解るでしょ」


「っく……。知りたい情報も得られずに納得できると思ってるのかい!?」


「倒した人を探すのはあなた達の自由よ。でもね……」


「うっ……」


「まじかよ……」


 エンリエッタは一度扉の方へと踵を返し、奥からオーガの首を持ってきた。


 胴体と頭を切り離してるためエンリエッタでも持ち運びはできるがその頭はかなりの大きさではある。


 オーガの顔はミツがボコボコに殴った事もあり、少し顔の形が変わっていた。


「こいつをここまでできる冒険者がここにいるかしら?」


 沈黙する冒険者たち。


 倒されたオーガを見てゴクリと唾を飲む音が聞こえた。


「姉さん……。ここはもう引きましょう」


「そうよリーダー。あそこまでオーガの顔をボコボコにできる冒険者はエンリさんの言うとおりシルバーランクの冒険者だよ」


「ウチらアイアンじゃ、本当に倒せるのかわからないシ」


「……ちっ!」


 自身の仲間の声と周りの冒険者の言葉に大きく舌打ちを残して踵を返すヘキドナ。


「ヘキドナ……すまないわね」


「……戻るよ」


「姉さん、待ってください」


 ブラッディーのメンバーを連れ、その場を去っていくヘキドナ。


 オーガの姿を見て彼女も少し冷静になれたのだろう。


「皆も態々集まってくれたのにすまなかった」


「エンリさんが謝るほどじゃねえよ」


「また何かあったら呼んでくれや」


「あぁ、ありがとう」


 その場で冒険者は解散状態になり問題は解決となった。


「エンリエッタさん……」


「ナヅキ。他言無用よ」


「はい……」


「これで終わってくれれば良いんだけど」


 今回の件で冒険者同士の揉め事が無かったことが幸いであろう。


 その後、他のパーティも深く追求して来なかったので何事もなく終わった。


 それでも冒険者の心の中には疑問の念は残るものだ。


「あのオーガの拳の跡小さかった……まさか女? 若しくは子供?……」


「姉さんどうしました?」


「何でもないよ……」


∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴


「おやすみニャ」


「おやすみ~」


 お土産のパイを晩御飯として食べ終わり、部屋へと戻ってきた。


 そう言えば後にしてたジョブスキルを貰ってから寝ることにしようかな。


(ユイシス、昼間のボーナスって貰えるかな?)


《【シーフ】ですね可能です。以下のスキルから3つ選んで下さい、また既に習得済みのスキルは非表示となります》


(良かった、残ってて)


※連斬

※交渉術

※ロックピック

※アンロックドア

※ポイズントラップ

※トラップ探知

※解毒


 若干弓術を選んだ時よりも選択する項目が減っている気がする。


 スティールしてる間に【シーフ】のスキルも盗んでたのだろうか?


 これと言ってすぐに欲しいものは無いが、後々を考えると〈交渉術〉〈トラップ探知〉はいるだろう、後1つ何を選ぶべきか。


(ユイシス、交渉術とトラップ探知をとりあえずこの二つで、後何がいいと思う?)


《〈ロックピック〉若しくは〈アンロックドア〉をオススメします》


(それは何故?)


《連斬、ポイズントラップ、解毒などは、モンスターから習得できる可能性があります。しかし、この二つはジョブ限定スキルとなります》


(えー、限定スキル何てあるの……交渉術とかも限定っぽいけど?)


《〈交渉術〉は【ペドラー】【テイマー】などのジョブになる最短スキルです》


(【テイマー】と【ペドラー】ってなに?)


《魔物使いと商人です》


(おぉ、魔物使い! ゲームでは憧れるジョブじゃないですか! 商人は金銭関係では必要なジョブだし、やはり交渉術はいるな、トラップ探知って何処かで手に入らないかな?)


《〈罠解除〉を習得すれば、条件スキルボーナスとして習得できます》


 そうだ以前にも条件スキルの取得で〈連射〉を習得したんだった、それなら無理して今トラップ探知はいらないかな。


 今後も考えたら欲しいけど今は限定スキルを優先しよう。


(ユイシス〈交渉術〉〈ロックピック〉〈アンロックドア〉これに決めたよ)


《選択されたスキルでよろしいですか?》


(よろしいですとも!)


《スキル〈交渉術〉〈ロックピック〉〈アンロックドア〉を習得しました》


交渉術


・種別:パッシブ


様々な種族との交渉ができるようになる。


ロックピック


・種別:アクティブ


鍵の掛かった物を開けることができる、レベルに応じて成功率が上がる。


アンロックドア


・種別:アクティブ


鍵の掛かったドアを開けることができる、レベルに応じて成功率が上がる。


《スキルの習得により転職可能ジョブが増えました》


(今どれくらい転職できるジョブってあるのかな? 以前は【アーチャー】【シーフ】【クレリック】だっけ)


《現在スキルと習得済みジョブから出しますと【ハンター】【ボウマン】【ソードマン】【モンク】【テイマー】【ペドラー】が可能となります》


(これまた増えたな、【ハンター】は【アーチャー】の次になれるジョブだったよね【ボウマン】って違いがあるのかな)


《【ボウマン】は【アーチャー】の特殊ジョブです、ステータスが一定以上の条件で転職可能です。強さはそれ程変わりませんが、特定武器とスキルを使いこなすことが出来るようになります》


(なるほどね、スキルも気になるな【ソードマン】と【モンク】はなぜ増えたのかな)


《【ソードマン】は習得済みスキルによって転職可能となりました【モンク】は物理攻撃でのモンスター討伐数とステータスによって転職可能となりました》


 ここまで増えると転職したくても追いつかないな【ボウマン】の様な特殊系も出るなら200以上のジョブがあると言うのも納得できる。


《一先ず、ミツは上位の忍者を目指すことをオススメします》


(そうだね、器用貧乏になるよりかは1つを取り敢えず極めようかな。もう一つ聞きたいんだけどスキルって使用回数で上がるって言ってたよね)


《はい、目的の無い空打ちは意味はありませんが、的や対象者に使用したり、自身に使えば熟練度が上がりスキルレベルが上がります》


 試したい事もあるし寝る前にMP使って訓練と行きますか。


 試しに〈速度増加〉〈ブレッシング〉は重ねがけできるかどうか。


「速度増加、速度増加、速度増加」


《支援魔法は重ねがけは持続時間が伸びるだけで効果は増えません》


(みたいだね……。やる前に聞けばよかったよ。自身に使う魔法ってそんなに無いしな)


 次にMP限界までヒールを唱え続けてみた。


「ヒール、ヒール、ヒール……」


 何回程々繰り返しただろう、傷はない場所に回復魔法を繰り返し続けていた。


「ヒール、ヒール」


《経験により〈ヒールLv3〉となりました》


「ふ~、やっとか」


 実験として結果は解った。


 寝る前にでも経験を上げるためにこれを日課にしとこう。


(ちょっと休憩っと)


 残ったMPを使ってアイテムボックスからジュースを取り出して一息ついた。


(ねぇユイシス、他のスキルもどうやってか上げれないかな)


《対象者に協力してもらえば上げることができるスキルがあります》


(例えば?)


《対象者とかくれんぼをすれば〈ハイディング〉と〈潜伏〉のレベルが上げることができます》


(遊びを取り入れるのか……。その発想は無かったよ)


 今度子供たちと遊ぶことがあったら試してみようかな。


 しかし、子供の遊び相手にスキル使うとか大人気ない気もするが……。


 寝る前の運動をしたおかげで今日はゆっくりと眠れそうだ。

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