第41話予想の裏側

「なんだか苦労しそうですね。司令は、日本で戦争をしようとする勢力から、しっかり日本を守るのは、アジアの安定に繋がると話してましたが。


平和ボケしているようにしか見えません。」


「そうだな。ん?ウルスラからメールだ。」

メールを開くロウ。



〔あのねロウ、10分程前に凄い懐かしい2人と偶然会えたんだよ!誰だと思う!


実はね〜、零士と彩に新宿のバンビーナってカフェで会えたんだよ!


友達に連絡先交換をお願いしたから、近い内に再会出来ると思う。 

こんな事ってあるんだね! 

・:*+.\(( °ω° ))/.:+←超嬉しい今の私☺」



「なっ!?零士と彩に会えたのか!あー、うん。ウルスラらしな。ははは」


「えっ?!本当ですか?」



「ああ、新宿のカフェでね。どう言う訳か、ウルスラの友達が二人の連絡先を聞いてくれるそうだ。ウルスラらしいな。あまり期待出来ない気もするが」


「たまにドミニク隊長から聞くだけですが、かなりの腕前だと聞きました。

確か日本での任務中に、隊を率いていた有香隊長が行方不明になって、ヴァルハラをそのまま抜けたと聞きますが」


「ああ、その通りだ。特に零士は、有香さんが最初から直に鍛えた最後の弟子だからな。

正直、今のヴァルハラでも零士とまともに戦える隊員は、片手で数える程しか居ないだろうな」


「そんなにですか......しかし、現隊復帰してくれれば、かなりの戦力アップが期待出来るのではないでしょうか?」


「どうだろうね。それは分からないよ」


ロウのスマホの着信が鳴る。

【ピッ】

「ロウ隊長、クライアントがホテルに到着しました」


「了解した。監視はバーナードに引き継ぐ」


「了解」


通話を切り。

「いよいよですね」


「ああ、さて、交渉とか柄じゃないが、頑張ってみるか」

————————————————————



2020年4月18日、レインボーブリッジ。 


東京と千葉を繋ぐ1993年に完成したこの巨大な吊り橋には、橋を吊り上げるワイヤーを繋ぐ為の巨大な支柱がシンボルのように4本聳そびえ立つ。


今、零士と氷室はその支柱の内部に居た。


「まさか点検の為に、内部に人が入れたとは知らなかったよ、彩は風が強そうだから遠慮するって来なかったが」


氷室は笑いながら。

「彩ちゃん高い所苦手なんじゃないか?」


「どうかな?まぁ、彩はヴァルハラの隊員じゃないけど、しょっちゅう有香さんの目を盗んで訓練してたからな。


有香さんに話したら酷い目にあわせるから、絶対言わないでよってね。

高所訓練も隠れてやってたような気がするんだけどな」


「まぁ、無理もないさ。そら、後少しだ」


やや薄暗い内部の梯子はしごを、着実に進む。


「なぁ、霧ちゃん」


「なんだ?改まって」


「彩ちゃんとの出会いってさ、考えてみれば1度も聞いた事無かったよな?」


零士は一瞬話すか迷った。それは彩の中で有香と言う存在が、神格化と言って良い程重要な存在になっている原因が、彩と初めて会った時だったからだ。


「そうだな。勝手に話すと怒るかも知れないらな。彩から聞いた方が良いかもな」


「そうか、いや、なんか聞きづらくてさ」


「じゃあ、話して良いか聞いとくよ」


「なんやかんやと、気を使ってるんだな~霧ちゃんは。仲が良い事で。お、見えて来たぜ」


鉄製の扉が見えて来た。鍵を右胸ポケットから取り出し差し込む氷室。


カチッ。鍵が開く音がする。

氷室が扉を開けると、凄まじい風が二人の身体に吹き付けた。


「うぉっ!マジか!?」


「サネ、どうしても此処から狙撃するのか?」


レインボーブリッジの支柱は海面から126メートルの高さにある。


氷室は風速計を取り出す。



「風速25メートルか、そりゃ風強いわな。はっはっは。」


呆れた表情になる零士。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る