第14話

「なつ、シュークリーム買って来ちゃった!一緒に食べよう!」


 大きな声で叫ぶから何事かと思って慌てて出てきたら、シュークリームを買ってきてくれたみたい。


 昔からお母さんは疲れてくると必ずと言っていいほど、甘いものを買ってくる。お母さんにとって甘いものは癒されるのだろう。


 きっとお母さん、疲れてるんだねといつものように思っていた。



「 なつ、最近あの悪夢は大丈夫?」


「 うん、最近大丈夫だね 」


「 悩みありそうな顔してるよ、毎日 」


「 えっ!?」


 お母さんには、いつも嘘つけない。


 何でもお見通しなんだね。


 毎日会わなくても、すぐ気付いてくれる。何も言わなくてもわかってくれているんだね。


 母親って……すごいな。いつもそう思っているよ。私もちゃんと気付けているのだろうか。


 お母さんには敵わないよ。


 私のお母さんは、色々と苦労してきている人だ。


 母子家庭で、私を育ててくれた。感謝してもしきれないよ。


 その分、夜もいないのは当たり前だった。


 一人っ子の私は、幼い時は寂しかったけど、その寂しさを埋めるために、桜の木のところへ行き、一人遊びをしていた。


 そして……あの男の子と出会ったんだ。寂しかった私に光をくれたんだ。



 毎日、毎日、飽きずに日が暮れるまで、よく遊んだなぁ。


 桜の季節になるたびに、つい思い出してしまう。今はどうしているかな。元気にしてるかな。


 またきっと会える日がくるかもしれない。


 最近は、そんな予感はしていた。


 手紙の事もあったし。


 お母さんと私は美味しいシュークリームを食べて

 まったりと時間が過ぎていった。



 最近色々ありすぎて、私も疲れた。


 甘い甘いシュークリームのおかげで


 疲れが吹き飛んだ気がした。



 お母さん、きっといつも心配かけてるよね、ごめんね。

 事故の事もあったし……。

 そのせいであの悪夢まで……。



 私、でももう大人になったよ。

 心配かけないように、努力して成長するよ。


 大丈夫だから。


 心配しないで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る