第8話
あの袋……やっぱり……そうだよね?
家に帰ってからも、ずーっと考えていた。
あの袋を取りに来たってことは!!
私は急いで車いすを進めて、桜の木に向かった。
そこに置いたはずの袋がなくなっていた。
やっぱりあの人だったんだ!
メモも添えられている。
『 ありがとう 』
それだけが書いてあった。
なんだか少しだけ気が抜けてしまって、がっかりした気持ちになってしまった。
なぜなら、もう手紙のやりとりがなくなってしまうと思ったから。
寂しかったのだ。
いつもと違う日常を歩み始めていたから。
でもあの人……。
それはそれで仕方のない事なのかもしれないと、自分に言い聞かせた。
……
次の日。
「おーい!なつ、聞いてる?」
「あ、なに?」
「さっきから話しかけてましたけど?」
全然気づかなかった。
私は、気が抜けたように、頭の中がぼーっとしてしまっていた。
「なつ、具合わるいんじゃない?帰りな!」
具合悪いわけではなかったけど、その言葉につい甘えてしまう。
店長はいつだって優しい。
それに、いつも気にかけてくれている。
実はあの事故の第一発見者でもある。
店長が発見してくれなかったらと思うと怖い。
倒れていた私を発見してくれて感謝しかない。
精神的にもおかしくなりだった私を見守り続けてくれている。
仕事だって、与えてくれた。
「すみません、今日は帰ります。」
こんな状態でいても迷惑だと思う。
私……どうしちゃったんだろう。
今日は、そんな私の心とは真逆で、雲ひとつない空だった。
空ってこんなに広かったっけ。
空を見上げて立ち止まる。
そんな時だった。
突然、メールが届いたのであった。
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