排除

影宮

排除の悪魔

 邪魔だから殺されるの。

 何かしらそれらしい理由をつけて。

 命を斬り捨てて、首を斬り落として、得られた幸福に罪悪感はいつくるの?

 排除する側ならば、こんなに涙は出なかったことでしょう。

 排除される側の足が、強制的を進んで行くんだ。

 断頭台が目前、振り向いた目の先で彼はニヤリと笑いました。

 邪魔だから殺されるの?

 排除できればそれでいいの?

 なら、私も彼のように排除すれば正解だった。

 彼の隣の女の子が、目を閉じて辛そうだ。

 何が辛いって、偽りの罪で処刑される私の方はず。

 排除するには正当に見えるような理由がいるの。

 完璧な排除をお望みならば。

 私は笑った、乾いた声で。

 即死確定、痛みは一瞬。

 恐怖は要らない、震える身に言い聞かせて。

 排除されて、終わり。

 彼の傍にいることができないのだとしても、排除されりよりかはマシでしょう。

 一歩、一歩、一歩が届いた。

 叫べ、叫べ、我を叫べ。

 悲鳴に近付いた声で、ただ彼に向けて。

 刃がストンと落ちた時には、首無しの体が終わっていた。

 排除完了、満足の笑み。

 害虫扱い、害虫駆除。

 死体、生首、血液。

 悪魔と取り引き。

 彼を駆除して。

 私の死体全てと引き換えに、罪を知らせて彼を殺して。

 そして、彼の死体さえ食べ切って。

 駆除して。

 願い、一つ。

 悲鳴に呼び寄せられて、悪魔来たる。

 操られたその声が彼を殺せと叫び出す。

 いっそ、そう、好きなだけ暴れて。

 悪魔は駆除がお得意で。

 女一人泣きながら、悪魔と取り引き。

 彼を返して。

 引き換えに、差し出せる対価もない。

 排除してされて、残らない何一つ。

 後悔さえ鬱陶しい。

 女は笑った、乾いた声で。

 そしてその首を吊って、自滅したそうな。

 悪魔、悪魔、ここに来い。

 死んだ後の排除を、ここに。

 排除の悪魔、我を悲鳴が叫ぶ。

 それに応えて笑え。

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排除 影宮 @yagami_kagemiya

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